第九十一話 追えなかった背中と偽りの再会
毎日12時に投稿してます。
外伝である。『菊理姫様!お導きを』〜英雄の誕生〜もよろしくお願いします。
そちらは、毎日18時投稿します。
ヒロが下を向き震えてる。
「そうか…。俺は、もうお払い箱か…。」そう言うと振り返り森の中へ駆け出した。
「ちゃう!ヒロの負担を考えて…。」私が後を追う。
ご神犬も私たちの後を追ってくる。
「ワン!」と鳴いて。
黒いご神犬がヒロの後を追う。
「お願い!」そう言うと黒のご神犬がヒロの後を追っていく。
ヒロの背中が小さくなる。
その後を黒いご神犬が追いかける。
足がもつれて転ぶ。
起き上がった時には、もうヒロの姿はなかった。
ハッハッと白のご神犬が私の側に駆け寄る。
白のご神犬が近寄り、私の頬を舐める。
無礼と思いながら頭を撫でさせてもらう。
「どうしよう。」ぽつりと言葉が出る。
さらさらと木々が揺れ、蝉の鳴き声だけが聞こえる。
辺を見渡す。全方向同じ景色だ。
木々が生い茂り、足元には小枝と黒っぽい土だけが見える。
「ヒロ!」私は叫ぶ。
森に私の声だけが響く。
「呼んだ?」
振り返るとヒロがいる。
ご神犬が低く唸った。
「ヒロ!」私は思わず涙が出る。
「あのね。ヒロの負担考えて、もう一人忌守雇おう思ったんよ。一人で2つの神器の管理はやっぱり負担が大きいから…。」立ち上がりながら話す。
「俺も感情的になって悪かった。」そう言うとヒロがハグをする。
「心配かけてごめん。櫻の話もちゃんと聞かないで。」ヒロがそっと離れる。
「大丈夫。それよりーーーー。」
「お前…誰?」
ヒロの顔。
ヒロの声。
でも、その目はヒロのものじゃない。
私は、腰のハサミを抜き放ち、そのままヒロのような者の胸へ突き立てる。
偽のヒロは素早く反応し体を捻る。
ご神犬が激しく吠える。
「すごいな!すぐにバレた!」ヒロの声でそれが話す。
「いい加減自分の正体を表せ!」私が、氷魔法を繰り出す。
夏だから少し威力が弱い。
舌打ちして水魔法にする。
円盤状にした水を相手に投げつける。
相手は素早く避け、木々だけが倒れる。
「わ!どうなってるのじゃ!」かよ達が追いかけてきた。
「いくら夫婦喧嘩でもやりすぎですよ!殿下!」なぎさが叫ぶ。
「違う!こいつはヒロじゃない!」私が説明しようとするが相手の攻撃が激しい。
相手は、ヒロと寸分違わぬ動きで小銃を構え、撃ってくる。
そして、慣れた手つきで、手榴弾のピンを抜くとこちらに投げる。
「わっわっ」輝夜が慌てて避ける。
私が、あたりの魔素を集めて思い切り水の塊を偽ヒロにぶつける。
一瞬で偽ヒロを大量の水が飲み込む。
「終わったのか!」かよが尋ねてくる。
ご神犬はまだ唸っている。
「いや、まだだ。」私が言うとーーー。
「こっちの方が使いやすそうね♩」
目の前には、私がいた。
鏡写しの様な姿のそいつは、私と同じ顔で不敵に微笑む。
そして、神器に魔力を込めると日本刀ぐらいの長さにした。
神器までコピーするとは。
かよ達が私たちを交互に見ている。
状況が掴めていないのだろう。
「お前、ドッペルゲンガーだな。」私は苦々しく言う。
「正解ぃ♩」相手は楽しそうだ。
ご神犬のけたたましい鳴き声だけが、森の中を駆け抜けていった。
そして、仲間に合図を送るように遠吠えをした。
こぼれ話
かよ達三人が櫻子とヒロを追う。
かよ「わし!時々思うんじゃが!櫻子って何でそのタイミングでそれ言う?って事ないか?」
なぎさ「そこだけが完璧じゃないですよね!」
輝夜「結構ノンデリな所もありますよね!」
各々、櫻子の悪口で盛り上がった。




