第九十話 風と櫻子とヒロの間に
毎日12時に投稿してます。
外伝である。『菊理姫様!お導きを』〜英雄の誕生〜もよろしくお願いします。
木々が揺れる。
土と木と苔の匂いに先程のルイボスティーの匂いが鼻に残ってる。
私が立ち上がり、ヒロと対峙する。
「…あかんかったの?」ヒロの顔が見れない。
「俺だけでかまんって言ったやろ!」語気が強い。
これほどまでに感情的なヒロを見たのはいつぶりだろう。
「でも、私も!ヒロの事が心配なの!一緒に問題解決したいやん!」小娘みたいな言葉が口から出てしまった。でも、止まらなかった。
「櫻はもう、十分動いてきた。
もう、これ以上傷ついてほしくない。
…ましてや俺のせいで…。」ヒロが泣きそうだ。
ふわりと、生暖かい風が舞う。
私とヒロの思いの温度は同じなのに方向性が違うからね。
そんな事を伝えに来たかのように。
「ヒロ!お主が倒れたり、何かあったら一番悲しむのは櫻子じゃ!櫻子もヒロに頼ってほしいし一緒に解決したいと望んでるぞ!」かよのストレートな解説がとぶ。
「何も知らんのに知った口聞くなや!」感情的なヒロから言ってはいけない言葉が出る。
「ヒロ!それは、あかんやろ!」
「櫻が甘やかすからや!」
「うっうちは、櫻子とヒロの事を思って…。」かよの言葉が詰まる。
「それが、余計なんじゃ!わかったこと言うなや!」怒りに任せて次々と言葉が出るのだろう。
ヒロがかよに詰め寄る。
「かよ!お前に櫻が背負った傷がわかるんか?」
「やめえや!」私は、ヒロに駆け寄る。
「櫻は黙ってろ!俺なんかより、自分のこと考えろ!」そう言って私の手を振り払う。
「…あっ。」
弾かれた手が熱い。
その痛みよりも、ヒロに拒絶されたという事実の方が胸を締め上げた。
森が鎮まり返る。
蝉の声だけが響いている。
ヒロと私の間を割くように風が吹く。
ヒロと私の目が合う。
怒りで視野が狭くなった目が広がっていく。
少し、冷静になったのかヒロの言葉が詰まる。
「いいから櫻は帰れ。これは、俺だけの問題や。」
「ヒロ!待って!もう一人技術者雇おうと思ってんねん。」
ヒロが私の顔を見る。
その目は驚いていた。
まるで、足元を崩されたように
突然、梯子を外されたように
そんな、表情をしていた。
風が二人の間をすり抜けて、青臭い匂いを届けた。
こぼれ話
窓の外をぼうっと見つめている櫻子
そこになぎさがやってきた。
なぎさ「今日は、いいお天気ですね。日差しが熱いぐらいですよ。そう言えば山男さんが来てくれて桔梗の花を植えてました。」
櫻子「…桔梗?…見にいこうかな。」そう言うと櫻子が少し微笑む。
なぎさの目が驚いた表情をし、そして微笑んだ。
ーーーよかったら、外伝の方も見てくださいね。




