第八十九話 好きなお茶との再会
毎日12時に投稿してます。
外伝である。『菊理姫様!お導きを』〜英雄の誕生〜もよろしくお願いします。
そちらは、毎日18時投稿します。
蝉がけたたましく鳴いている。
木々の匂いが濃い。
ぬかるんでいた道はいつの間にか乾いていてた。
ただ、あまり人が立ち入らないので土がふかふかとしていて歩きずらい。
目の前をご神犬と一本だたらが歩いている。
ご神犬の二匹は、はっはっと口で息をしながら一本だたらの足元をちょろちょろしている。
だいぶ慣れてる様子だ。
一本だたらは振り返らない。
低く掠れた声が森に響く。
「お前が大夢の雇い主か?」不意に一本だたらが聞いてきた。
「雇い主じゃない。私とヒロは相棒だ。上下関係はない。」
「ホンマかいな。」一本だたらが少し笑いながらいう。
「一本だたらよ。それは、本当じゃ!なんせ櫻子とヒロは寝屋を共にしている。ほぼ夫婦じゃ!」かよが余計な事を言う。
私は、かよを睨む。
プイッと外方をむかれた。
「大夢は、ようやっとりますか?」一本だたらが話す。
「失礼ですが、ヒロとはどのようなご関係で?」私が尋ねる。
「失礼しました。大夢はおいの玄孫に当たります。おいは、田吾作と申します。」そう一本だたらが自己紹介する。
「ホンマは、あまり言わん方がええですが、大夢からよく貴方の話を聞いているんで。」一本だたらの目が綻ぶ。
ヒロの事が大事なんだろう。
「ヒロは良くこちらに来ていたんですか?」
「ええ。事変の前はよく来ていました。」
事変の後は、私がヒロを縛ってしまったようなものだ。
罪悪感が芽生える。
歩いていると一軒の小屋が見えてきた。
簡素な作りだが、しっかりとしている。
「こちらの小屋は、狭くて汚えので、そちらの椅子に腰掛けてくだせえ。」そういうと可愛らしいガーデニングチェアーとテーブルを指差す。
我々は、促されたまま腰を下ろすことにした。
田吾作が小屋の中に入るとお茶を用意してくれた。
濃い茶色の爽やかな匂い。
これは!
私は、一口飲む。
「これ!ルイボスティーですか!」私が驚愕する。
大和が鎖国するにあたり、今まで嗜んでいた嗜好品の輸入がストップした。
大和では、魔法を受け入れられても諸外国はそうも行かない。
邪教として扱われて、貿易をストップした国も多い。
そして、様々なものが食べれなくなった。
地産地消が見直され、大和人の食へのこだわりと魔法の力によって昔と同じように食品が流通してきたが、いまだにこのルイボスティーだけは土壌と気候が合わない。
「こっこれすごいですよ。」なぎさもカップを持ちながら目を輝かせている。
「ホンマよ!」久々の味だ。
鎖国前は、一番好きなお茶だった。
「確かに飲みやすいお茶じゃな。」偉大さを知らないかよが、ルイボスティーを啜る。
「初めて飲みました。噂に聞いてましたが、美味しいですね。」輝夜も感心しながら飲む。
そんな、偉大なルイボスティーお茶会をキャイキャイとしていた時。
木々が擦れ
茂みが揺れる。
「なんで、櫻がここにいるんよ。」
振り返ったら、とてつもなく怒ってるヒロがいた。
その顔は今までに見たことがないぐらい怒りが浮かんでいた。
こぼれ話
鎖国後まもなく
ヒロ「お茶入れたで。」
動かない櫻子にヒロがカップをそっと渡す。
最近の櫻子は、仕事以外はずっとこんな感じだ。
ただ、何もなくボーとしている。
櫻子がゆっくり口元にカップを持っていく。
櫻子「‥‥美味しい。」
ヒロ「そうか!美味しいか。」
ヒロが櫻子を抱きしめる。その目には、きらりと光物があった。
ーーー櫻子が何も手がつかなくなった理由は、外伝である〜英雄の誕生〜を見てください。




