第八十話 名もなき冒険者の鎮魂歌
毎日、朝と夕方の2回投稿にしたいと思います。
平日は、朝8時投稿。夕方5時投稿。
土日、祝日は、朝10時。昼の15時投稿にします。
そして、私は、喪服を着てマンションの一室にいる。
「御当主様直々にお線香をあげてもらえるなんてうちの人も出世したもんや。」魔石に変えられた冒険者の家だ。
仏壇を見る。
穏やかに微笑む写真を見ると胸が締め付けられる。
「この度は、賊の侵入を許してしまい。申し訳ありません。」私が頭を下げる。
「えぇのよ。あの人が、好きで冒険者やっとったんやし、一々御当主様が謝らんでも。それに悪いのは、モンスターなんやし。」女性が優しく微笑む。
台風の時にコロッケを作ってくれてたご婦人だ。
「あの人が、冒険者になった時。『ゆうたやろ!七甲山には館があるって!あん時の怪物はホンマにおったんや!子供の頃、お前は俺を弱虫言うたけど!わしは、怪物と喋って友達にもなったからな』ってあの人年甲斐もなくはしゃいで
昔、私たちが、子供の頃。
七甲山には、古い屋敷があって。そこにお化けが住んでいる。って言われてました。
当時の子供達は、その屋敷を探すのがブームになっとって、子供の頃のあの人は、メリーさんの館を見たことがあったみたいです。
当時は、誰も信じませんでしたけど。」はは、と乾いた笑いが室内にこだます。
「それから、趣味の惰性でやっとった剣道を本気で取り組んで。酒も飲まんと体鍛えて。
『なるべく、危険な依頼は受けんが、なにがあるかわからんからな!』そんな事を話すようになって『お前と喧嘩した後に俺が死んだらあかんやろ』って喧嘩も少なくなって」ここで言葉が詰まる。
「事変の前は、仮面夫婦だったんです。私とあの人は幼馴染で長くいすぎたんです。でも、あの人が冒険者になってからは、お互いの事をよう話すようになって。なんだか、子供の頃に戻った気がして。『神辺は俺が守っているんや』ってだから、主人は、立派に最後を迎えたんです。
主人のためにも何より御当主様のためにも謝らないでください。」ご婦人は、私の手を優しく取る。
人生の先輩の強さをそして絆の深さを垣間見た瞬間だった。
窓から風がふわりと入りこむ。
チリンと風鈴の音が鳴る。
生命の力が微風に乗ってやって来たようだ。
生き物の息吹の強さが、その底力が、遺影の写真からも伝わってきた。
投稿一ヶ月記念エピソードです。
こぼれ話にしては、長いし、本作にしては、短いのですが、自分なりによくできているのであげました。
一ヶ月ここまでこれたのは、読者の皆様のおかげです!
これからも
「菊理姫様!お導きを!〜アラフォー領主ですが、引退したいので伝説の姫巫女を育てます〜」をよろしくお願いします!




