第七十四話 パーティーの開幕はフォークダンスで
毎日、朝と夕方の2回投稿にしたいと思います。
平日は、朝8時投稿。夕方5時投稿。
土日、祝日は、朝10時。昼の15時投稿にします。
外は、夏の空気がじっとりと重く、のしかかっていた。
曇っているのに、ジメジメと衣服が張り付く感覚が不快だ。
玄関の前には、ヒロがおり、同じく緋色の戦闘服に重装備で待っていた。
「あんまり無理するんやないで。」ヒロが忠告してくれた。
「無理なんてしてない。やるべき事をやってるだけ。」
そう話すとヒロは、キャップの鍔を下げて深く被りなおす。
私は、スカートをブーツに固定すると用意されたバイクに跨る。
セルを回し、エンジンをかける。
左足でニュートラルから一速にギアを落とすとアクセルをひねる。
ふわりとバイクが浮かび上がる。
そのまま、回転数を上げて高度を上げる。
「手柄は、取ったもの勝ちだ!私に遅れるでない!」冒険者たちを鼓舞する。
冒険者は思い思いの乗り物に乗り、空へ飛び立っていく。
そんな、冒険者を尻目に七甲山ラビリンスへ向かう。
空から行けばすぐだ。
七甲山の中腹。
木々の間に古びた洋館が見えてきた。
七甲山ラビリンス「メリーさんの館」
緊急結界が貼られている。入る者は入れるが、外には出れない仕組みだ。
空中で一時停止し、様子を見る。
身体強化魔法で視力を高める。
残された冒険者がぴょんぴょん飛び回る人形から逃げている。
チート人形だ。
「人形型アンデットが他の冒険者を襲っている。仏の加護を持っている者は前へ!結界を突破したら一斉に浄化をしろ!」私が、冒険者に指示を出す。
僧侶の装備をした冒険者が前線へ集まり読経を開始する。
チート人形がぴょこぴょことラビリンスへ逃げる。
逃すか!私は、氷魔法で柵を作る。
必死に人形が体当たりで逃げようとする。
僧侶達の読経が、激しくなる。
僧侶パーティの中には、護摩焚きを開始しているものがいる。
するとどうだろう。
チート人形が大人しくなり、火を取り囲み始めた。
火を消そうとしているのか?そうはさせない。
私が、魔力を込めて攻撃しようとすると一人の僧侶が肩を叩いてきた。
振り返ると切れ目の僧侶が首を横に振る。
「救いを求めています。その思いに応えてやらんとなりません。」
僧侶は、ハーモニカを出すと
辺りに軽快なメロディーが鳴り響いた。
これは、有名なキャンプで踊るフォークダンスの曲。
元は、ヘブライ語で「水」と言う意味。
チート人形は手をつなぎ輪になって踊り始める。
軽快なステップ。
大和人なのになぜか踊れる。
初めて踊るはずなのに、身体が勝手にメロディーに乗る。
マイム・マイム・マイム
マイム・ベッサッンソン!!
チート人形達が声をかけながら護摩焚きを中心に集まる。
そして、また、大きく広がったと思ったら
ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!!と合いの手を入れてる。
チート人形達がキラキラと光る。
徐々に光が大きくなり、元の少年・少女の姿に戻っていく。
「えぇ!?護摩焚きってそんな力ある?」私が目の前の光景に追いつけなくなっていく。
そして、静かに曲が終わると元に戻った少年・少女達が倒れる。
救護班がすぐさま駆け寄る。
「ダメです。死んでいます。」駆け寄った女性が静かに言う。
「煩悩や迷いを焼き払っても命までは、助かりませんでしたか。」きつね目の僧侶が残念そうに言う。
「いや、この子達の魂は救われたかもしれません。モンスターとして退治されるのではなく人として親元に帰れるのだから。」
そう言って、運ばれる子供達を見た。
ーーーー悲鳴。怒号。バラバラと転がる魔石。目の前でよく知っていた子がーーー
マイム・マイムに救われたのは、私かもしれない。
こぼれ話
山男「出来た♩メリーはんの夏服♩」
山男は、淡い水色の甘ロリジャンパースカートを広げる。
人形サイズのドレスだが、ひまわりの刺繍が施されており、ボタンは、黄色のくるみボタンだ。
合わせて、黄色のブラウスも作った。
山男「メリーはん、喜んでくれるかな♩」
山男は、寝床にしている洞穴からメリーさんの館を目指した。




