第七十二話 出羽からやって来た少年とラビリンスの異変
本日から朝と夕方の2回投稿にしたいと思います。
平日は、朝8時投稿。夕方5時投稿。
土日、祝日は、朝10時。昼の15時投稿にします。
やっぱり知り合いですか。
座敷わらしの関係者なんて輝夜ぐらいだろう。
鶴介と名乗った座敷わらしは、輝夜を追って神辺まで来たようだ。
「オレの他は、みんな陸中国に帰ったけど、オレはどうしても輝夜様のとこさいだくで。新幹線に乗ったんだども。どこさ行ったらばわがんなぐて‥。言葉も違うし、古いお屋敷さ見えたから、そこに行けば、わらしっこの一人ぐらいはいると思って‥。でも、誰もいねぐて。そうこうしてるうちにオレ腹減ってきて‥。」
標準語
僕の他は、みんな陸中国に帰ったよ。でも、僕はどうしても輝夜と一緒に居たかったんだ。新幹線に乗ってここまで来たけど。どこに行ったらいいかわからなくて。
古いお屋敷が見えたから、そこに行けば、同族の座敷わらしがいると思ったのに一人もいなくて。そんなことをしていたらお腹が空いてきちゃった。
私は、かよに訛りをなおして教えた。
鶴介は、これでも訛ってない方らしい。
まじか。これ以上方言強めだと私でもわからない。
以下、通訳の妖精さん(ぽんぬ)が入ってくれたので鶴介の言葉は幼児になります。
私は、佐々木さんも執務室に呼んだ。
鶴介が来たと言ったら佐々木さんも驚いていた。
私は、鶴介がお腹が空いているので、何か好物を作ってほしいとお願いすると、おにぎりとお茶を持参して執務室に入ってきた。
今、鶴介は、輝夜の膝の上でおにぎりをむしゃむしゃ食べている。
「輝夜と鶴介は、仲がいいの?」とりあえず関係性を聞いてみる。
「あい!僕と輝夜は同じ時に生まれました!僕は、輝夜を見守ることを決めたんです!」鶴介が話す。
「佐竹家は、子供が生まれたら守りとして一人座敷わらしが生まれます。しかし、輝夜様の後の二人のご兄弟には座敷わらしが誕生せず‥。」そこで佐々木が言い淀む。
みなまで聞くのは、野暮だろう。
「どうして、神辺まで追って来たの?みんなと一緒に帰っていいと言ったのに。出羽に帰るお金あげたでしょう?」輝夜が話す。
いつも最新家電にワイワイしている輝夜がお姉さんをやっているのが新鮮だ。
「一旦、出羽に帰ったよ。旦那様たちのお墓に最後に手を合わせて出発しようってチョウピラコ様が言ったから、でも僕見ちゃったんだ。出立の前日だった。お屋敷では、珍しく宴を開いていてご馳走が並んでいたんだ。」鶴介が話す。
もしかして、佐々木が言っていた新事業パーティか?
佐々木を見る。小さく頷く。
「その時、僕見ちゃったんだ‥。」
以下鶴介の証言である。
フルーツが食べたく、こっそりワゴンに近づいたらVIPルームに入ってしまったという。
そこでは、ゆきんこが捕えられていた。
ひどく怯えていてかわいそうだったと
すると、おかしな筒を首筋に当てたと思ったら、ゆきんこがいきなり雪男に変わった。
その雪男は、僕たちが普段知っている。
大きいけど、優しくて
力持ちのニコニコしている雪男ではなくーーー。
大きさも普通の雪男より、大柄で筋肉が小山のように盛り上がり
肌も浅黒く、ひどく不自然に見えた。
本来、真っ白なはずの毛並みは、先の方が赤黒く染まっていた。
その姿は、まるで雪男の死骸のようだったと
「僕、大永事変の時に、雪男さんが力を振り絞って亡くなっていくの見たことあるから。それに似ていて怖かった。」鶴介が語る。
小さな手が小刻みに震えている。
「ただ、一つ違かったのは、目が充血してランランと輝いていたんだ‥。」
鶴介が思い出したのかブルルと震え、顔が真っ青になった。
よほど怖かったのであろう。
輝夜がそんな鶴介の背中をトントンと優しく叩いている。
「その事を輝夜に伝えたくて、それに。輝夜と離れたくなくて‥。」ポツリと鶴介が話した。
「輝夜と離れたくない。」が本音で、輝夜の所に向かうきっかけができたのだろう。
みなが沈黙している。何を話していいのかわからないのであろう。
「それは、わかったのだが!わしのケーキじゃ!」かよが、叫ぶ。
「ちょっと黙っていてくれないかな!?」私が、制す。
「わかるが、許せんのじゃ!この前の台風で、雨風にさらされ、テスト勉強を頑張り、やっとやっと。ホンマは、クレープが食べたかったんや!でも、チョコケーキが食べれるならと‥。ラヴニューのケーキィ!」
これは、かよにそこの店のケーキをホールで買わないと行けないかもしれない。
私が、そんなことを提案して宥める。
するとそこに神辺の街にけたたましいサイレンがなる。
「緊急事態!緊急事態!冒険者の皆様は組合に集合してください!」
「緊急事態!緊急事態!冒険者の皆様は組合に集合してください!」
「七甲山ラビリンスで異変発生!人体魔石化確認!」
「七甲山ラビリンスで異常発生!人体魔石化確認!」
【人体魔石化】
大永事変ぶりの忌々しい単語。
こぼれ話
鶴介!帝都駅で親切な人によって新幹線ホームまで行く
鶴介「うぅ‥。」泣く鶴介
男「僕、どうしたの?」
鶴介「僕、国鉄の新神辺駅に行くのに新幹線に乗りたいの。」上目遣いの鶴介
その場にいる男どもがパァ!と笑顔になる。
男「そうかそうか。切符はねぇ」
親切に時刻を調べ、切符を買い。ホームへ行く。
鶴介「お兄ちゃん達の被ってる帽子かっこいい!いいな!」
男改め駅員「そうか?じゃ、ちょっとだけね。」
駅員の帽子を被せてもらいキャッキャする鶴介
その後、新幹線では、運転手や車掌。その他、乗客に可愛がられて鶴介は神辺まで来ました。
鶴介が乗った新幹線には、細やかな幸福が訪れましたが、終点で一部部品が壊れました。




