第七十一話 かよのケーキを奪った謎の少年
本日から朝と夕方の2回投稿にしたいと思います。
平日は、朝8時投稿。夕方5時投稿。
土日、祝日は、朝10時。昼の15時投稿にします。
琉球や薩摩では、梅雨が明けたそうだ。
領主官邸前の庭は、夏に向けてひまわりが、ニョキニョキと背丈を伸ばしている。
こちらも大量に植えられている。
今年の夏は、黄色と紫の綺麗な庭が見れるかな?
今朝は、珍しくかよがバイト代を所望した。
どうやら、好美とテストお疲れ様会をするとか。
初めての大きなテストだ。
今日ぐらい道草食っても良いだろう。
確か、南野ノスタ付近でケーキを食べるらしい。
オンスタで見つけてずっと食べたいって騒いでいたな。
私は、執務室で書類に目を通していた。
そうそう。こんな日々が過ぎればいい。
今日は、このまま定時に帰って、ゆっくりお風呂に入ろうかな。
最近は、家事は佐々木がやってくれる。
楓も手伝っているらしい。
かよより楓の方が淑女らしくなって来ている。
かよは、箏も茶道も良い。
しかし、社交のマナーやテーブルマナーを覚えるのに苦戦している。
さらに一番の課題が言葉遣いだ。
あの〜じゃ!がなおらない。
もう、面倒だからそのままのかよを社交界に解き放とうか?
あれこれ考えながら書類を流れ作業で確認している。
バタバタと廊下を走る音が聞こえて来た。
私は、執務室のドアを見つめ、拝む。
面倒ごとじゃありませんように
「櫻子!この不届者を窃盗で処罰しろ!!」バタンと乱雑にドアが開かれる。
「かよ‥。レディになりなさいよ。」私が呆れる。
「そんな事はいいのじゃ!今は、こいつの事じゃ!」かよが地団駄を踏む。
やっぱり、この生粋のかよを社交界に解き放とう。
面白いかもしれない。
私が、現実逃避をしていると、かよがぐいっと5歳ぐらいの少年を突き出してきた。
可哀想に菊理姫様の糸でぐるぐる巻きにされており、泣きすぎてしゃくりあげている。
口にはベッタリとチョコレートが付いている。
「可哀想やん。幼児をこんな簀巻きにして、何したんよ?」私が尋ねる。
「こやつが!こやつが!わしのケーキを食べよったのじゃぁ!」かよが、涙目になっている。
「おっオレ、洒落たけぇきぃを食ってみだかたんだ。」少年が言葉を発する。
「こやつは、異国の妖じゃ!この通り、大和語を話してない!」かよが断言する。
いや、これは大和語です。
「訛りが酷いだけで、大和語や。」私がかよに話す。
これは、奥州の言葉だな。
「ケーキが食べたかっただけやってさ。」私がこっちの言葉に変える。
「こやつの言葉がわかるのか!」かよが驚く。
「あぁ、かよは、馴染みがないだけや。」私は、執務室の魔石に力をこめて秘書室にいる輝夜を呼ぶ。
「この子は、奥州の訛りがあるだけや。私は、奥州の出身だからね。ある程度わかるよ。」
そして、フルフルと震えている子供に向きあう。
「なじょして、このあねさに捕まったんだ?」久々だからイントネーションがおかしいな。
訳「なんでこのお姉ちゃんに捕まったの?」
「オレっ腹が減って‥。見ていたら、このあねさが、うまそうなの食べていて‥。つい。」
訳「僕、お腹空いて。見たらお姉ちゃんが美味しそうなの食べていたから、つい。」
「お腹空いていてもあかんやろう。」私は、キツくて言葉が戻る。
もう、奥州の言葉で話すのしんどい。
「かよ。とりあえず、拘束を解いてあげなよ。」私が、かよにふる。
「嫌じゃ!こやつは、盗人じゃ!」食いしん坊かよちゃんの楽しみにしていたケーキを奪った罪は重いな。
ため息をつく。
すると、トントンとノックする音が聞こえた。
入室を許可したら輝夜が入ってくる。
少年は輝夜を見た途端。
「かぐやさまぁぁぁぁ!」と叫び簀巻きのまま芋虫のごとくぴょんぴょんと飛び跳ね、輝夜の方に飛びつく。
輝夜が反射的に抱っこすると
「鶴介!?」と驚いていた。
こぼれ話
鶴介!初めて帝都で新幹線に乗る!
鶴介「たまげたなぁ!こったら人間がいるなんてぇ〜。」
人にぶつかる鶴介。
鶴介「あ!すまねぇ。」
お辞儀をしていたら、またぶつかる。
鶴介「あっあっ」
ぐるぐると目を回す鶴介。その場でしゃがみ込む。
がんばれ!鶴介!負けるな鶴介!
果たして、国鉄新神辺駅に辿り着けるのだろうか!?




