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『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜  作者: ぽんぬ


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第七十話 無詠唱魔法と台風コロッケ

本日から朝と夕方の2回投稿にしたいと思います。

平日は、朝8時投稿。夕方5時投稿。

土日、祝日は、朝10時。昼の15時投稿にします。


叩きつけるような雨は、更に強くなり、土砂災害注意報は警報に変わった。

ここ神辺は、本来台風の被害が少ない。よって、大きいものが来た時の被害がエグい。


「御当主!こちらが増水しそうです!」市役所の者から連絡が入る。


本来私は、官邸にいて冒険者に指示を出すが、かよの修行だ。

思う存分、土魔法と水魔法を使って貰おう。


「ほら、かよ。土魔法で壁を作らないと!」

「わかっておる!大山積(おおやまづみの)大神(おおかみ)よ!」かよが詠唱を始める。


「遅い!」私が、一瞬で土壁を作る。

「櫻子のチートめ!」かよが叫ぶ。

「詠唱なしで、魔力を使えないとあかんで!現代は基本詠唱なしや!150年前とちゃうんやから!」浪華のラビリンスでは出来なかった修行の続きだ。


「詠唱なしとはどうやるのだ?」

「大地の魔素を感じろ。そして、神々の名前を思い浮かべて、感謝して、ドンや!」

「‥本当に櫻子は、教師をしておったのか?全くわからんぞ。」かよが混乱する。


「魔素は、感じれるやろ。大地から出ているモヤモヤした感じ。まさか、手を合わせてそこから徐々に手を離して魔素が見える所からやらんとあかんか?」私が茶化す。

「できるわ!」かよに火がつく。



本当に火がついているように燃えているようだ。

雨の飛沫がモワモワとしてかよから蒸気が出ているようだ。


「肝心なのは、神々に感謝することやで!あとは、事前に神々と対話しておくといいで!」私が、アドバイスをする。

「えい!」かよが土魔法を使う!

どん!と川の真ん中に土壁ができる。

慌てて私が、崩す。

「何故壊すのじゃ!」

「アホ!あんな真ん中に壁作ったら余計氾濫するやろ!」

「今日の櫻子は口が悪いぞ!」

「真剣に指導してるからや!でも、一発で出来たのはすごいぞ!あとは、コントロールや。」

褒めるところは褒める。


そんなこんなで被害の拡大を抑えつつ、かよの魔法の訓練を終えた。

まだまだ、警戒しないといけないが、我々がでしゃばりすぎてはいけない。

クエストに出ている初級冒険者の取り分も考えないといけないからな。


組合に戻る。

山男はいない。

代わりに台風対策をされまくっている庭が見える。


組合の建物に入ると何やら揚げ物のいい香りがしてきた。

もうすぐお昼だ。

お腹が空く。


「おかえりなさいませ。お身体が冷えたでしょう。お風呂の準備をしておきました。」佐々木が気を回してくれた。

「ありがとう。」

「感謝するのじゃ。」輝夜はガタガタと震えている。

魔力操作をしすぎて体温を持っていかれたのだろう。


この程度で低体温になってるのによく大規模な魔力操作で死ななかったな。

不思議だ。


私たちは、大浴場へ進む。

ベトベトして気持ち悪い。体温で少し緩くなっている布を脱皮するように脱ぐ。

脱衣所にはお風呂セットと新しい服がちゃんと置いてある。

いちいち家に帰らないでいいのがありがたい。


かよが、ガタガタ震えて上手く脱げないので助ける。

「こっこんな時は、着物の方が良いな。脱ぎやすい。」

「はだけやすいからロリコンが集まってくるよ。」

「それは、いやじゃ!」


浴室に入るとすぐに湯船に向かおうとするかよを止める。

「櫻子!わしは、寒いのじゃ!はよ、湯につからせろ!」

「あかんって!まずは、手足を徐々に温めるの!」

ジタバタするかよを押さえつけてシャワーで体を温める。


落ち着いて来たのか自分で体を温め始めた。

全身を洗い、髪を保護するタオルを巻く。

今日のタオルは、かよが買ってきた猫耳がついたタオルだった。


湯船に浸かって全身を温める。


「温泉では、ないが気持ちいいな。」かよがとろけながら話す。

「この水は、地下水だからね。それだけで違うよ。」

私は、アヒルのおもちゃをかよに渡す。

「子供では、ないわ!」と言いつつしっかり遊んでいた。


さっぱりして執務室に入るとコロッケとおにぎり、豚汁があった。

神辺の街の奥さん達お手製「台風コロッケ」だ。

このネタを知っているのは、もうネット老人であろう。


組合の避難所はただの避難所ではなく、有事の際に街の人々がある程度暮らしていけるように色々な設備が備わっている。

その一つが、調理室だ。

こんな風に集まる理由を作ると「警報出てもまだ大丈夫やろ。」で避難しない人が少なくなった。


私は、コロッケを食べる。

ホクホクだ。味が薄いが、それが家庭の味。


「のぅ、櫻子。嵐がきたら領主は毎回このようにして町中を駆け回るのか?」かよが豚汁を啜りながら聞いてきた。

「は?そんなわけないやろ。普段は、執務室で指示出すだけや。」私が、おにぎりを食べながら話す。



「騙しおったなぁぁぁぁぁぁぁ!」


かよの声が組合の建物に響いた。

こぼれ話


ヒロ「手作りのコロッケってさ。美味しくないし、食べずらいわな。」

櫻子「ジャガイモ蒸して、玉ねぎ、みじん切りにして。挽肉炒めながら味付けして

   そして混ぜて、わざわざ、衣つけてあげるんやで‥。微塵ぎりもろくに出来ないお前が何いっとんねん。

   お前をみじん切りにするぞ!」


ヒロは時々とんでもなくデリカシーがない。


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― 新着の感想 ―
69話と70話をつまみ読みさせていただきました! ポップな掛け合いとリアルな台風の組み合わせが、ユニークで新鮮でした。 櫻子さんの〝慈悲深い聖母のような微笑み〟が気になります笑
2026/07/03 12:54 退会済み
管理
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