第六十七話 他人が人の思いを勝手に「あぁだ。」「こうだ。」決めつけるものじゃない。
本日から朝と夕方の2回投稿にしたいと思います。
平日は、朝8時投稿。夕方5時投稿。
土日、祝日は、朝10時。昼の15時投稿にします。
※本日は、23時50分まで8万字チャレンジしてます。
今晩は、投稿が増えます。
視線を落とし目の前の紅茶が入ったカップを見ていた佐々木が視線を上げる。
その目には力がこもっていた。
「ご当主様には‥。輝夜様を守っていただけませんか?」意を決したように佐々木が話す。
以下、佐々木亜由が語ったことだ。
万梨阿の淑女教育は母でもなく。乳母でもなく。
相馬家の女主人の相馬左衛子様が行っていたと。
左衛子は、偏った思考の持ち主で、内宮が偉く外宮の人間は人間であらずとの考えだとか。
特に【伝達者】を嫌悪しており、その忌避感は病的だったとか。
「左衛子様が伝達者の任務をされていた時、助けた外宮の者に暴行されたとか‥。実は、その事件は、他の伝達者が指示して見せ物にして楽しんでいたと‥。女なりに魔力が強い左衛子様を妬んだ犯行だった。左衛子様が亡くなった後に。左衛子様のゴーストが夢に出てくる、と元公爵家の方が仏前に手を合わせに来たと相馬家の者から聞きました。」
「その人は、私の祖父の伊達胤継ですね。」私が、そう静かにいう。
「知っていたのですか?」佐々木が驚きを隠せないでいる。
「人が集まって酒の席になると話していましたよ。下品に。あの人は、反省してなかった。私が、伊達家を取り潰す時に命乞いをしていましたよ。自分の義理の姉を襲って、妻を廃人に追い込んだ外道でも自分の命は惜しいようでしたよ。」吐き捨てるように言う。
そう、私の祖母は相馬左衛子の妹の宇多子だ。姉妹は、石長比売と木花咲耶姫と喩えられていたとか。
姉妹仲もあまりよろしくなかったと。
だから、実は私と万梨阿とは、再従姉妹だ。
元から、それほど付き合いはないが。
佐々木の話に戻ろう。
そんな、左衛子様は、万梨阿を厳しく育てたそうだ。
しかし、歪んだ教育は万梨阿を歪ませる。
伝達者憎し、伊達家憎し。
伊達家が、神々の怒りにふれ外宮が天変地異に陥った時には、祝杯をあげていたとか。
その時、第二子を妊娠中の万梨阿様も大層喜んでいたそうです。
それを良しとしなかったのが、先代の大奥様の佐竹久枝様。
そもそも、当時の当主佐竹左衛門様と奥方の久枝様は、婚約者がいる嫡男を誑かし妊娠した万梨阿様を良く思っていなかった。
輝夜の教育に関しても、気に入らなかったらしい。
着飾ったり、連れて歩くのはしたがるが、教育らしい教育や育児をしない。
輝夜が言葉を話す頃になると顔つきも姑の久枝様に似てきて基本放置していたとか。
妊娠させた張本人の父親も放置・無関心とか。
今では、口うるさかった母に似ているから心無いことも言っているらしい。
胸糞悪い話だな。
輝夜が使用人のように働いていた理由がなんとなくわかった。
しかし、あの男と結婚しなくてよかった。
佐竹家の現当主佐竹卓は私の元婚約者だ。
万梨阿様が妊娠した時、左衛門様と久枝様は頭が畳にのめり込むんじゃないかってぐらい謝っていた。
しかし、私には、好都合だった。
卓は無能だ。
一言目には「父親が言っているから。」「父親が言うには。」
なんでもかんでも父親。父親。
自分というものがない。
そして「女なんだからぁ〜」もうるさい男だった。
すぐに怒鳴るし、手も出す。群れないとダメで小物。
なのに公爵家という地位と父の意を借りて威張り散らす。
父親が立派なのになんで息子がこれほどポンコツなんだ?っていうぐらいポンコツ。
私は、卒業後結婚が嫌すぎるあまりに顔にひどい傷を作って婚約破棄を考えた程だった。
こんなやつの尻拭いをする人生なのかと。
だから、万梨阿様が奪っていったのを手放しで喜んだ。
そんな話を私はする。
「そう‥だったのですね。」佐々木がまたも驚いている。
「万梨阿様のことだから、「櫻子から卓を奪ってやりましたのよ!オホホホホ!」ってしていたんじゃない?」私が、万梨阿様の真似すると佐々木の口元が緩む。
「私は、佐々木さんが思うほどダメージ受けてないよ。」
「そうでしたか。私の取り越し苦労でしたね。やはり、人の気持ちというのは聞かないといけませんね。」佐々木が視線を落とす。
その表情は、少しホッとしていた。
「そら、そうですよ。血を分けた親子でも、永遠の誓いを立てた夫婦でも気持ちを伝え合うのは大切です。自分の気持ちを察せというのは、傲慢ですよ。」私が静かに言う。
「確かに、万梨阿様に聞かせたいです。万梨阿様はよく「卓様が私の気持ちをわかってくれない!」って嘆いていました。」クスクス笑いながら佐々木が話す。
こちらも笑い話にしないとやっていられないのだろう。
こぼれ話。
輝夜「なぎささん!」
なぎさ「はい!なぎさです!」大きな声になぎさの返事がおかしくなる。
輝夜「オロチから命令は来てませんか!?」
なぎさ「報告書を週一送るようにとだけですよ。」
輝夜「そうですよね‥。異変とかないですか?」
なぎさ「そんなに頻繁に異変は起きないですよ‥。」
輝夜「そうですよね‥。」
なぎさ「それより、メイク素敵ですよ。」
輝夜「そうですか!実は竜胆さんに教えてもらって!」
こうやってきゃいきゃいと日々が過ぎていく。




