第百十八話 楽しい三角鬼、始めます。三日間です。
毎日12時に投稿してます。
全年齢版櫻子とヒロの出会い編
『菊理姫様!お導きを!』〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
現在執筆中!
そちらは毎日18時更新!
かよが神器を前に悩んでいる。
「神器での戦い方は、自分で編み出さないといけないからね。」
私が静かに話す。
「お母様はどうしたのじゃ?」
かよが尋ねてきた。
「……ごめん。わからないんだ。」
「わからない?」
かよが小首をかしげる。
「私の父は……。“神のなりそこない”になってしまったんだ。」
「………。」静かに聞くかよ。
「私は、父を討伐したのだけど…。父が“なりそこない”になったから…。縁が切れて私の中で父の記憶がない。」
「………。」
「神器の扱いは…。父が教えてくれたようで。そこだけ、ぽっかりない。」
かよが神妙な顔でこちらを見てる。
「でも、感覚的にあるのは、“イメージする事”かな。」
そうして、私の神器であるハサミを出した。
そうして、日本刀サイズに変える。
「こうやって、これくらいのサイズで攻撃した方が相手にダメージ与えやすいな…。とか考えながら神器を持つとそのサイズに変わる。まずは、それを考えてそれぞれの神器の加護を感じ取ったら良いかな。」
かよは頷くと神器を手に取る。
まだ、どう使えばいいかわからないのだろう。
それでも、何度も鉾鈴を握り直している。
「焦らなくていいよ。神器は、使いながら覚えていけばえぇ。」
「はい!お母様!」
その返事を聞いて、私は小さく笑った。
こんなやり取りが……。
私はお伽話の中を覗いているように思える。
『神器はなぁ!イメージする事が大事だ!櫻子!しっかりイメージしろ!』
私の脳裏にメガネをかけ、四角い顔の武人が浮かぶ。
鋭い眼光が若干ヒロに似ている。
「………!」
自然と目から涙が流れた。
私は頬を触る。
手が濡れている。
かよは、こちらの様子に気づいていない。
私は気づかれないように涙を拭った。
私の心の雪解けがじんわり進んだ気がした。
8月末日
空は澄み渡り、夏の熱気はまだ暑さを残している。
私たちはそれぞれ緋色の軍服と戦闘服を着ている。
真っ青な空に緋色の軍服が揺れる。
青野原演習場には砦が三つ建てられた。
三つの砦は、赤・青・緑の色に塗られている。
そして、私は軍帽に赤い鉢巻を巻いている。
ヒロも同じくように赤い鉢巻を巻いている。
豊富と茜茜は、青の鉢巻。
徳田さんと陸自の駐屯司令官は、緑の鉢巻。
そして、なぜか陸自のメンバーとオロチのメンバーは演習まえから疲れた顔をしている。
輝夜が同僚と何やら話した後、こちらに戻ってきた。
「今回、神辺チームで良かったです。」と顔を真っ青にしながら話してきた。
「徳田さんも本気なんやね。私たちも本気出さないと危ないかもね…。」
そう言うと輝夜の顔がさらに青くなった。
まだ、始まってないのに大丈夫か?
私たちは並ぶ。
目の前には、それぞれの軍が整列してる。
「隊列!気をつけ!」徳田が指示を出す。
一斉に気をつけをする軍隊。
その動きは乱れがない。
「隊列!休め!」
また、一糸乱れない動きで休む。
「本日は、神辺軍、浪華軍、中央騎士団、そうして陸自による合同演習を行う。櫻子君ルールを説明したまえ。」
「はい。みなさんには、三角鬼をしてもらいます。ルールは簡単です。赤・青・緑の鉢巻をしてますね?赤は緑の鉢巻をとります。緑は青の鉢巻を、そして、青は赤の鉢巻を取ります。」
私は、モニターに図形を写す。
赤
↗︎ ↘︎
青 ← 緑
「鉢巻をとられた人は、離脱用の魔道具を使ってセーフティーゾーンへ向かってください。この籠がついた魔道具を地面に叩きつけると籠が現れて乗ることが出来ます。今手本を見せますね。田中将補お願いします。」
そう言うとヒロが皆の前に進む。
そして、腰につけてる籠がついたストラップ型魔道具を地面に叩きつけて人一人乗れる大きさにした。
ヒロが乗り込む。
すると籠はひとりでに浮き上がりセーフティーゾーンへ向かっていく。
その様子を自衛官が歓声をあげながら見ている。
「と!このように危なくなったら離脱してくださいね。勝者は相手の大将と補佐を討ち取ったチームです。身代わりの魔道具が壊れたら終わりです。」
そう言って私は自分の藁人形を見せる。
「この藁人形が燃えたら身代わりの加護がなくなります。豊富さん、ちょっと良いですか?」
不思議そうな豊富がこちらに来る。
「みんなに藁人形を掲げて見せてください。」
「……え?」豊富が驚愕した顔でこちらを見る。
「大丈夫ですよ。一瞬で終わらせますから。はい。」
そう言うと豊富の藁人形を持たせてみんなに見えるよう掲げさせた。
私は、ハサミを日本刀ほどの大きさに変える。
そして、豊富の首へ
振り下ろした。
「ちょ!櫻子はん!!」
豊富が避けるより早く、刃が首に食い込む。
しかし、手応えがない。
ーーーーその代わりに、藁人形が燃えた。
「このように致命傷を与えると藁人形が燃えます。燃えた人も籠を使って離脱してくださいね。」
「怖かった…。死ぬかと思った…。」豊富が顔を押さえて震えている。
「代わりがあるから大丈夫ネ。」茜茜が慰めている。
そこにヒロが飛行魔法で帰ってきた。
「大将が討ち取られなくて制限時間を過ぎたらより多く残った部隊が勝利ですからね。説明は以上です。」
そこで、徳田に進行を引き継いだ。
「目的は、一つ!」徳田が叫ぶ。
「先の事変のようなことが再び起きても、互いに連携して動けるようになること!そのためには互いの戦闘力を知ることが必要だ!」
「そして、死人が出ない様に演習をする事!」
「「「「え?」」」」私達四人が一斉に徳田を見る。
「制限時間は三日後の26日まで!」徳田が叫ぶ。
「はい?」私の口から素っ頓狂な声が出る。
「マジで?」ヒロが困惑する。
「聞いてないで!」豊富が驚愕する。
「っっ!!!」茜茜が声もなく顔を抑える。
「今から1時間後に演習開始だ!各部隊!将官の指示に従い、定位置につけ!」
そう言うと徳田は壇上から降りてオロチに指示を出し始めた。
やってくれたよ。あのクレイジージジイ…。
演習時間はわしの方で決めさせて欲しいってこのことか!
しかも、事前資料では日没までって!
騙したな!
「……ヒロ。」私はヒロを見た。
「なんや?」
「本気で討ち取って今日中に帰ろう。」
私はヒロの顔を見てにっこりと微笑む。
「徳田さん、殺さんようにしいよ。」ヒロが眉を顰める。
「わかってるよ。でも、徳田さんは、ちょっと一回、本気で2階級特進した方が良いかもな!」私が吐き捨てるように話す。
そんな様子を豊富夫妻が震えて見ていた。
こうして、演習が始まった。
教えて!徳田さん!
質問・なんでそんなにクレイジーなんですか?
徳田「何を言ってる。軍人として普通だ。」




