第百十七話 楽しい三角鬼の準備と夏期講習
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全年齢版櫻子とヒロの出会い編
『菊理姫様!お導きを!』〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
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かよの受験勉強も順調だ。
弱音を上げることもあるが、すぐに気持ちを切り替えて勉強に向かっている。
そして、執務室では遠隔魔法が付与された布が広げられている。
布に写し出されているのは、青野原駐屯地の駐屯地司令の男・中央騎士団の徳田・浪華領主の豊富だ。
今日は、執務室にはヒロと上野、それになぎさと輝夜だけだ。
念のために盗聴防止の魔法もかけておいた。
「これほどまでの大規模演習ですと……。早くて2年後になりますね。」駐屯地司令が話す。
「遅い。それでは、テロリストに時間をやっているのと同じだ。」徳田が鋭く言う。
「私も徳田さんの意見に賛成です。1ヶ月…。いや、2週間でどうにかしたい。」
元自衛官の上野が、残った片目を大きく見開く。
「それだと!各方面に問題が起こります!」駐屯地司令が食い下がる。
「具体的には?」私が手に顎を乗せて話す。
「まず、物資の運搬だけでも4ヶ月から6ヶ月必要です。」
「ならば、こちらの転送魔法を使いましょう?徳田さん可能ですよね?」私は徳田を見る。
「構わない。」徳田が短く答えた。
「解決しましたよ。」
私は駐屯地司令の男を見る。
「安全面も問題があります!周辺住民になんと説明したら。」
「ならば、結界を張りましょう。青野原演習場は何ヘクタールですか?」
「830ヘクタールほど。」
私が考える。
「簡易的な社を作って…。結界貼れば補えるかな…。」
そう呟くと豊富の顔が驚いた様子で私を見てくる。
「予行もせずに一発本番は危険です。怪我人が出ます!」
「予行とはなんだ?事変の時に予行練習があったか!」徳田がドン!と机を叩く。
「心配なのはごもっともですね。身代わりの魔道具とセーフティーゾーンまでの脱出の魔道具を各隊員に装備させましょう。」私が考えながら話す。
「予算は大丈夫なん?」そこでヒロが魔道具職人らしく尋ねてきた。
「どうでしょう?徳田さん。」
「金なら引っ張ってこよう。」そう一言言い腕を組んだ。
頼もしいことで。
「それで、どんな演習にする?」徳田が尋ねてきた。
もう、1ヶ月以内にやる事は決定だな。
「そうですね…。」
「……鬼ごっこ。」
なぎさと上野、それに輝夜が私の顔をゆっくり見た。
「三角鬼をしましょう。」
そう言って私は両手を合わせて顔の横に持っていきコテンと小首をかしげた。
なぎさと上野・輝夜が冷や汗をかきながら震えている。
夏なのどうしたのだろう?
夏風邪でもひいたか?
ーーー午後。
私は、演習場に来てる。
演習場では、かよが坐禅を組んでいる。
警策を持った久海がかよの前に来る。
一礼する。
かよも一礼。
久海が警策をかよに与える。
パシン!
乾いた音が演習場に響く。
さて…。そろそろかな?
「久海様、ありがとうございます。」
私が礼を言うと
久海が合掌して演習場を出ていく。
「じゃ、魔力を練り上げてみようか。」
「はい!」
元気よく答えて立ち上がる。
かよが魔力を練り上げる。
かよが体に魔素を巡らせ濃くしていく。
そうして手から風を出した。
「お母様!」
かよが、キラキラした目でこちらを見てくる。
「大変よくできました。」
私が、褒める。
かよが両手をぎゅっと握りしめ、顔の前で小刻みに震えている。
目には、嬉しさが滲んでいた。
「じゃ、この状態を寝ている時以外ずっと維持してね。まずは、風魔法かな?かよの適性は風みたいだね。」
「……え?」
かよの目が驚きと絶望に満ちる。
「風魔法の魔素が常に濃く満たした状態を維持しなさい。簡単でしょ?」
かよがフルフルと顔を横に振る。
しかし、キッと目を鋭くさせて
「お母様!わかりました!」
そう言って、自分の魔素を巡らせ濃くしはじめた。
ーーー夜。
私は、かよの社交ダンスを見ている。
神楽舞ができるからまぁまぁかな?
しかし、時々リズムが狂うな。
足がもたつく時がある。
今は、浪華から豊富さんの側仕えの西林が、かよのダンスの相手をしてる。
佐々木がピアノを弾く。
優雅なワルツがホールに響いてる。
「俺も見ていてかまん?」
そこにヒロがやって来た。
「えぇけど…。どんな風の吹き回しよ。」
「いや、事変の後の舞踏会で櫻ダンスしていたやん。」
「……。」
「もう、一回見たいなって。」
「毎年、社交会で踊ってはいるけどね。三条さんと…。」
私は、そう言って目を伏せる。
「櫻、踊ってや。」
ヒロが私を見つめてくる。
「じゃ、ちょっとだけ…。」
そうして、私は、西林にアドバイスを受けているかよに声をかけた。
「かよ。私がお手本見せるわ。西林さんお相手お願いできますか?」
そうして、私はヒロの前でダンスを踊った。
また、ヒロではない別の男性と。
青野原駐屯地
たくさんの物資と死んだ顔のオロチのメンバーを連れた徳田が転送魔法と空間移動魔法で現れた。
自衛官「こっこれはどうされたんですか!?」
徳田「今日からここに邪魔する!演習までに連携が取れるようにするぞ!駐屯地司令を呼んで来い!」
自衛官「いきなりそんな!」
徳田「何を言う!我らを打ち取りにくるのは神辺だぞ!櫻子君と田中が相手だ!下手したら死ぬぞ!」
顔が引き攣る自衛官
徳田「大丈夫だ!そちら側の回復薬も持ってきてる!さぁ!訓練だ!」
そうして、ずかずかと歩いて駐屯地の建物に入る徳田。
その後を葬式に参列しているかのような顔をしたオロチのメンバーが続いていった。




