第百十六話 鬼教師の夏休み
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全年齢版櫻子とヒロの出会い編
『菊理姫様!お導きを!』〜しくじり元公爵令嬢とこじらせ忌守君〜
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夏の朝は開けるのが早い。
「櫻子はん!おはよう!えらい早いやん!」庭に出ると山男が庭に水を撒いていた。
「かよが受験勉強するからね。私も手伝うから。」
向日葵と桔梗が綺麗だ。
私は、しゃがんで桔梗を見る。
紫の可憐な花を触る。
私は、この花が大好きだ。
今は、記憶がないが…。
父が関わっているような気がする。
そう言えば、つげ櫛にも桔梗が彫られいたな。
私は、あの時ーーー。
父と、どんな会話をしたのだろう?
かよが私を母と呼ぶようになってから、親というものを考えることが増えた。
私の父は、どんな人だったのだろう。
父を知ってる人に断片的教えられる父と私の物語はどこか遠く御伽話のように聞こえる。
そして私は、かよにとってどんな母親になれるのだろう。
「山男いつもありがとうね。庭が綺麗で嬉しいよ。」
そうして、にっこりと山男を見る。
山男の一つしかない目が大きく見開かれる。
「櫻子はん!」
「…?」
「今度!いや!今日、メリーはんと可愛い物同盟しやん?」
「そうだね。事変以来集まってなかったかぁ。時間調整するよ。夜でかまん?」
「わかった!きっとやで!きっと!」
そう言うと、身体を大きくして七甲山へ帰って行った。
私は、その背中を見送る。
さて。
どんなカリキュラムで進めようか…。
予定を組むために家に入った。
私の目の前にはテーブルに突っ伏したかよがいる。
「これくらいは出来ないと…。通学許可が降りへんで。やっはり寮生として申請しなおす?」
私の提示した予定表を見たかよの反応だ。
「いえ…。大丈夫じゃ。お母様が規格外と言う事を思い出していただけじゃ。」
「そうかな?私の二重学園生活よりは楽だと思うで。」
そこで、かよがガバッと顔を上げてとんでもない物を見たような目になる。
「だって、昼間に外宮の高校行くやろ。その後に内宮の華族学校に登校して…。夜間学校組は成績優秀じゃないとアカンからその分寝る時間削って勉強して…。私は、親の手伝いもしていたから休日も仕事していたやろ。だから、外宮の高校は寝に通っていたからいつも赤点ギリギリやったわ!」
懐かしいな…。
2度とやりたくない!
「それで…。お母様は浪人せずに大学に通えたのか?」恐る恐るかよが私に聞いてきた。
「まぁ、共通試験までには仕上げたから。」お茶を飲みながら話す。
「それで、国立教育大学に入れたとか…。うちのお母様は規格外です…。」
「まぁ、私の話は置いて置いて。」
私は物を置くジェスチャーをする。
「かよの勉強に入るよ。朝の方が学習効率はいい。それに、必ず休憩を入れる事。よく、休憩なしでガーっと勉強する人いるけど効率が悪い。とりあえず、はい。」
そう言って、イラスト付きの古事記の絵本を渡した。
「かよは難しく考えすぎかもね。これで簡単に覚えて、こっちで補足するようにしなさい。」
そう言うとトントンと現代語訳版の古事記を指差す。
そうして、ノートを開くかよ。
その眼差しは真剣だ。
頑張ってくれて嬉しいよ。
華族学校では、西洋の神々の名前も覚えるんだからね。
ーーー組合の執務室。
かよは午前中は私の執務室で勉強していた。
私は、自分の仕事を捌きながら、時々かよの勉強をみる。
しかし、数学は無理だ。
私にも思い出す時間をくれ。
よく見たら思い出すが、時間がかかる。
そこは、現役世代が近いなぎさと輝夜に任せた。
昼食を食べながら、今日の進捗を見る。
ぼちぼちかな?
「食べ終わったら、今日の問題のミニテストね。」私が、かよに話す。
「「「え。」」」三人娘が一斉にこちらを見る。
「当たり前やろ。テストでは、覚えたことを思い出すことが一番大事なんやから。詰め込んで勉強した気になっちゃあかんよ?」
かよが、ソファの背もたれにぐったりともたれかかった。
夜の淑女教育も厳しくしないといけないかしら?
そして、今は演習場に来ている。
「魔力を練り上げてみて。」私がかよに指示を出す。
かよが、手を合わせて魔力を集中させる。
アカンな…。
「辞め。」私はかよの手首を握る。
「なぜなのじゃ?」
「魔力操作は力任せにする物じゃない。体に魔力を巡らせ濃くするように扱うんや。」
「私の体に触れてみて。」
かよが私の肩に手をおく。
私が魔力を練り上げてみる。
私の手のひらに氷が現れる。
「力使っていた?」
「全く使ってないのじゃ…。」
「まぁ、今回私の得意な氷魔法だからね。炎魔法だと少し力むかも」
そう言って私は手のひらで炎を出す。
「いえ。これも力を殆ど使っておらん。」
「まぁ、やってごらんよ。」
そう言ってかよの魔力操作を見る。
かよは、両手を合わせて魔力を練る。
やはり力技だな…。
「肩の力を抜いて。集めるではなく巡らせる。」指示を出す。
「はい!」かよが返事をしながら魔力操作をする。
「これまで。」私が止める。
「なんでなのじゃ!まだ始まったばかりではないか!」
「疲れた状態で魔力操作しても魔素神経を痛めるだけや。それよりも魔素の巡りを理解するのに坐禅を組もう。そこからやな。」
そこで、スペシャル講師をお呼びする事にした。
「久海様!お願い出来ますか?」
演習場に茣蓙と警策を持った久海が現れた。
「御当主様。此度はこのような依頼本当に良いのですか?」
「えぇ、私も久々に坐禅を組みたいので。」
私は、茣蓙を受け取ると演習場のゴツゴツとした土の床に敷く。
そうして、坐禅を組んだ。
私もだいぶ鈍った…。三回も警策をいただいた。
かよは、何回、警策をいただいていたかわからない。
それでもーーー。
「ありがとうございます。」
かよの目は真剣だった。
いい目をしているじゃないか。
この子に私の持てる物を全部叩き込もう。
知識も
魔法も
体術も
「久海様。ありがとうございます。しばらく、お付き合いください。」
「拙僧はいつでもお付き合いしますよ。」そうして合掌して演習場を出ていく。
入れ替わりにヒロが入ってくる。
「次は、体術の勉強やな。」
「え?休憩は?」かよが私の顔を見る。
「いらないでしょ?」こてんと小首を傾げて言う。
「お母様は鬼じゃぁぁぁ!」
こうして、かよの地獄の夏休みが始まった。
私にとっても。
ーーー母親になるための、夏が。
ケモミミ de night のカウンター
そこにはなぎさと美久が座っていた。
なぎさ「出来ました!櫻子さんと大夢さんの紫苑の物語!コミケまでに間に合った!」
美久「こっちはもう早割入稿で上野×なみのカプで出来上がってるもんねぇ〜。」
そう言ってピースをちょきちょきとする美久。
なぎさ「人の弟と弟の恋人でエロ同人誌作らんといてくれる?」
美久「そんなこと言うたら、なぎちゃんだって上司を同人誌にしてるやん。」
なぎさ「私は、全年齢やもん!」




