第百五話 聖女と魔女
毎日18時更新
こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。
ヒロの方が先に動く。
少年の手を叩くとナイフを取り上げた。
「お前も魔女の邪術にやられたんか!」少年が叫ぶ。
少年の肩口から血が滴る。
「ヒロ。ちょっと抑えていてね…。」
そう言うと私は少年に近づいた。
「何するんや!俺にも邪術を使うんけ!」少年が叫ぶ。
手に魔力を込める。
「やめろ!血塗られた鬼女!」尚も少年が叫ぶ。
手に込めた魔力に集中する。
「はい。傷口が治りました。体内に弾丸がなくてよかった。そこまでの治癒魔法は、私にはできないから。」
少年が意外そうに私を見た。
「……あ!宗教上の理由で治癒魔法使えないタイプかな?その辺の所、お家の人なんて言ってるか知ってる?」
呆けて喋らない少年。
困ったな…。
「とりあえず放してあげて。」ヒロに声をかける。
少年を解放するヒロ。
「なんで?俺を助けたんや!」少年が叫ぶ。
「俺は、お前を殺そうとしたんやぞ!」
私は乾いた笑いがでた。
「それがどうしたの?」
その回答にも不満そうな少年。
「俺が弱いからか!」また叫ぶ。
ちょっと元気が良すぎないか。
耳が痛い。
「まぁ、それもあるけど…。あなたは、人を殺せないでしょう。」
「バカにするな!毎日!お前を殺そうと訓練しているんだ!」
え?何それ怖い。
「まぁ…事変の後に私を殺そうとした人多いからなぁ…。」
「そうだ!魔石を食った魔女!血塗られた鬼女!」少年が殴りかかる。
はじめに堪忍袋の尾が切れたのはーーー。
ヒロだった。
「オイ。黙って聞いていたら。櫻が救った命の前でもソレが言えるんやな?」ヒロが威圧しながら少年の胸ぐらを掴む。
震えて涙を出す少年。
「お前…何歳や?」
「10歳。」
「じゃ、事変の頃の記憶ほぼないな?」
「おっ親や、司祭様が教えてくれた…。」
あぁ、なんとなく見当がついた。
しかし、これ以上ややこしくしないでくれよ。
「なんか面倒になってきた…。早く徳田さんに引き継ぎして帰ろう。これ、私の仕事の範囲越えてるわ。」
「櫻がそんな事言うなんて珍しいな。」ヒロが驚く。
「君、清浄理性教会の子でしょう。」
「やっぱり魔女は心も読むのか!」また叫ぶ少年。
だから、うるさいって。
「言っている事が、追悼式典の前で毎年集会起こしてる人達と同じやん。」
「で…。その教会の子がドッペルゲンガーとなんで一緒におったのよ。」
「違う!あれは!パパとママだ!」叫ぶ少年。
「おっ俺!やっぱり魔女だって!パパとママ!魔石に変えやがった!」ガタガタと震える少年。
これは、非常にまずい。
「さっき…君は怪我したら血が出たでしょ?でも、君が信じていたパパとママの残骸見てみなよ。」
そう言って少年に魔石になったモノを見せる。
「これが、人に見えるかい?」
「でも事変では…。魔石に。」少年が呟く。
混乱している。
この子もまた何かの思惑の被害者なのだろう。
「ヒロ!魔石の解析しよう。」
そして、少年の方を見た。
「解析結果を見たいかい?」
少年がコクリと頷いた。
その目には戸惑いと疑念が浮かんでいた。
たまには、後書き休みたい。




