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惑星F冒険譚  作者: 伊藤テル


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【04 動く生命体】

・【04 動く生命体】


 胸をなで下ろした寧々が、

「今回は無事着陸だね!」

 と声を上げた。

 何も言わなくても着陸の時になると、寧々もリリもナナロロも、一番のメインのスペースにやって来ている。

 やっぱりそれだけ心配ということなのかもしれない。

 俺たちは宇宙船の窓から外を眺める。

 すると何か動く生命体のようなモノを発見した。

 それは海藻のようなモノが体から触手を出して歩いていた。サイズは俺の膝下程度。

 どうやらこの惑星Fは植物が進化していくらしい……じゃない、どうやらじゃない、事前の学習でそうだった、と思いながら、

「みんな、惑星Fは動く植物が天下を獲る惑星だ。ということは今動いている緑色のモノはその先祖にあたる。あまりこの惑星に干渉はしたくない。できるだけあの動く植物は殺さない方針でいこう」

 するとリリが、

「でも食べられるんじゃないか? 一応可食センサーを通していてもいいんじゃないか?」

 ナナロロも同調するように、

「そうだな、植物には植物の栄養素があるし、捕まえて食べるのもアリだと思う」

「珍しく意見が合ったな」

 とリリがナナロロにニヤリとすると、ナナロロも呼応するように笑った。

 俺はどうかなと思っていると、リリが、

「とりあえず外に出て、可食センサーを押し付けてやろうぜ」

 と言ってリリが外に歩いて出ていったので、俺も寧々もナナロロもそのあとをついていった。

 リリは早速歩いている海藻のようなモノを掴んだ。

 サイズは五十センチくらいだろうか。俺たちは宇宙スーツを身に纏っているとはいえ、すぐに触れるなんてよくできるな、とは思ってしまった。

 触手をバタバタとさせる動く植物に可食センサーを押し付けると、食べられるという判定が出た。

「どうなると死ぬかな」

 そう言ってなんとリリが思い切りちぎると、その動く植物はぐったりして動かなくなった。

「リリ!」

 俺が反射的に声を上げると、リリは小首を傾げながら、

「いやサバイバルなんだから、これくらいするだろ」

 と不可思議といった感じにそう言った。

 するとナナロロが、

「まあまだ先祖中の先祖だから大丈夫だろ、で、その惑星Fの現代ではどう進化したって話だ?」

 俺は記憶を元に喋り出した。

「いやただ原始的な生活をしているって話だ。道具とかもほとんど使わないって話だ」

 ナナロロはうんうん頷きながら、

「じゃあ大丈夫だろ、知能指数も高そうじゃないし」

 すると寧々が、

「でも可哀想……」

 と言ったのだが、即座にリリが、

「いやいや、ジビエ食うのと何も変わらんだろ」

 と言って深呼吸してから、またリリが口を開いた。

「じゃあまたペアになって食材探しでもするか、今回はナナロロと行くわ」

 俺はすぐに、

「それ動く植物を狩りたいだけだろ!」

 と声を荒らげたのだが、リリが、

「こういう調子が良くなってきた時こそ親睦を深めるんだよ、なぁ、ナナロロ」

 と言うとナナロロも同調しながら、

「まあな、意見の一致は仲良くなるために大切だからな」

 と言って、ナナロロもリリも移動船が格納しているほうへ歩いていった。

 とは言え、あんまり動く植物を狩ってほしくないのに。

 本当に狩って大丈夫なのか? それが今後に悪影響を、ある意味の良い影響を与えたりしないのか? 変に進化を促したりしないのか?

 ……ということをリリとナナロロを追いかけて、ちゃんと伝えたのだが、

「別に大丈夫だろ、譲は考え過ぎなところがあるなっ」

「どう進化しようと所詮植物、ボディガードのわたしに任せろ」

 とそれぞれ言うだけでたいして聞く感じではなかった。

 仕方なく、俺と寧々のペアは近くで魚を獲ることにした。

 移動船に乗って、釣りのしやすそうな島に移動して、今は移動船から降りて、釣りをしている。

 でも実際、その魚が急激に進化することもあるんだよな、そう考えたら、そんなこといらない心配?

 いやいや史実として、この惑星は動く植物が天下を獲るわけだから……と考えていると、寧々が俺の顔を覗き込んできて、

「譲、大丈夫?」

 俺はここはボケないとなと思って、

「大ゾウさん」

 と答えると、

「あんまり水を噴射しないでねっ」

 と寧々はツッコんでくれた。

 俺は恥ずかしそうに、

「それが”良い水”だと、いいんだけどなっ」

 と意味深っぽく言うと、寧々が笑いながら、

「もうっ、意味が分からな過ぎて若干気持ち悪いよっ」

 と俺の肩を叩いてくれて、やっぱり寧々は優しいな、と思った。

 場が少し和んだので、俺は正直に言うことにした。

「植物にそんな触れて大丈夫なのかなとは思うんだ」

「う~ん、でもそれは譲の考え過ぎじゃない? こうやって魚獲ることだって何かそういうことになるじゃん」

「それは俺も考えていた」

「とにかく今は生きることに精一杯頑張らないと!」

 そう元気づけるような瞳で笑った寧々。

 そうだ、そうだよな、

「ありがとう、寧々。元気出たよ」

「じゃあ良かった!」

 という会話はなかなかいい感じなのだが(爽やかテクニカルモノ)、一向に魚が釣れない。

 でも魚自体はぷかぷかと水面を浮いていて……魚が水面を浮いている? そもそもどういう状況だ?

「寧々、網ですくうことは可能かな?」

「それはさすがに逃げるでしょ」

 と言いつつも、寧々は移動船に乗り込み、網を持って魚の近くまで飛び、そこですくってみると、なんと簡単にすくえたのだ。

「逃げない!」

 そう叫んだ寧々に俺は一つの仮定が浮かんだ。

「もしかすると魚がこの惑星における植物のような存在なんじゃないか?」

「どういうこと?」

 と寧々が聞いてきたので答えることにした。

「魚が動かなくなって、もはや浮島のように漂うだけで、逆に植物が動くようになるみたいな」

「それはあるかもしれないね」

 と言いながら寧々がすくった魚をトントン叩くと、

「めちゃくちゃ硬いかもしれない、何かもうこの時点で鰹節みたいになってる」

 可食センサーも通して、どうやら食べられることは食べられるらしい。

「じゃあ寧々、ここからはどんどんすくっていこう」

「うん、譲も移動船に乗って乗って」

 俺と寧々は移動船から水面に漂う魚をどんどんすくっていった。

 確かに魚はとても硬くて、しっかり煮て、身をほぐさないとダメだなって感じだった。

 でもその分、保存食は容易に作れそうな感じがした。

 宇宙船に戻ってくると、案の定、リリとナナロロのペアが大量に動く植物を狩っていた。

 山ほど、というか、何だ、二十キログラムくらいか?

「いくら何でも獲りすぎだろ!」

 と俺がつい声を荒らげてしまうと、リリが、

「こういうのは獲れる時に獲らないとダメだろ、新しい素材になる可能性もあるしな」

 ナナロロも同調するように、

「そういうことだ」

 と一言。

 まあまだ昔だからギリギリ大丈夫……か? と思った。

 (とは言え、だよ)

 (とは言えバズーカ発令中だよ)

 (バズーカって何かカッコイイよね)

 (二十五歳のバズーカって小説ありそう、俺が主人公なのか?)

 (とは言え画が浮かばないけどね、バズーカって言われても)

 (急に言われたくないよね、バズーカって)

 (急に言われても……のナンバーワンだよね、バズーカって)

 (それかクイズ。クイズも急に言われてもって気持ちになる)

 主に俺と寧々で魚を調理して、リリとナナロロが動く植物を調理し始めた。

 魚は磯の良い香りがするのだが、動く植物のほうはどうも何か、生臭いというか、なんというか。

 するとリリとナナロロがそれぞれこう言った。

「ダメだ!」

「分からん!」

 そしてリリが俺と寧々のほうを見ながら、

「譲と寧々に任す!」

 と言ってきて、ナナロロも自分の部屋に戻るように歩きながら、

「よろしくー」

 と言ってこちらを見ずに手を挙げて、いなくなった。

 リリはまだ同じ中央スペースにいるけども、何だか完全にお手上げといった感じだ。

 俺はリリとナナロロがイジっていた調理台を見ると、五分の一ほどの量をデカい鍋に入れて煮ていた。

 いや、

「動く植物は基本的に獲らない方針でいきたいから保存食を作ろうよ」

 と俺は言いながら、残りの動く植物を乾燥と燻製の機械に入れ始めた。

 鍋の中を見てみると、でろでろに溶けている感じで、正直食べられそうな感じはしなかった。

「マジで無駄にするのは良くないって」

 と俺がリリに言うと、

「知らねぇよ!」

 と言ってそのまま自分の部屋へ走り去ってしまった。

 全然料理力が無いなぁ、と思った(料理胆力というか)(料理癖というか)(料理テクポイントというか)。

 (あとそれ全部)

 (胆力も癖もテクポイントも無い)

 (料理研究家からテクポイント授けてもらう修行してないのかな)

 (まあ俺はそんなことしていないけども)

 (そもそも料理研究家というポジションなんなんだよ)

 (シェフでも管理栄養士でもないのかよ)

 (先祖代々じゃん、二世・三世じゃん)

 (俺も両親が料理研究家だったら料理研究家だったのかな?)

 (そんな未来もIFやね)

 (IFやねん)

 (素敵やん)

 (俺の中のカシアスが騒いでしまった)

 (カシアス島田、西暦五千年で知っているの俺だけだろうな)

 (でも俺、M-1好きだから)

 (M-1の二千百五十七代王者、めちゃくちゃ面白かったな)

 (まさかネオ・チンポジ漫才とは)

 (笑み籤ずっとスポーツ選手が引いてる)

 (この旅が成功したら俺が引きたい)

 (二十五歳に引かせてくれよ、今年だけはさ)

 (二十五歳-1グランプリを制したんだからさ)

 そんなことを考えながら(おいしくなーれ、おいしくなーれ、のこと)料理を作っていった。

 この日は食糧調達と料理だけで終了し、燃料もまだなので、次の日も食糧調達をすることにした。

 今回は俺とナナロロ、寧々とリリのペアになった。

 まあいろんなペアをやったほうがいいというリリの案だ。

 俺もそれは同意して、早速それぞれ移動船で移動し始めた。

 すると俺のペアのナナロロがこう言った。

「動く植物はあまり殺したくないことは分かった。でも動いていない植物もあっただろ? あれはどうする?」

「でもこれから動き出す可能性もあるから、できるだけ触れないほうがいいと思う。今のところ俺たちの体の栄養素的には大丈夫みたいだから、できるだけ関わらないほうがいいと思う」

「消極的だな、いつでもわたしはハンドガンで応戦できるけどな」

「そういう武器もできるだけ使わないほうがいいと思わないか?」

「とはいえ、わたしも鈍ってくるなぁ」

 と言ったナナロロ。

 その程度で鈍られても困るなとは思った。

 (言語が訛るのとどっちが困るかな)

 (言語訛りはマジで勘弁かな)

 (俺、リスニング能力高くないから)

 (ノット・リスニング・ボーイだから)

 (消毒液とショートケーキを聞き分けること苦手だから)

 (何でこの二つ、こんなに似てるんだろうか)

 (消毒液買ってきて、と言われて、ショートケーキ買っていった日、未だに忘れられない)

 (僕は痛いんだよ! ショートケーキ食べたら治るファミコンのキャラじゃない! って言われた日、未だに忘れられない)

 そんなことを考えながら、ナナロロと海上で一緒に魚をすくい上げていると、緊急無線の音が鳴った。

「ナナロロ! 緊急のヤツだ!」

「分かってる! すぐに座標へ行くぞ!」

 すぐさま向こうのペアの移動船の座標へ急いだ。

 場所はジャングルっぽい場所、こんな植物まみれの場所に行くなんて、危険過ぎるだろ。俺とナナロロがいたような海上をメインにしていればいいのに。

 ジャングルの中へ突入すると、なんと移動船ごと触手に絡まれている、寧々とリリがいた。

 その植物は非常に大きくて、いわゆる動いていない植物のようだったが、どうやらその巨大な植物も動く植物だったらしい。

 寧々とリリの声は一切聞こえず、触手の隙間から見える二人の顔はぐったりしていて、動かなくなっていた。

 ナナロロは一旦移動船で距離を取って、様子を見ようとしたのだが、

「ナナロロ! 俺は一気に攻め込む! 援護してくれ!」

「譲! 様子見ないのか!」

「相手は未知の相手だ! 寧々やリリを食虫植物のように溶かしてしまうかもしれない! とは言え、向こうも混乱している状態だろう! だから向こうの脳内がクリアじゃないうちに仕掛ける!」

 俺は移動船から降りて、事前に寧々が作っていたレーザーサーベルで斬り込んだ。

 ちゃんとレーザーサーベルで動く植物の触手は切れたし、切れた触手を目視し、再生していないことを確認した。

 つまり切り離せばそのまま動かなくなるということはどんどん切って構わないということだ。

 俺は無我夢中で斬っていくと後ろからバンという音が聞こえた。

 ナナロロだ。

「脇からの触手攻撃はわたしがハンドガンで守る、まずは人命救助、寧々とリリを助けろ」

「サンキュー!」

 俺はどんどん触手を分け入っていき、まず寧々とリリを助け出すと、ナナロロがすぐに移動船で来てくれて、二人をナナロロの移動船に乗せて、俺は二人の移動船を取り返しにいく。

 どっちかの移動船に付いた触手を全部払ったところで、その移動船に乗って動く植物の移動範囲外まで移動した。

 さて、最後はもう一つ、といったところで、突然その巨大な動く植物が緑色から茶色に変色していき、枯れるようにしぼんでいった。

 するとナナロロがこう言った。

「根元にコアがあったらしい、もう撃ったから大丈夫なはず。でも油断はするなよ」

 俺はもう一個の移動船に張り付いた茶色くなった触手を払って、またそれに乗って、安全圏へ移動した。

「ナナロロ! 寧々とリリは大丈夫か!」

「分からない、どうやら呼吸困難になっているらしい」

 俺は寧々の口内を確認すると、どうやら粘着質なモノが呼吸器官に入ってしまっているようだった。

 その粘着質なモノに可食センサーを突っ込むと、食べてもいいようなモノらしいので、

「水で洗い流して思い切って胃まで落とすぞ!」

 俺は移動船の中に入っている、飲み水を寧々の喉に流し込んだ。

 ナナロロも同じように、リリにそうすると、二人ともゲホッという咳をしつつ、とりあえずは呼吸の穴が通ったらしく、ちゃんと息をし始めた。

「譲、ナナロロ……」

 寧々は虚ろな目ながらも声を出せるようになっていて、リリも、

「なんとか、呼吸、できる……」

 と言い始めたので良かった。

「苦しいけど良かったぁ……大丈夫っぽい……」

 と言った寧々。

 リリも頷いているので大丈夫そうだ。

「じゃあ移動船は宇宙船まで自動操縦にしていくか?」

 と俺が寧々とリリに言うと、リリは、

「いや別に操作はもうできるけども」

 と言ったが寧々のほうは、

「別に自動操縦でもいいもんねっ」

 と言ったので、それぞれに任せることにした。

 俺たちはなんとか宇宙船へ戻っていった。

 宇宙船にて、リリがまず自分を検診してから、寧々を検診し、大事には至らないということが分かった。

 俺はここで方針をハッキリ示すことにした。

「植物には基本触れずにいくこと! これは船長からの真面目なルールだ!」

 それに寧々は勿論、リリもナナロロも同意してくれた。

 燃料も溜まったところで、また二百五十年後に移動した。

 不具合無く、タイムリープは成功した。


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