【03 食糧調達】
・
・【03 食糧調達】
・
メカニックである寧々が可食センサー四人分と、ついでに万能釣竿とすくう網を作ってくれた。
中央のスペースで四人集められて、寧々が説明している。
「というわけで、食材をこの銀の棒に押し付けるだけで食べられるか食べられないか判別できるから!」
リリが挙手しながら、
「フグのように部位によって毒がある魚とかはどう判断されるんだ?」
「全体が危険と察知するようにできているからそこは安心だよ」
「分かった」
ナナロロは前のめりになって、
「この万能釣竿は餌が要らないんだな?」
「うん、基本的には無くても掛かるはずだよ。ただ自分で動かし方は工夫してみてっ」
宇宙船の中にはそれぞれで乗って移動できる小型の移動船があり、宇宙船外へ発進できる。
勿論空を飛べるし、空中で停止することもできる。
その燃料は宇宙船にコードで繋げて、宇宙船からもらうという形になっている。
移動船の充電は満タンになっているので、移動船に乗ってそれぞれ食糧調達をするという話にしたが、それともう一つ、
「ここからはペアで動こう」
するとリリがすぐに、
「犯人の監視ってヤツか? このタイムリープの数値イジった犯人を監視するためってか?」
「いやまあそれもあるが、それ以上に何が起こるか分からない、未知の惑星だからだ」
「いやいや一番は犯人の監視っしょ。こんなことしてくるんだから何をしでかすか分かんないもんな」
するとナナロロが機嫌悪そうに、
「そう陰謀論を述べるな。宇宙船の元々の不具合のせいもあるだろ」
リリは「はぁ?」と声を出してから、
「ずっと考えていたけども、最後に確認したオマエが一番怪しいからな?」
と明らかに喧嘩腰でそう言ったので、俺はめちゃくちゃ大きな声で、
「そういうのは今しない! 犯人とか考えない!」
と叫ぶと、ナナロロが、
「いやわたしは本当に数値どこ見るか分かってなかったんだ、それ以前の寧々、勿論リリ、オマエらの可能性だってあるだろ」
リリは鼻で笑ってから、
「アタシにそんなことする利点が無いから」
「それはわたしも同じだ」
とどう考えても水掛け論みたいなことを言い出したので、
「とにかくそれはいいから! ペアは俺とリリ! 寧々とナナロロでいいな!」
すると寧々が、
「えっ、譲、私とペアじゃないのっ?」
と目を皿にしたんだけども、
「この状況でリリとナナロロを一緒にするはずないだろ」
ともうハッキリ言うと、寧々が口に手を当てて、
「そ! そりゃそうだね!」
と言った。
俺はコホンと一息ついてから、
「というわけでリリ、ちょっと周りを見に行かないか? 陸地もあるかもしれないし」
リリは深い溜息をついてから、
「分かったよ、船長には着陸してくれた恩があるから言うこと聞くわ。譲、アンタのことは一応信用してあげる」
「ありがとう。よろしくなっ」
俺とリリは移動船にそれぞれ乗って、移動し始めた。
さて、こんな時こそジョークだなぁ、と思っていると、リリがこう言ってきた。
「あんま変な冗談言わなくていいから。正直アタシ、疲れてんだよね」
「じゃあラジオ感覚でよろしく」
「絶対冗談言う気なんかい、まあ言う分には勝手にしろよ、もう。譲には譲の精神衛生を守る何かがあるんだろ、それがジョークなんだろ」
「分かってくれて有難い。ありが体育の日」
「そのレベルなら黙ってくれ」
俺はそのレベルしか出せる自信が無いので黙ることにした(だまるおまる)。
(おまるって先端に付いているの白鳥?)
(それともアヒル?)
(二十五歳のアヒル? 俺とタメ?)
(というか何で鳥)
(綺麗めの鳥じゃぁないんだよ)
(ウンコ出す場所、綺麗めの鳥でどうですか? じゃぁないんだよ)
俺もリリも釣竿を取り出して、魚を釣り始めた。
魚釣りは順調で、さすが寧々が作った釣竿といったところだろうか。
寧々って釣竿も作れるんだ(今度、めっちゃロボみたいなおまるを作ってもらおうかな)。
(それか竹林)
(竹林”ちくりん”って響きの良い言葉だよな)
(あー、タケノコ食べたい、旬のタケノコが食べたい)
(家帰ったら思い切りタケノコ食べようっと)
(もう竹になってる部分もガリガリ食べようかな)
(今、夏だから全然タケノコの旬から遠いけども)
(でも今の時代、いつでも購入できるし)
(じゃあ旬ってユーモアなんなんだ)
(でも旬を信じたい)
(旬・信次って名前で俳優デビューしようかな)
(竹林で分厚い魔導書を拾ったところから始まるラブロマンスね)
(ラブロマンスって男性が言うとキモイかな)
(やっぱり男性ならアクションかな)
(でもそういうジェンダー感、未だにあるのなんなんだ)
(西暦五千年だぞ、今)
(未だに男性はカッコ良くという思想あるのなんなんだ)
(男性がぬいぐるみ集めてることに否定的な女性、まだ三割くらいいるぞ)
(なんなんだアイツら)
と考えながら、釣った魚は逐一、可食センサーを通していった。
一応全部食べられるみたいで、ボンボンとクーラーボックスに投げ入れる。
リリもそんな感じで、どんどん入れていっている。
とは言え、俺よりもペースが早い。
これが医者の力かと思っていながら、なんとなく見ていると、俺はついツッコんでしまった。
「可食センサーやってない!」
リリは少し不快感を示しながら、
「見てんじゃねぇよ」
「いや可食センサーやってないじゃん!」
「後でまとめてやるんだよ」
「他の魚にも毒を回す魚が入っていたらどうするんだよ!」
「じゃあ聞くけどさ、今のところ毒のある魚いたか?」
「俺はいなかった」
「じゃあ大丈夫だろ」
そう言って、可食センサーは一切通さず、どんどんクーラーボックスに魚を入れていくリリ。
まあそういうやり方もあるか、でも俺の毒を回す魚論のほうが正しいだろと思ったけども、あんまり言って嫌われることも嫌なので、もう言うことは止めた。
日も少し暮れてきたところで、
「じゃあ戻るか」
「もうパンパンだわ」
と会話して戻って来た。
宇宙船の中に入ると、もう寧々とナナロロが魚の調理を開始していた。
ナナロロが中央のスペースの調理台で魚を焼き、どうやら寧々は保存食を作っているようで、煙がちょっとずつ漏れ出ている装置の中に魚が入っているようだ。
寧々が俺を見るなり、
「遅かったね! 欲張ったっ?」
「いやそういうわけじゃないけども、獲れる時に獲ったほうがいいじゃないか」
するとリリが、
「コイツが可食センサーするタイミングうるさくてよー」
「俺は一回しか言ってないぞ、逐一したほうが毒を回す魚とかがいてもどうにかなるだろって」
ナナロロはハッと鼻で笑ってから、
「ということはリリは逐一してないのか? 全然ダメじゃん、コイツ」
リリは明らかにムッとしてから、
「効率が良いだけだから!」
と声を荒らげた。
やっぱり俺のほうが普通だよなと胸をなで下ろした(胸板で大根おろしたみたいな)。
(胸板で大根おろしする時、やっぱり乳首をどう使うかによるよな)
(いや食べ物と乳首は食い合わせが悪いな、考えるのやめよう)
(乳首が何かと相性抜群な時ってほぼ無いから)
(でも乳首って母乳が出るところだから本来食べ物なんだよな)
(いやいやこれは男性の乳首の話だ、胸板で大根おろすという話だから)
(いや胸板で大根おろすってなんなんだ、そんなもんないわ)
(竹林)
俺たちはそれぞれ可食センサーを改めて通したり、料理をしたりで、大忙し。
作り終えたらなんと食べたりもした(これはすごい)。
比較的、宇宙船も安定しているようなので、今日は思い切り寝て、明日になったら早速少しずつ未来へ、元居た時代にタイムリープしていくことになった。
次の日、なんとか燃料も溜まったようなので、二百五十年後に進むことにした。
タイムリープは無事成功し、宇宙船内に違和感も無い。
さて、問題は着陸できそうな場所があるかという話だが、今回はちゃんと無人島の山っぽいところがあったので、そこの平地に着陸した。




