ティナ登場
そこにはあんなに頼りなかったティナが白魔法を自らが放った炎で包み込んでいた。
その一瞬の出来事に周りの大勢の人たちは息を呑んだ。
魔法衝突によって立ち込めた煙がしだいに晴れていき、ティナのに姿ががあらわになる。
ティナの周りには幾つにも圧縮、合成して作り出した大量の炎魔法の魔法陣を展開させていた。
それに魔法を発動させたティナ本人の姿が、長く鋭い尻尾に頭に炎が燃え上がる角が出ていた。
これが今のティナ。
「ティナ、。ありがとうな。」
「当たり前じゃない。シューベルがなかなか来ないから……」
ティナの顔は不機嫌そうだったが俺の後ろで怪我を負っていた女子生徒を見て態度を変えた。
「はぁ、シューベル、なかなか来ないし、何しているのか気になって探していたらこういうことになっているとは…。」
「すまん、ティナ、どうしても…。」
「いいわよ、そんなこと。あなたのそういうところも魅力だから。今はそれより彼女を医務室まで運びましょ。そこのクソ王子は顔も合わせたくないから頼むわよ。」
クソ王子って、俺もぶん殴ったから何も言えないけどそんな直球に言わなくても…笑。
ティナの魔法をもろに食らったそのクソ王子さんは目を覚ましたかと思うと、ティナのことを目にした途端
「ティナ王女⁈これはこれは、お会いできてまともに光栄です。」
「あ、そう。私はできれば会いたくなかったかしら皇太子殿下?」
「あぁ、私は貴方に会うことをどんなにまちどおしていたか、そこのクソ女じゃなくてはじめから貴方を選びたかったのにお父上が勝手になされたために。今からでもどうです?
今なら貴方を正妻に加えてあげてもよろしいんですけど?」
うん?ティナが王女?俺には二人の会話に対する情報量があまりにも多い。いったいどうなっているんだ???
「謹んでお断りしますわ。そんなみじめな姿を見て誰が貴方なんかを選びましょうか。そもそも私には決めている相手がいますのでお引き取りください。ひとまず牢獄で頭を冷やすことですね」
ティナはそのポテンシャルに、強みの態度です対抗する。
「とても無礼な言葉を耳にした気がしましたがティナ嬢のことなので許しましょう……。しかし誰が、この私に命令するんですかね。できないことを…」
次に高笑いする王子を遮って口を黙らせたのは大柄の男だった。
「ふへ?」
「バカ息子が。今日は式典で来て見たらと思えばこのザマか。たっぷりお仕置きしてあげなくてはな、、」その大柄の男には誰も逆らえなかった。
それから見たのは子を叱る鬼親の姿だった。ちょっと可哀想に思えてきてしまうぐらいの躾に少しひいていたが…。「父上、それが我が子にする態度ですかぁぁぁあ?」「なんじゃとテメェが‼︎このバカ息子め!!、!、!!!この魔法で痛めつけてやろう!オリャー!」「ぎゃあああああ…」
あまりにも無様な姿に周りの見ていた生徒はドン引き。あの王子とは思えないぐらい無様で滑稽だ。
これは明日からの学校が楽しみだ笑
それらが終わるとその男はこちらを見て、
「すまない、親として教育不足だった。王女二人には大変苦労をかけた。すまないオンディーヌ嬢。ここまで気づくことができなくて。婚約破棄したとしてもそちらの国との関係は今まで通りに円満に行うつもりだからお気になさらず自分自身の決断を後で教えてほしい。」
そんな言葉に彼女は戸惑いながらも頷いた。
「医療班、オンディーヌ嬢を医務室へ運べ。丁重にな」
彼女は傷口の応急手当てを済ませ、2、3人の王宮医師に連れてかれた。そのとき微かに声が発せられたが、怪我のせいか喉が潰れている彼女の声は俺には聞こえなかった。
でもその言葉は誰かに向けての感謝だった。
「ティナ王女にも迷惑かけてすまない。この間起きた事件のこともあったと思うしお気を悪くしてしまったこと申し訳ない。」
「いいえ、そのことはもう気持ちの整理がついたのでご心配なく。王自ら心配され誠に光栄でございます。」
「では、私は次の用もあるのでこれで」
王子の悲鳴とともに男は周りの付き人とともにその場を離れていった。圧倒的な威厳だけではなく配慮の仕方まで全ての人から見て尊敬される対象。これには俺も言葉が出なかった。
「そして君にも感謝しなくてはね」
王自ら手を差し出してきて俺に握手を求めた。
が、それに応えることはできない。
「申し訳ございません。あなたのその力は私には毒ですので。それにはお応えできません。」
王は何かを察したようで
「そうか、君はアイツの息子か…。それは申し訳ないことをした。今は感謝の言葉しか送れないがすまない。許してくれ。」
この人は国王という立場ながらも根が素直すぎる。王としての威厳も兼ね備えた素晴らしい人なのかもしれないが、
この国の主人という方に頭を下げられるのはたまったものじゃない。こんなの逆に申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。
「いえいえ、陛下とお話しできただけでも光栄です。」
「うむ、そういうものなのか、ちと謙虚すぎるような気がするが…。ああ、すまない。今は時間がなくてあまりここに滞在できない。こいつは私から十分処罰を与えておく。」
「そのお言葉、感謝申し上げます。陛下。」
「陛下、次の東方軍部との会合まで時間がありません。お急ぎを」
側近の人が王を催促する。
「また会おう、姫たちを頼んだぞ。騎士よ。父のようにな」
そういうと、王はその場を立ち去っていった。元凶の王子様とやらはどこかに連れて行かれたらしい。
「シューベルが私の騎士だなんて……/////.../。えへへ、」
父さんのことなぜ知っているのか、そのことも気になったがそんなことより今はティナのことが気になった。
「ティナ?お前王女なのか?」
「え?う、あ、えー………うーん、
しばらく沈黙何その場を包み、ようやくティナが答えた。
。そうです…」
「シューベル、別に隠してたわけじゃないの!えっと、なんていうか、その…」
少しの沈黙が続く。
ティナはなぜか焦った表情で頑なに話したがらない。
「いや、いいよ。言わなくて」
ティナにも事情があるなら無理に聞きたいとも思わない。
「うん、ごめんなさい。言えないことはないんだけど…」ティナは目を逸らして、はっきりとは答えたくないということなのか、よくわからなかった。
「それじゃ、こっちのことは聞いていいか?」
俺はティナの頭に生える角を指差す。それはティナがさっき魔法を使ってからずっとそのままになっている。
「あ、これのことですか?これはですね。わかりません。あ、これは答えたくないということではないですよ」
「ティナ、前はそんなのなかったよな?」
「シューベルには見せたことなかったかもしれません。なんせ、魔法が使えるようになったときからでしたので。私にもよくわからないというか、自然に出てきたというか…」
「大丈夫なんだよな?体とか?」
「はい、それは大丈夫なのでご心配なく。魔法を使わないときには勝手に引っ込むので。あ、でも犬歯が少し大きくなってしまうこともあってたまにつらいですけど…大丈夫です!」
ティナの元気そうな顔を見てひとまず安心する。でもなぜだか、心が痛むのが自分でもわかった。
「ティナが魔法使うところなんてそういえば初めて見たかも。いつからそんなに上達したんだ?」
「私の家系は火にちなんだ魔法を得意とするので、最初からの加護はありませけど、頑張って練習しただけです。まだまだ実力不足ではありますが。」
「すごいよ、ティナなら学年トップの実力ぐらいあると思うよ。」
「そうですか/////!一応、学年首席なんで、それぐらいは頑張らないと、。」
魔法が使えなかったティナがここまで成長してるのは嬉しい幼い頃を知っているからこそ、ティナの努力がすごいことだということがよくわかる。
俺はティナの頭を優しく撫でた。綺麗な髪が崩れない程度に
「うわぁああああ…」
「ごめん、ティナ。つい昔みたいに、」
「別に、イヤじゃないんだけど、準備してなくて驚いてしまっただけだから、気にしないで」
そんなのか?ティナは見るからに動揺してたし、配慮が足りなかった。申し訳ないことをしてしまった。
「シューベル、」
「うん?」
「ありがとね、また私のそばにいてくれて」
「お、うん?」ティナの急な感謝に動揺してしまった。
「君のおかげで、助けることができたし。あの時は迷わず行動できた。」
彼女は笑っていた。嬉しそうに。
でも俺にはまだぎこちなく見えてしまった




