白夜に残る人影
国防総省第三会議室、
「…しかし、それは受け入れ難い提案ということはわかっているな。
あやつには前科がある、シューベル•リヴァイア
あのリヴァイア家のご子息 彼は味方にも敵にもなる。あの力は我々が抑えられるものではない。」
旧首都マヌグールで起きたもう10年も前の事件 推定被害距離は爆心から半径10キロ
主要都市が地図から消えたが、奇妙なことに死者0名という奇跡が起きた事件としても有名だ。
「白夜、上司として言わせてもらうがなぜそこまで黒魔法師に肩入れする?お前はその若さで白魔法師のトップに上り詰めたというのにこれではみんなの期待を裏切ることになる。黒を討たない理由はなんなんだ」
白夜はしばらく黙っていた。自分に課せられた責務と自らの思いがあったが譲ることなんてできないことを悟った。
「総監、私は黒魔法師を討たないとは言ってません、彼だから討たないんです。」
「私情か?」
「そう思われても結構ですが、もし彼と同じ心の持ち主がいれば殺りません。これは絶対です。」
「もし、君以外の人に命令して殺させたら?」
「私はあなた方の方には一生つかないことを誓いましょう。」
「ふん、傲慢な部下だ。
君の意見はわかった。でも黒魔法師の制御役は誰が行うのかね?」
「私のご主人様に…」
「ウォルクスビナ家のご令嬢にか?お前冗談だよな…あの方は次の…」
「総監、私は冗談は嫌いです。」
「しかし、もしも令嬢がリヴァイアの手によってもう一度狙われたら危険だ。」
しかし彼女はそんなこと心配していない。
「それは神に誓ってあり得ないことです。なんだって今の彼は自由ですので。むしろ世界最強の味方がついてくれて頼もしいと思いますが…」
総監は白夜の圧倒的な自負を目の当たりにした。
「わからん、君の彼への期待はどこから来る?私は黒魔法師なんてものは信用ならん。」
「特別ですよ。彼だけは。私の師匠であり二人目の最愛の人ですから。」
その時の白夜の目は彼に向ける眼差しだったのかもしれない
「わかったお前を信じよう。それと、先程の件だが学校側の許可がおりた。まぁどうせあのもの好きジジイが勝手に許可しただけだろう。あいつは変人だ。」
「その変人さんのおかげでスムーズにことが進むのでありがたいですが。」
「黒魔法師を学校の生徒と一緒にさせるなんて普通は反感を買うだけだからな。白夜、もし事件を起こしたらお前の命はないと思え」
「喜んで、万が一とは絶対に起きないものだと思いますが。そこは責任を取りましょう。」
「あと、黒魔法師ということはバレないようにな。」
「それは言わなくても彼自信誰にも明かさないでしょう。」そう、伝えたら自分が犯人だということがバレてしまうから…
地下の部屋のため周りは静かどころか他に人もいない。
「あとは彼自身が、受け入れるのか…」それは正直自信がない。私の知る彼は優しすぎるから…
私は会議室を後にしようとしたら急に呼び止められた。
「白夜、」
「はい?何でしょうか総監。」
「白夜という偽名でいつまで私を欺くつもりだ?」
白夜という人物は少し困ったような顔をみせたあと、にこり、と笑って見せる。
「まさか、バレていたとは。総監、流石ですね。その任期は伊達じゃありませんか」
「やけに素直に認めるのだな」
「別に問題などありませんので。私はいままでの私と変わりませんので。私のやることは終えましたし。」
「これから何をするつもりだ?」
「どうでしょう、そんなことより私の本当の名前知りたいですか?」
「いや、いいもう知っている。お前の名は…」
「サナ、そう言ってください。」
「何を言っているんだ?それはお前の名と違うだろ?」
「この名前は大切な方からもらったものなので好きなのです。」
「ほう、でも無理だな。そして貴様をここで逃すつもりもない。あの時の因縁、晴らさせてもらおうか?」
「そうですか.…今は忙しいのでそれではこれにてさよならです。私どもを信用しないあなたを操れていたらここまで手間はかからなかったのかもしれません」
そう言うと、彼女は音もたてずにこの部屋から消えた。
「おい、まて!」
逃すつもりはないと答えたが、それは不可能であることはわかっていた。
彼女は人なんかに操れるものではないからだ。
「ベアトリクスか」地下の真っ暗の空間では誰にもきこえてはいなかった。
彼女が政府内でも暴れてもらうと困る。が、白夜がいたこの数年、彼女は何のためにここにいたのか、それは今日のためだったのかもしれない。
そう思うと彼女の行動は賞賛されるべきなのかもしれない。




