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幼馴染は己をみるのは苦手らしい


「シューベル今日は私たちと一緒に帰らない、ということでよかったわよね?」ティナが純粋無垢な表情できいてくる。

たしかに俺はそのことを朝のうちにティナには伝えておいて、今は確認のためにきいてきているだけなんだが、。タイミングと場所だけはもう少し考えてほしかった。

今は最後の講義が終わり、周りの生徒が帰宅の準備をしている最中。大勢の人がいる。

そんな時に、大声?それなりの声量が出るティナが俺に直接ききにきた。

ティナの知名度は学年、いや学校の中でもそれなりに高い。そんなティナが途中から来た転校生と一緒に帰っていることなんてあまりバレないようにしていたのに…

「ティナ、それは朝に言った通りだから。先に2人で帰ってて」

「うん、わかったわ。それより…なんでそんなに小声なのよ?」


周りからは幾つもの声が聞こえてくる。

「ティナ様って、あの転校生と一緒に…???????」「まさか、知り合いみたいだったけど、そこまでとは…」「嘘よ、私のティナ様ぁ〜」

「俺らの王女様が、後から来た男に…」「私の王子様が、ティナ様と。しかたないわ。私は引きましょ」

ティナには聞こえていないのか?学園に入学した初日から思っていたが、この学園内でのティナ人気はすさまじい。それが王子をぶっ飛ばしたことによって拍車がかかった。

そんな彼女はだれもが憧れる存在。中にはティナに好意を寄せている人が男女問わずいる。そんな状況の中で俺がいると勘違いされるのは避けたかった。

それに、俺はティナとは不釣り合いだから…。

「ううん、気にしなくていい。少し声が出なかっただけ」とでもしておこう。

「そ、そう。家で待ってるから。あんまり遅くならないでよ」


今はここで多くの誤解を生んでしまったがもうどうすることもできない。言い訳する方が見苦しいし、どうせ話したところで幼馴染以上の関係だと思われるのがオチだろう。


「君の大事な幼馴染とはお別れしてきたのかい?」学長室に直接の向かおうとしたその途中で学長も出会うことができた。

「学長もからかうのはやめてください。貴方の冗談は嫌いですので。」


「ん~、つれないなぁー。私もこのテンションでやるの結構つかれるのに…」


「じゃあ、そんなことしないでくださいよ。俺は貴方の行動に関しては望んだことなんてありませんよ」


「え~~、それじゃあ面白くないじゃん。」


「もう、すきにしてください。」

学長とは昔からなんかそりがあわない。べつに、俺にかかわってこなければなんでも好きにさせればいい。


「ねぇ、さっそくやらない?殺し合い。私ね、君がいなくなったあとつまんなくて。最近の学生はみんなへなちょこよ。私がぶっとばして一発ノックアウト。あーーーーあぁ、張り合いがなくておもんなっかたわ。」


生徒を守る立場の学長とはかけはなれた発言。少し変わっている人、というかかなりぶっとんでいるこの人は。

「そんなんでよく訴えられませんね…」


「うん?そんなの愛の拳よ。や、さ、し、さ、よ」


「へ~、俺にはやめてくださいね」

この人といたらいつ殺されるかわからないなぁ…


「かかってきなさい。私はこの実弾と拳銃で大丈夫だからさ」


「そんな嫌そうな顔されてもな。」

俺は別にいやそうにしていたわけではない。


「それじゃあ、俺も魔法なしでやりますよ」俺は学長の目をみた。なめられるのは気に食わない。それがたとえ格上であっても。


「ほう」

両者の間で一瞬の間がうまれる。

周りは訓練用の戦闘ルーム。学長と話している間につれてこられた。


(部屋の広さはかなりある。そして高さも。かといって魔法が使えないとなるとどうせ近距離戦になるか)


「あーーー、もう。考えるのもいいけどさ。君はいつもタイミングというものを逃しすぎぃいいい!!!!おらぁああ」

弾丸は撃ってこない。学長が低姿勢からの足蹴りがとんでくる。


銃は遠距離戦だと思わせるフェイクか!!!!

クッソ!今からよけてもだめだ。これは受けで…きりぬける。


痛みにこらえて受け身に徹した。

だが大きく壁までとばされた。壁にもう少しでめり込む、というところで全身でそれうけながしきった。


「まだまだぁぁ!!!!!!!」

「クッソ」


つぎの一撃が来る前に重いからだを動かしとっさにかわした。そしてすかさず相手の人中めがけてつきを割り込む。

「あまいね、君あますぎるよ。あまくするのは幼馴染だけにしときな」

学長にはいった一撃はむなしく腕ごとつかまれる。そして次の一手を瞬時にわりこませてくる。


「きた、いまなら」俺は内側にあしを回し入れそのまま学長をけりとばした。とおもった。


「飛んでいったと思うじゃん?」学長は蹴り飛ばされることなく俺の足にしがみついていた。


手を放して学長は距離をとると、一発の弾丸をこめた。

「火力は十分、頭ぐらいはふきとばせるか」

バン… 轟音が部屋のなかを響かせる。 煙が発射口の左右からふきだす。煙がさらに視界を塞ぐ。ただでさえよけにくい弾丸がこれではさらにみえない。


感覚をとぎすませる。くる、

弾丸の軌道が俺にめがけてむかってきているのがわかった。


「きた。二時の方向。起動を曲げた弾道か!」

拳のすきまとすきまそこでとめる。体の方向を迫る弾丸の正面にくるようにかまえた。


前方方向に突きをあたえた。とめれた、そう感触はあった。


しかし、次にうつったのは視界の端にしたたる血液。顔の左側面に痛みがはしった。

歯を食いしばってこらえ、手で傷口をおさえる。

そのとき、弾丸がおちた。そのおちた弾は半分に正確にきられていた。


「あ~あ、君の負けかな。」

学長が煙をかきわけて側まできた。


「うるさい…、」


「君も変わってない、負けん気だけはつよかったよね。ちょーめんどくさいけど。

私が撃った弾は一発のみ。でも一発だけくるとはかぎらないんじゃない?

半分に切断した弾は命中性は落ちるがそれはそれで相手にとってトリッキーなしかけになる。そしてあえて黒色火薬をつかい、通常ではでない煙を炊いた。それもまた視界を阻害するにはよい作戦になる。」


学長は淡々とこたえた。


「ほら、君も翼を出しな。漆黒に汚れた翼でな。魔法を使って真剣勝負第二ラウンドといきましょうや」


「それに、そんな弱さじゃ、黒魔法使いの名が泣くな。育てた私も恥をかいてしまう。」


「私ははじめから君が魔法なしでたたかうようにしむけた。君、負けん気だけはつよいから。

君に残された代償はもうあまり残ってないんだろ?

それじゃあ使い方を工夫しないと。魔法に頼ってもいいが君は圧倒的に消耗戦がふりなんだからさ。」


「もう一回、魔法なしでおねがいします…」


「前より弱くなったかい?それとも全ての力を使うのが怖いのか?魔法をつかうなとは私は言ってない。」


「わかりました…それじゃあ、…」 「はぁあああーーーい。終了でーす。」

俺が構えた瞬間、それは一人の声によってさえぎられた。学長と俺の間にはいったのはサナだった。

「サナ?????どうして。先にティナと一緒にかえったんじゃ?」


「あ~ちょっと用事があって。止めに来たのは、そんなの、しーくんが痛々しい姿してるからじゃない。耳、半分ないわよ」

どうりでさっきからきこえにくいわけだ…。今の状況のことを全く把握できていなかった。


サナは頭に包帯を巻いてくれたあと、そのうえから再生魔法をかける。そして耳はもとの状態にもどり、原形になった。

「まだ、治したばっかだから安静にね。包帯もとらないように。やわらかいときにはずしたら形がくずれてしまう。から。学長もこれで今日は終わりでいいよね?」


「ああ、ちょうど終わろうしてたところだ。ほら下校時間に間に合うように二人ともかえりたまえ」


「それとシューベル君、勉学も、おろそかにしないように。君の幼馴染は成績優秀だから教えてもらったら?」

最後だけ、学長は俺にまともなことをいった。

「あ、私じゃなくティナのほうね」

サナはすぐに否定した。


「最強と言われるものも、神と言われるものもいつかは力を失うものさ」

「それってさ、学長。私に行ってる?」



「さぁ?何のことやら?耳がいいのだな」

「まぁ、私なんで。学長ぉぉ?首突っ込まない方がいいこともありますからねぇ」

「そうだったな。私はまだ長生きしていたいし、まだすることもある」

「ふふ、そうでなくちゃ。しーくん、家でティナがまってるよ」

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