お風呂は全てを流してくれる
「シューベル君、君はウォルクスビナ家の娘を守るのが役目では?でも実際はなにも守りきれてない。今回のようなね」
「それは…」何も言い返せない。ティナは俺がいないから戦うことを選ばざるえない状態だった。側にいられなかった俺の落ち度だ。
「やりますよ。ティナを守り切れるのなら」
「それはそれは、また嬉しいかぎりですね」
「でも、昔みたいな泥仕事はもうやりませんよ。それと、いいかげん正体表してもらえませんか?その姿もどうせ偽りでしょ」
目の前の老紳士は丸まっていた背中を伸ばして、自らにかかった魔法を解いた。
「私もずっとお爺さんの役してるの辛かったんだよね~。こんなに老けてないのにこの姿をしてないと上層部になめられるから、しかたなく。」
現れたのは歳はそこまでとってないが若くみえるだけの女性。短くまとめていた髪をほどき、長い髪があらわになる。
「それで~、泥仕事は嫌と。ま、昔はよく働いてもらったし、今は私もそういうことはしてないからいいよ。純粋に君の師匠になってあげようか」
「俺はそこまでは…」
「君はさ、正直強いよ。でもそれだけじゃ足りないかな…。明日、学長室に来な。今日はもうおそいし、君をさ待っている人がいるから」
「わかりました。…」嫌な予感がする。今まで学長といていいことなんてなかった。でもその当時はそんなこと考えもしなかった。
「それじゃあ。期待してるよ君。それと、」学長はいつのまにか隣に戻ってきていたサナに話しかける。
「君の要望通りにやっておいたよ。感謝してほしいね」
「ありがとうございます。学長」
「貴方から本当に感謝の言葉を言われるとは思わなかった。」
地面に魔法陣を展開する。光輝く魔法陣の上に乗ると
「それでは、see you next time」
「それじゃあ、しーくん帰ろうか」
サナは何事もなかったようにティナを抱えていた。
「ひとまず、落ち着いたか?」
「どうだろ…。?。わかんないね。」
玄関についたところでティナの目が覚めた。
「あれ、サナごめん。私眠っちゃってた。すぐ降りるから」
ティナは慌てて降りようとする。
「別にいいです。お嬢様。このままベットまでお運びしますよ」サナはティナを寝室まで運んだ。
「サナありがとうね」
「いえ、それも仕事の内なので」サナは軽く会釈して忠誠心を見せてくる。
「それもだけど、私に気づかせてくれてありがとう」
「またいつでもお相手しますよ。私がまた勝ちますけどね」
「わかった。私、お風呂入ってくる。」
お風呂に入っている時は嫌な事何もかも忘れられる。でも今日のことは忘れないように心に秘めておいた。
学園では何かとチヤホヤされている。
「ウォルクスビナさんって清楚で笑顔が素敵で、誰にでも優しいわよね。憧れるわ〜。」なんて。
私は私なりに努力しているから、その成果が出ているのは嬉しい。でも浮かれていた。自分をないがしろにしていた。
シャワーの栓を開けて頭から浴びる。暖かいお湯が身体を濡らす。
「私は浮かれていた。なんでも一人でできる。今の私ならもう昔みたいに誰の世話にもならずに…。」できないことなんて最初からわかっていたのに。ムキになってしまった。
丁寧に髪を洗う。最近、新しくシャンプーを変えてみた。自分好みの匂い。そして自分磨きのためにも。
「ふ〜ぅ…。」
それから湯船に浸かる。
「私の魔法…。でも私のものじゃない。」
顔までお湯に浸かり、顔を暖める。
「そんなことしてくれるのはきっと…。」頭にはもう結論が出ていた。昔の記憶の断片からなんとなくわかっていた。
でもお風呂場という暖かく、心地よい空間の中でうっすらとなっていく。
(サナと戦ったけど負けちゃったな…)
サナは私の目を覚ましてくれるために戦っただけだけど、純粋にサナに負けたことが悔しかった。
(私、狂っていたけど、手も足も出なかった。またサナと勝負したいな)
脱衣所に人影が見えた。私はすぐに動いた。
「サナ!!今度また勝負して………!!!!!えええぇあああぁ!」
サナと思って外に出たらそこにいたのは
(しーくん!!!!!)
「シューベル!!!!!」
「ええと、サナならご飯の準備で忙しいから、代わりに着替えとタオルを持ってきた…」
「うぅっっ涙、し〜くんのヘンタイ」ティナは咄嗟にシューベルからタオルを奪い身体を隠す。
「見たわね!!!!!シューベル!もぉ〜あ、なんで来るのよぉぉ!」
「ティナ…ごめん。見てない。見てないから」
こっちはこっちで咄嗟に視線を下に向けた。
「シューベル、そんなに見ないで!!」
「見てないから。信じてティナ」
そこにサナが現れる。
「ティナお嬢様。どういたしまして?あ、ああそういうことですね」
「サナ!!なんで貴方が来ないのよ!」
「ティナお嬢様が元気がないのでハプニングでも起こそうかと」
「おい、サナ。俺は仕組まれたってことか?」
「サナぁ、私になんてことを!」
「冗談ですよ…。」サナは二人から責められすぐに逃げに入った。
「昔は裸の一つや二つ見てたじゃない?」
「それとこれは違うわよ。もう昔の私じゃないんだし…」
「ティナだってもう女性だぞ。流石に。大変申し訳ありませんでした!」シューベルはティナに土下座して謝った。(もうこれしか方法はない!)
「シューベル、そこまでは…。」
「そうそう、しーくんは悪くない。」
「どちらかといえばアンタよ。サナ」
「てへ?」サナは可愛らしく2人に見せてみるが、二人の顔は冷めていた。
「ティナお嬢様もさっさと扉閉めればいいじゃないですか。もしかして見せたかったりして。」
「違うわよ…急だったから」
「お嬢様って案外痴女なんですね。はしたない」
「私が、!痴女!もう知らない!!!!二人ともバーカバーカ!!」ティナは豪快に、扉を、閉めた。
ティナとシューベルは互いの扉の前です戸惑う中、サナだけは何やら喜んでいた。




