サナvsティナ
ピ、ピ、ピ、ピ…。心電計が微弱に反応している。ベットの上には女の子が一人横たわっている。目は閉じていて眠っているが苦しそうに、辛そうに今を生きているだけで精一杯の状態。
それはいつかの遥か昔のこと。
「これって私…じゃない」
ここは私が作り出した、ティナの記憶を元に作戦した3次元の空間。そこにティナを連れてきた。
「何これ…私にこれを見せてどうしたいわけ?喧嘩売ってんの?サナ」
「いいえ、お嬢様に初心に戻ってもらいたくて。」
「私はこの時の私とは違う。こんなの私じゃないわよ!!」ティナは病室のベットを足でけり、心の感情を顕わにする。だが実際にはそこには何もなく蹴りは空を切る。
サナは別の空間を再形成した。あたりは何もない。一面真っ白な空間へと変わった。
「まだ、熱が冷めてないみたいですね…。たしかにこの時のティナは弱々しくか弱かったかもしれませんね。」
目の前の過去のティナに触れた。でも実態ではないのでまたもやその手は通り透けた。
「お嬢様、今は仕事中ですが、呼び捨て致しますね」
「何よ。今更改まってそんなこと聞かなくても!!たまに仕事中なのに呼んでるじゃない。そんなことより、か弱い私を見て嘲笑いにきたの!!」
「いいえ、。ティナ、魔法解式、受戒。"強欲"、それを強制使用しましたね?」
ティナの魔法は全てがティナ自身が使えるものじゃない。それに伴い、強大な力には使用者への弊害が起こる。
「何よ、それが何か悪いわけ?私のものよ。私の魔法。貴方になにか言われる筋合いはないわ」
ティナは何にもわかっていない。それに…
「以前にも忠告したはずです。それは今の貴方には身体の負担が大きすぎると。死にますよ」
「私は、」
ティナの魔法がサナの顔をかすめる。
「弱い自分が嫌いなの。強くなれるなら命ぐらい削っても…」ティナの全身の毛が逆立った。
サナはティナ自身からみても心の奥深くから”怒り”という感情が伝わってきた。
「ティナ、貴方から先に攻撃しましたね。なら私がしてもお互い様。」
サナの魔法陣が形成された。そしてそこから一つの剣が生成される。
「これは私の処刑人の剣。ティナ、少し痛い目に合わないとわからなそうですか」
「そっちがその気なら。私はやるわよ。」ティナは翼を広げて空に舞う。そして手を振るった。
「サナ、貴方だからって容赦はしないわ。どうせここは貴方が作った別世界。"破壊の使い"」
ティナの魔法が空間を揺るがす。
サナは転移魔法で余裕を持ってかわした。
そして3倍返しでティナに魔法が飛んでくる。通常の無詠唱魔法なのに数と実力が尋常じゃない。
「きゃっぁ!!くっそぉ!!!!!!」
ティナが翼をひろげサナと距離をとる。
「おっと、そんなに空中にいたらつまらないんじゃない。
空から引きずり出すか」
空間が縮小された。二人の距離がぐっと縮まる。
「ばーか、私のテリトリーで距離をとっても空間そのものを縮めれば意味ないから」
「くっ、それは聞いてない」
「聞くもんじゃなくて考えるもんなの。でも今のティナには無理か。」
「ティナ、早いけどこれで終わりにするわ」サナは真剣な目つきになった。
パチン…。
サナの手がティナの頬を叩いた。
「サナなんで…?」
「バカじゃないの。それも考えられない?ティナが死んだら、誰かが悲しむでしょ!それは私だって同じ。」
「サナ…」
「そして。ティナ、私は貴方に教えてあげます。君の中にいるノワールという守護獣。それがいないと君は無力。魔法も何も使えない。そしてそれは元々、ティナのものではない。誰かが与えてくれたものってこと。」
ティナはうつむいた。ティナがどんな気持ちであっても知ってもらいたかった。そうじゃないとティナに与えてくれた彼がかわいそうだった。
「ティナは誰かにずっと守られているということ。私はティナのことが本当にうらやましい。あんな状態だったティナのことを救って、しかも今だって…。でもその人に恩を仇で返すつもりですか?」
「それは…。」
「それと、そんなことしても私には勝てませんよ。チカラは使いこなさない限りね」
彼女は黙ってしまった。もうそろ熱も冷めてもいい頃だ。
「余計なこと言ったかな…。でも、誰かのお陰だということをティナに知って貰いたかっただけ。ティナが強くなるには必要ってやつかな」
命をかけて守ってくれる人がいて、ティナがうらやましいわけじゃないんだから…。
こんなことなら、私も弱い存在がよかったなんて。思ったりしない。
「サナ、私のことを救ってくれた人って?」
「…。…ですよ」
彼女はその答えを聞いて頷いた。
「やっぱり、そんな気がしてた。」
ープツン、
「神の名の元に。記憶消去」
ティナはその場で崩れた。咄嗟に彼女の手を掴んだ。ティナの手は昔から弱々しい。でも華麗だった。
「ティナには最初からこうするつもりだったし…。今はまだ教えられられない。でも、」
そして空間に亀裂を入れると3次元の空間は消失した。
「私はどんな運命でもティナになりたかったけどね」




