ティナに迫る危機
私が目を覚ました時にはかなり静かだった。
シューベルもサナもいない。朝は容態が悪くてあまり覚えていないけど、二人はすでに学園に行っているはず…
ふらつきながらベットから立つ。頭痛がするのを頭を押さえてなんとか立っている。
そしてカーテンに手を伸ばしたとき、殺気を感じた。
「っクッ」
まだ完全に動かせない体を無理矢理動かした。
(ストレート直撃コース!?いったい何が…いや、今は受けることだけを)
魔法は窓ガラスを粉々にすると瞬く間に迫ってきた。
「クッソ、かわせないか…」
(それなら、)一瞬サナの言葉が脳内で過ったが止めなかった。
魔力解放、収めていた魔力を引き出す。その姿は竜のような翼と角が出る
「魔法解式、受戒。"強欲"
貴様が敵なら私はぶっ潰すまでだ」その角と翼はいつもに増して禍々しい。
魔法が完全に消失する。
遠距離から放たれた魔法は全て力でねじ伏せた。
「ひとまずは…。一体どこから…!」
急速に接近する物体を目で追いながら、迫ってくる攻撃をすんでのところで受け止めた。
「プリンセスウォルクスビナ。お迎えにあがりました。」
「私を殺そうとしておいてそれはないですわね」
(一体誰だ、?私を明確に殺しにきていることは確か。
ひとまず魔法の精度ではこちらに部がある。それならこのまま押し切れる。)
そう思っていたが、自身の力は狭い室内ではあまりにも動かしにくい。(それに、コイツ動きだけが俊敏すぎる。)
「"フレイムソード"」
自らの魔力から作り出した剣。これなら自分の意図のままに自由に戦える。
「おりゃぁぁぁーーーー」
相手が怯んだすきを見計らい、頭部に一撃を与える。
そのまま腹部に追撃した。相手が大きく壁にめり込んだ。
「まだ意識はあるな?おい、お前。私をなぜ狙った?」
「ウォルクスビナは一人残さず根絶やしにする。
それは我が神のために。そのためにお前が邪魔なんだよ」目の前よ相手は吐き捨てるように言った。
神?コイツらの正体がイマイチ掴めない。私が誰かの恨みを買ったのか?それとも。過去に何かあったの…か。
「わかった。拘束してからお前を警察に引き渡……!!!!!」
圧倒的な魔力を感じとった。
それが攻撃として今、私を狙っている。「二発目?!もしかしたらコイツは本命じゃない?!クッソやられた!!!」
次の瞬間、壁が破壊された。そのまま大量の魔力を浴びた光が突き抜けてきた。
(当たったら死んでしまう。)あきらかにレベルが違う魔力。
轟音と共に屋敷の三分の一が吹き飛んだ。光が消えて目にしたのは、一人の少女。彼女は宙に漂っている。
「確かに殺した…と思ったけど、貴方やるわね。天与魔法の複数同時発動。一枚作るだけでも大変なのにそれを10層、重ねがけするとは。私の魔法は6層までしか届いてないわね」
目の前の少女は話しかけてきた。でも今はそれに応える言葉が出ない。
「あら、そんなことなかったかもしれないわ。貴方、もうすでに限界じゃない。それじゃあウォルクスビナ、大人しく死んでもらおうかしら」
少女はナイフを取り出した。
「天与魔法は魔法に対抗するために作られたから。物理攻撃に対してはダメダメなのよね。貴方の血しぶき見せてあげるわ」
少女が首筋に刃先を添えた。青く見える血管に押しつけられる。
(まだ身体が…)動かせないまま無防備な状況。もうどうするにもできない
パキンっっ!!
ナイフの刃が付け根から粉々に粉砕した。
「はぁ?!!!!ウッ!」
少女はいつのまにか地べたにめり込んでいた。
そして彼が私の体を支えてくれた。
「ティナぁぁあ!!」
彼は本当に心配そうに…不安でたまらない顔になっていた。
「シューベル。私は大丈夫よ」
ちょっとだきしめらてるようで照れ臭いのか、やられっぱなしで頭にきているのか、体が熱い。
「サナ、ティナのことを頼んだ」
「かしこまりました。ティナお嬢様、なるべく私から離れないで。」
サナにティナの護衛に入ってもらう。
そして彼の表情は不安から憎しみへと変わった。
「イッツテテテ、流石に奇襲はかわせませんでしたか。でも魔力のぶつかり合いなら。"嘆きのインフィニティ」少女は魔力の再充填をこころみる。
複数の魔法を同時展開する合成魔法。さっきの高エネルギー魔法干渉の正体はこれか。
「ティナ。サナ。距離をとれ!!ここは俺がなんとかする。」
「かしこまりまし…ティナお嬢様!!」
「シューベルここは私がやる!」
お嬢様の目が血走っている。魔法の強制流用の結果か。お嬢様の魔法ドラゴンファイア、そして魔法解式、受戒。”強欲”。莫大な力のごり押しには長けているが、判断力を著しく落としてしまう形態。またそれを…
「サナ放して!!!」
「行かすわけないじゃないじゃないですか。こんな状態で私どころか、あんな奴にも勝てませんよ」
「それは…」
「それとも今、私と一戦交えないと気が済みませんか?」
あいつら何やってるんだ?なぜいどうしない。
ここでは発動できない。”転移魔法”
「あっあ??」
ティナとサナが背になるように奴と俺の位置を反転させる。
「”エリーゼーション•アクチノイド。くたばれティナを襲ったこと後悔させてやる。その身に刻め」
…………。
奴は、少女はいない。消えてしまった…
逃したわけではないだろう。
サナが近づいてきた。
「ナイスゥ〜。
しーくん、ちょっとごめんだけど行ってくるわ。今回は私が世話を焼いてやろうかと。大丈夫ちょっと遊んでくるだけだから。」
「お、おう?」サナが何を言っているのかはわからないが彼女はティナを連れて消えた。
サナが去ったあと、一人の老紳士が現れた。
「いつからですか?」
「君が戦う前からかな」
その人とは悪い意味で関係があった。
「君は彼女を守れなくていいのかい?学長」
ノワールの力は一時的には敵を退けることはできるかもしれない。
「しかし、彼女を狙うものは政府の上層部、レジスタンス、そして今は緊張緩和の兆しが見えているがいつ反旗を翻すかわからない連合国。君は守り切れるのか?」
彼の問いにはっきり答えることはできなかった。
「君はまだ弱いんだよ。」
「わかってますよ…」
「そんな強がりなところも昔と一緒だな。また私のところで働くか?」
「そんなこと。答える必要がありますか?
学長。」




