敵か味方か
一度ティナは別の用事があるとか、昼食の時間なのでテラスの席でティナを待つことにした。
「少しお話しいいかな?」
そういった白髪で歳はかなりいっているように見える男から声をかけられた。その男が胸元につけている胸称に目がいった。それは王立所属の警察組織のもの。しかも階級は総監。
身体が反射のように動く。姿勢を低くして一瞬の隙も見せずに身構えた。
「ちょっと、そんなに身構えられても。私の身分先にを明かす方が良かったかもしれんな。」
そう言う男は自分に対して何もしてこなかった。警戒のしすぎか?でも慎重に越したことはない。
「それは別にいいです。自分でもすぐ気づきましたので。そんなことより何のようです。俺を捕まえにきたとかですか?」
二人の間に沈黙が流れる。
「そうだと言ったら?」
「大人しく連行されます。俺は自分の罪のこと十分わかっていますから。」
「それはそれは。しかし、君はベアトリクス直々にすでに解放されている。私は君にある忠告をしにきただけだ。」
そう言って男は一枚のメモを渡してきた。
「リヴァイア、君が利用されていたことはすでにこちらでも調査が進んで君は無罪放免だろう。だが、君達を操っていた大元が知りたい。どうか調査に協力してもらえないか?」
目の前の男はある懐中時計をテーブルの上に置く。
「これに見覚えはないか?逆にないと困るのだが。」
俺は目の前の懐中時計を見つめた。周りはプラチナで出来ていて針は動いていない。
「私は初めて見ましたが、これは旧当主がつけておられたものだと聞いています。そしてこれには絶対的な主従関係が施されているとのこと。おれが知るのはこれまでです。」
「そうか。やはりな。でもこれは君の時の鍵だ。昔のものはもう存在しない。配下のものが亡くなると意味がなくなるからな。私たちがこれを奪い返した。」
そして総監は俺にその懐中時計を渡した。
「君が持っているといい。ただし、ベアトリクスには渡すな」
さっきから言うベアトリクスとは何なのか。俺は全く知らなかった。「総監、ベアトリクスとは何者ですか?」
その答えに総監は少し驚く。
「ベアトリクスとは仲じゃないのか?じゃないとアイツがわざわざ助けるわけないだろ?」
彼が言うことがわからない。そもそも知らない存在の話をされてもと、そういう感じになる。
「まぁ、いい。接点がないなら会う機会もないだろう」
そう言うと席を立った。
「リヴァイア君、私は神に同情してこんなことしているわけじゃない。私自身が君を助けたいとも思っただけだ。それだけ覚えておいてくれ。」
帽子を、深く被り人混みに紛れていく。総監という立場だが中に溶け込むのは一流らしい。あっという間に見えなくなった。
ティナが来るのにはまだ時間がある。もう少しここでゆっくりしていよう、
「ベアトリクス、母さんが昔そんなこと言ってたような…、まぁ大したことではないだろう」
そんなことを口にしながらいたら、
「しーいーくん。ティナ待ち?」
そこに現れたのはサナだった。午前中は別の授業を受けていたサナと一足早く合流した。
「そういう具合。サナも昼?」
「うん、いつもはお嬢様と食べてるのだけど今日はしーくんも一緒にいて嬉しい。でもその前に、」
そう言うとサナは机に座りうつ伏せになった。
「ちょっとお昼寝〜。」
「サナ疲れてるのか?」
「うん、少しだけ昨日の仕事が少し響いてて。私のこと頼んだよ〜、どうせお嬢様はまだ来ないし…」
そう言うとサナは眠りについてしまった。少し常識外れな行動に見えるが本当に疲れているなら止める事はできない。それに元はとしては俺みたいなやつがいるのが悪い。
代わりに俺は彼女を見守った。
「相変わらずまつ毛長いな…」ティナも容姿は整っている方だけどサナも引けを取らないぐらいだ。
サナが持っていたノートや教科書類が机に置いてある。
「こんなの前はしてたっけ?」昔の記憶を頼りに数冊覗いてみた。懐かしい物もあれば全く知らないものまである。でも当時はそんなもの自分自身あまり使った記憶がない。
「あれ?」ノートの中に一枚の写真があった。昔の小さい頃の俺とティナそしてサナの写真だった。「サナのやつ、大事にもっているなんて」
写真に写っているサナは不貞腐れている。そういえばこの時、サナにあげるはずだったネックレスが無くなって探すの大変だったんだっけ?でもね結局見つかったんだけど、サナは本当に見つからないんじゃないか、って泣きそうだったけ…、。
ふと今寝ているサナの頸に目がいく。ネックレスらしきものが服の上からあることを確認できた。
でもあげたネックレスか調べるためには少し覗き込む必要があった。
もう少し、もう少しだけ。サナに言ったら見せてくれるかもしれないが、もしあげたネックレスと違った時の残念感が強いかもしれない。そう思い今のうちにこっそり胸元を覗き込もうとした。
「シューベルぅぅ!いったい何をしているのかしら?」
「はい!?」そこには戻ってきたティナがいた。
「サナの胸元を覗きこうとして。そんなに見たかったのかしらサナのものを」
「え?ああ、ネッ…」「このケダモノがーーーーーーーーーーーーーー、サナに手を出したら私ただじゃおかないから」
「ちょっと待て、ティナ俺は別にそういうことじゃなくてネッ…」「ふ〜ん、お嬢様。この男わたしを守るふりをしてこんな下衆なことを」
いつのまにか寝ていたサナがティナの加勢に入った。
終わった。勘違いさせてしまったのも悪いけど、そもそも確認するだけなら別の方法があったのに急いでしまった。
「サナ、行きましょ。こんな下衆はほっといて」
「バイバイしーくん。」
「シューベルのこの…変態アンポンタン、バーカ、少しは反省してから私に話しかけなさい。」
あんまりティナから暴言を受ける事はないのに、久々のことで少し心がえぐられる。
ティナは怒って言ってしまった。
サナは戻ってこっそり耳打ちしにきた。
「しーくん、はい。これが見たかったんでしよ」
そう言ってネックレスを出して見せてきた。
「サナ、お前わかってて」
「そんなのいつも考えてること読んでらから情報は筒抜けよ。でもティナが怒るのも面白いし。後で本当のことティナに伝えておくから。あ、でもしーくんも少しは私の見たいと思ってた?」
「いーや」
「ふん、嘘つき。嘘つきは嫌われるぞ、って」
「サナ、いくわよそんなやつほっといて」
「はい、お嬢様。仰せの通りに」
そう言い終えるとティナのところに戻っていった。
顔は楽しそうに、ニヤニヤしている。
何ニヤニヤしているのだか、こっちはティナの誤解をとくのにこれから大変なのに。
「…たく、俺はそんなこと。思ったこと一度も…ないのに」ない。そう自分に言い聞かせた。




