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王子の婚約破棄が下手すぎる。〜全力を出した悪役演技が、天然な彼女のせいでただのデレにしか見えない件〜  作者: 揚げすぎたげんぱく


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09 愛ゆえの狂気、悪役などもう脱ぎ捨てる

「貴様ら、よくも俺の庭で好き勝手してくれたな」


王宮の中庭に現れた反逆者たちの前に、王子が立ちはだかった。


その背後には、他国王子エドワードと、元刺客のイザベラ、そして深いため息をつきながらも準備万端なゼノンが控えている。


「殿下、あそこです。例の連中が、お嬢様をさらおうと画策しています」


ゼノンが指差した先には、ヒロインを狙う暗殺部隊の姿があった。


王子は鼻で笑った。もはや、婚約破棄を言い渡した時の冷徹な仮面はどこにもない。そこにあるのは、愛する者を守るためなら何でもする、王の威厳と狂気だけだ。


「……私のヒロインに指一本でも触れてみろ。国ごと消し炭にしてやる」


「……はは、言ったな。あのお嬢様、本当に君のことが大好きみたいだよ」


エドワードがニヤニヤと笑いながら剣を抜く。


「……お嬢様を傷つける奴は、私が容赦しないわ」


イザベラが短剣を構え、その目には冷たい殺意が宿る。


その頃、別室にいたヒロインは、窓の外の騒ぎに気づいた。


「あら、殿下がまた『照れ隠し』の訓練をしているのかしら? 今日は随分と豪華なエキストラね!」


私は焼きたての特製ホールケーキを抱え、戦場へと走り出した。


「殿下ー! 訓練お疲れ様です! 休憩のタルトですわ!」

「……! お前、なぜここに来た! 危ないと言ったはずだ!」


王子は驚き、私を守るために身を乗り出した。

その瞬間、反逆者たちの放った矢が殿下の肩をかすめる。


「……っ!」


「殿下!!」


私はケーキを地面に放り出し、殿下のもとへ駆け寄った。


殿下は傷を負いながらも、私を抱き寄せ、そのまま私の唇に強く、強くキスをした。

それは罵倒の言葉など必要ない、溢れんばかりの愛の証明だった。


「……黙れ。もう我慢の限界だ。お前を誰にも渡さない」


王子が剣を振るう。

その一撃は、反逆者たちの意志を完全に粉砕した。


周囲が「……あれ、これって本当にただのノロケなの?」とドン引きするほどの、愛の力による蹂躙だった。

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