03 王子様、不審者よりも私をみて!
執務室の窓の外。
影に潜むようにして、怪しげな黒装束の男たちが王子の執務室を伺っている。
反逆者の一味だ。
王子はそれを見越して、あえて執務室の窓を全開にしていた。
「……ッ、なぜ窓を開ける! 貴様、命が惜しくないのか!」
王子が私を執務室から追い出そうと詰め寄る。
男たちは、窓が開いていることで王子がスキを見せていると勘違いして、今まさに侵入しようとしているはずだ。
私は、王子が私の安全を気にかけてくれているのだと解釈し、思わず頬を染めた。
「まあ! 殿下ったら、そんなに私を執務室に留めたいのですね。そこまで心配しなくても、私、ケーキの箱を持って帰るだけですから……」
「違う! そうじゃないんだ、今すぐ隠れろ!」
王子は激昂しながらも、視線は鋭く窓の外を追い、侵入者の動きを牽制している。
なんて男らしいの!
言葉では罵りながら、視線では私を護り、さらに私のために「不審者ごっこ」をしてくれるなんて。
「はいはい、分かりましたよ。殿下がそんなに言うなら、窓際の席に座って、一緒に午後のティータイムを楽しみましょう!」
私はそう言って、堂々と窓辺の椅子に腰を下ろした。
「……っ!!」
王子が絶句している。
その時、窓の外で「しまった、女が邪魔で狙撃できない!」という黒装束たちの慌てた声が聞こえた気がした。
……ふふ、やっぱり。
殿下ったら、私を窓辺に座らせることで、外からの風通しを良くして、さらに私とのお茶の時間を強制的に作ろうとしているのね。
「さあ殿下、冷めないうちにどうぞ。あ、紅茶のおかわりはいかがですか?」
王子は顔を真っ赤にして、窓の外の敵と私を交互に見ながら、頭を抱えて崩れ落ちた。
「……もう、どうとでもなれ!!」
どうやら殿下、私のあまりのポジティブさに、いよいよ照れが頂点に達してしまったようです。




