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私の物語を奪った偽ヒロインへ――本物の結末を教えてあげる  作者: 橋守 六花


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エピローグ

 桜子が乗っていたバスが事故に遭い、十日間眠っていたと、家族から知らされた。


 目を覚ましてまだ二日しか経っていないが、不思議な気分だった。


(あれは、何だったんだろう)


 イリスとして転生したと思ったら、帰ってこれたようだった。

 起きてから慌ただしく過ぎていたためゆっくりは考えられなかったけれど。


(夢……とは思いたくないな)


 現実では十日間だったが、スズナやリラ達と過ごした数年を、現実であればいいなと、思った、その時だった。


 ――コンコン


 ドアがノックされて、特に深く考えず


「はい」


 と桜子は答えた。

 するとドアが開き、入ってきたのは車椅子に座った金髪ギャルと、付き添いの女性。


「あの、実は、この子が、どうしても、謝りたいって」


 と付き添いの女性がいうと、ギャルは思いっきり頭を下げて。


「え、い、いったい、なんですか?」

「桜子先生ですよね!? 同じ事故にあったと聞いたので」

「そう、ですけど…」


 その発言にふと疑問が浮かぶ。


(ファンの人だよね? 病院の人が私の事伝えたって事?)


 病院の個人情報管理に疑問を抱き、困っていると。


「わ、わたし、マリーです!!」


 と勢いよく言った。


「あ、ああ、えっと、私、イリスです」


 反射的に桜子がそう答えると、顔を上げて


「やっぱり!」


 と嬉しそうな声を出して、


「本当に、申し訳ありませんでしたー!!」


 土下座しそうな勢いで謝る、マリー。


「先生の作品を、壊すような…いや、本当にデルフィ様が大好きだっただけなんですー」


 傍から聞いたらなんのこっちゃわからない話だが、桜子にとっては泣きそうなくらい嬉しいことだった。


「あなたも、覚えているんですね」

「はい! もう、ほんと、どうやって償えば、いいか…」


 かなり反省しているようだったので、とある事実を伝えることにした。


「実はマリーではなく、あなたへの処罰は終わっているんです」

「え? どういうことですか?」

「きっと続編、やりますよね?」

「もちろんです!」

「だって、私マリーに、かなりネタバレしちゃいましたから」


「……あ」


 もう続きが書けるとは思わず、次回作の構想を話してしまった…この事実がマリーにとっての処罰に、十分なったのだった。





 数週間後、桜子は無事退院し、次回作に取り組むこととなった。

 部屋のパソコンの前で一人背伸びをする、ふと、メモリースティックに目が行く。


(みんな元気かなー)


 思い出すのは転生したルーシュ国とカイン国。

 メモリースティックを手に取ると、にやりと笑う。

 事故前、このメモリーは手元に持っていなかった。鞄の中を確認したら入っていたものだ。


 中を見るとイリスとして生活した記録、しかもイリスがいない頃のカイン国もこと細かに書かれている。

 これ以上記録が増えることはないのだが、これがみんなが生きている証のような気がして、桜子は嬉しくてしょうがない。


(どうか平和に、幸せに生きてね)


 そう願いながら、桜子は新しい話を作成していくのだった。


本編はこれで終了です、この後数話ほど番外編(その後)の話をアップし完結予定です。

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