68 対等な相手
あれ?
ここは……?
ヤヨイが王に攻撃をして……それから王の姿を確認しようとしてるはずなんだけど。
周囲はまだ白く覆われていて、フランとセリルが放ったソウルガンドが残ったままだ。
気のせいかな、別の場所に移動してしまったような不思議な感覚がする……
《気のせいじゃない、ここは俺と君だけの場所だ》
頭の中に直接伝わってくる……
これは王の声……姿は見えないけど。
「また話でもしたくなったのか? みんなはどこへいった!?」
《さあな、君の仲間なんだ、どうせみんな無事だろう》
投げやりな言い方だな……
今度は何を俺に伝えたいんだよ……
《人を信じるって事は、信じてもらうことよりも難しいのかもな》
信頼? 王の心のこと……
《全てが嘘だと思ってしまっていた、どんなに優しい言葉を掛けてきたものでも、それに裏があると思ってしまう》
「立場もあるからな、利用してこようとする奴は多かったのかもしれないよな」
《教えてくれ、どうすれば人を信じられる?》
「どうすればって言われても……」
考えたこともなかった。
「俺はただ仲間を守りたいと思っただけで、仲間たちがどう思ってるかはわからないけど……」
《何故守りたいんだ?》
その理由? 別に理由なんているのか……?
「えー……っと、俺みたいな奴に仲間になってくれるって言ってくれたから、俺にできることって考えたら……結局守れてもないんだけど」
《そんな人間に君の仲間たちは従ってるのか》
「従ってるんじゃない! テイムはしたけど俺達は対等だ!」
《対等?》
王の声が変わった、そんな変なことを言ったつもりはないんだけど……
《あの小さい双子の子供が君と対等だっていうのか?》
「もちろんだ、小さくたって俺が使えない魔法だって使えるし、2人とも気がきくし俺なんかよりずっとちゃんとしてる」
《テイマーなのに、モンスターじゃなく自分で戦っている女も対等なのか?》
「ノリスは昔からの友達だしな、そうじゃなくてもジョブなんて関係ない、ノリスは誰よりも仲間を心配してくれるいい奴だ、対等に決まってる」
《甘いんだな……》
「俺も助けられてるんだ、みんな失敗もするけど、支えあうからやっていけるんだ」
《姫は……言うことも聞かない、好き勝手やって周りを危ない目に合わせてばかりいる、そんな姫が対等はないだろ?》
「ヤヨイは……」
もちろん、対等だ……それ以上に。
「ヤヨイは特別に守りたくなるんだ……」
《それは対等なのか?》
「そう思ってる……」
王が人間の身体の状態で目の前に現れた。
《特別なジョブを物同士なのに色々と違うものだな、俺は元々孤独だったが、サモナージョブを手に入れてからさらに孤独になってしまった》
「本当に孤独だったのか? 考えすぎだったんじゃ」
《対等と言える者はいなかった、今思えばみんな利害関係だけの冷たい存在だった》
「対等な相手が欲しかったんだな」
《もし、俺が君にテイムされていたら対等になれていただろうか?》
「テイムするしないなんて関係ないだろ。 こうやって話していることに上も下もないんだ、今、俺と王は対等だろ」
簡単なことだと思ったのに王には受け入れ難いのかずっと難しい顔をしている。
《俺はいつから歪んでしまったんだろうな……小さい頃、友達が欲しかった……だけなのに……仲良くなることから、言うことを聞かせることにいつからか変わってしまった……》
王には王で葛藤があったのか。
《君も、強い力を持っているんだ、いつかその力で妬まれ、阻害される時がくる、その時にずっと今と同じことを言ってられるといいな》
「あいにく、俺のジョブは俺じゃなくて仲間がすごくなるジョブだからな、仲間に嫌われなければ俺は俺のままのはずだ」
王の姿が消え始めた、ソウルガンドに浄化されるのか?
《俺が君にやられるのは運命だったのかもな……君は……》
言葉の途中で王は消えた。
王は孤独だった。
ゴクーも確かいってたな、孤独を周りにも押し付けようとしているって、まさにその通りだったのかもな。
浄化の光が晴れてきた。
ヤヨイが息を切らせながら立っている姿が見えた。
王の姿は見当たらない。
「王は? 」
「また消えたのか?」
「しぶとい奴だ……」
みんなが王を探し出した、今のやりとりは俺にしか見聞きできなかったのか。
「もう大丈夫だ、王は浄化された」
さっきのは幻なんかじゃない、王は完全にいなくなったんだ。




