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67 みんなの力

ヤヨイとヤマトは何度も王に攻撃を加えては別のモンスターの一部を召喚し、追い詰めているようで状況は何も変化のないまま進んでいた。


王の移動術とヤマトの電気を使った感知は相性がいいようで王が現れる度に攻撃はできるが、直接のダメージが与えられないままだった。



「フハハハハ! いくらでもやってくれよ、痛くも痒くもないぞ!」


召喚したモンスターの部分までしか攻撃が届いてない……余裕な王にまるで手のひらで遊ばれているようだ……


「王ってこんな人だったっけ?」


確かに、性格が変わってきてるような。


「飲まれてるんだ。 王は自分でモンスターを召喚しているつもりなんだろうが徐々に心もモンスターに蝕まれてきている」


すでに王の原型なんてなくなってしまったいるが、心ももはや王ではなくなってきてる……


「孤独を求めるだけなら勝手に一人で過ごすだけでいいのに、それを全ての者に押し付けようとするおこがましさが王の心を悪に染めたんだろうな」


産まれた時から王になることを決められて決まったから、それができなかった……

だから王は歪んでしまったのか。


きっと王には本当の意味で対等な存在がいなかった。

だから特殊なジョブを持った俺と話がしたいと思ったのかもしれない。


ヤヨイとヤマトの攻撃が少しずつ鈍り出している、魔導獣の魔力を吸収した王の魔力はほとんど無限だ……

それに対してヤヨイやヤマトはいくら常人離れしていると言っても無限じゃない、この差が出てき初めてしまった。


「キリがない、すぐ移動するせいで致命傷も与えられない」


ヤヨイが弱音を吐いた。

このまま長引せば地力の差で全滅する。


バーストを使うか……?

またヤヨイの辛い姿を見なくてはいけなるなってしまうけど……


「ロジカ! 私はいけるぞ!」


「ダメです、ヤヨイ姫にまた危険な力を使わせたら!」


「今使わなければみんなやられるぞ」


「そのためにヤヨイ様が犠牲になるなんて俺には我慢できない!」




いや……違う、もうヤヨイならバーストが耐えられる。


「ヤヨイ、やるぞ!」


「早くしろ」


《バーストし……


「する! バーストだ!」



「ロジカさん! あなたはヤヨイ様を見捨てるのか!」


「違う……わかるんだ」


ヤヨイの周りに蒸気が立ち込める。

前にも見た、バーストの現象だ。


王の何本にも生えた腕が一斉にヤヨイに向かってきた。



だが、ヤヨイに近づく前に腕が一斉に燃え尽きた。



「ヤヨイおねぇちゃん、こんなのに構わずに本体を狙って!」


フランとセリルの魔法で、腕を焼き尽くしたようだ。

今のは未完成のソウルガンド。


これこそ、連発なんてしたらいくら二人で出してるっていっても命に関わるぞ……


「ゴクー、マウスマン! 俺達もヤヨイのフォローだ!」


ゴクーとマウスマンが王に向かっていく。


「グァァァ……ムダだ、ムダだァァァ!」


王がまたモンスターの腕を召喚する。



「腕一本くらいなら俺でも相手できる!」


ゴクーが伸びる腕に向かい法術で火を吹いた。


渾身のゴクーの攻撃だったのだろうが、召喚した腕は火を振り払い、ゴクーに向かってくる。


「何っ!?」


怯んだゴクーをかばうように向かってくる腕にマウスマンがパンチを決めた。


ゴクーを狙う腕は軌道を逸らし外れていった。


「先輩に助けられるなんてな……」


マウスマンはニヤリとゴクーに笑いかけた。



申し訳ないけど、ゴクー達の力じゃもう、王の腕にも叶いそうにない。



王の気がゴクー達にそれた隙をつき、ヤヨイが間合いに入った。



本体に近づいた、いける!


ヤヨイが王の腹を斬ろうとしたが、王は紙一重で回避した。



「また、移動術か!」


無限に生えてくる腕と、近づくと消える移動術のせいでダメージが与えられない、せめてどちらかを抑えられれば……



「「いくよ、ソウルガンド!」」


フランとセリルの身体がバースト状態になっている。


「やめろ! それ以上それを使うとヅィリィみたいに……」


「ロジカおにぃちゃん、ありがとうね」


「みんなの事大好きだよ」


フランとセリルが晴れやかな笑顔を見せた。



辺り一面が白く覆われる。



「ヤヨイ!」


「ああ!」


2人の頑張りをムダにしてたまるか!



光の中で王の身体辛くずれていくのが見える。


チャンスだ!


ヤヨイが王に向かって飛びかかる。



だが、また移動術を使い王はヤヨイから距離をとった。



あれだ……あの移動術を攻略しないと王に触れられない。



その時だった。


床一面にヒビがはいり、植物が伸びてきた。



王の本体からも植物が生えてくる。


これは、ナイナのファーマーの能力?


王の胸には魔導晶が埋まっている、それを使って一気に植物を生えさせたのか。



ナイナはノリスに負ぶわれて、怯えながら能力を使っていた。


「ナイナも頑張ったよ! ヤヨイ、あとは決めて!」


ノリスの声の直後ヤヨイは王に向けて進み出した。



「グァァァ、なんだこの植物は!」


魔導晶の異常な魔力を媒介にナイナの植物はどんどん伸び、王に巻きついていく。


絡まる蔦が邪魔をして王は素早く動けなくなっていた。



《フルバースト》


「全力だ、ヤヨイ!」


全部出しきれ!


王を倒すんだ!



ソウルガンドの効果で白く包まれる空間の中、斬撃音が何度も聴こえた。


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