69 いつも通りの毎日を送っていきます
「みんな集まって! 準備できたよ〜!」
弾んだ声が拠点中に響いた。
ずいぶん張り切ってるみたいだな、ナイナは。
リビングにいくと、テーブルには収まり切らないほどの料理が並べられていた。
クリーナも来て、一緒に色々と準備していたみたいだ。
拠点が大きくなってからみんなで食事もできてなかったからようやく今日が拠点の拡張祝いってところか。
フランとセリルもナイナを手伝って料理を運んだり、味見をしたりしていた。
「セリル、今こっそりスープを飲んだでしょ!」
「フランだってさっき口が膨らんでたよ」
「そんなことないもん! 私見てたんだよ、セリルばっかりあんな美味しいスープを飲んでズルイよ!」
「なんで味を知ってるの? やっぱり飲んだんでしょ」
「……うぅ……」
「2人とも、この後すぐたくさん飲めるんだからこんなところでケンカしないの、席に座ろ!」
ノリスの声を聞いてフランとセリルは少しスネた様子でイスに座った。
「フフ……まだ子供だな」
ヤヨイが落ち着いた様子で湯のみをテーブルに置いた。
「ちょっと! なんでシュシュラベル=ドリーレミィにお茶を飲ましてるのよ!」
スライムがお茶を飲んで溶け出している。
お茶って飲んだらダメだったんだ……まぁ普通飲まさないよな。
「落ち着くだろ、なんで飲んだらいけない?」
「ちゃんとシュシュラベル=ドリーレミィを見て! こんな状態で落ち着けないでしょ!?」
「スライムなんてみんなこんな形だろ」
「そんなことないですよヤヨイ様、スライムと安定する形状があるんです、今はすごく不安定な形状をしています」
ヤマト……急に現れた……
今日は呼んではいたけど、最近事あるごとにヤヨイにちょっかいを出しに来る。
必要な付きまといぶりにナイナが最近ヤマトのことを怖がり始めてる。
「おーい、やってるかぁー?」
また拠点に誰か来た、この声はパルマかな。
パルマがいつものようにゴクーとマウスマンを連れてやってきた。
いつものメンバーがようやく集合だ。
クリーナがみんなにクラッカーを渡した。
「今日はお祝いだ、みんなで一斉に盛り上がろう!」
お祝い?
みんな首を傾げていた。
「クリーナおねぇちゃん、何かお祝いすることなんてあったの?」
「んっ? ナイナから聞いてないのか?」
「ナイナは知ってること?」
いや、でも今ナイナも首を傾げてたぞ……
「あれ、もしかしてナイナも知らないの? 新しい王様のこと……」
「「「えっ!?」」
新しい王様?
「ええええぇ……! 知りませんでした、あの日以来城に戻ってなかったので」
「本当に知らないのか……キエルだよ、ソウルガンドの」
「うそぉ〜、キエルさん?」
「なんでキエルさんが王様になるの?」
予想外だ……なんであの人が? じゃあソウルガンドはどうすんだ?
「ギルドごと城に入って城を直していくんだって」
大丈夫かな……
絶対変なことをやりだすような気がするけど……
「さらにな、クエストを継続して行っていくらしいぞ」
王がいなくなってモンスターがずいぶん減った気がするけどまだやるのか。
「城の復興のためにも興行は必要だろうからな」
「それもあるんだけど、まだ王の召喚したAクラス以上のモンスターが数匹確認されているみたいなの」
「Aクラス以上が?」
まずい……ヤヨイが反応した。
変な気を起こすなよ……
「ねぇねぇ、ヤヨイおねぇちゃん、今度そのクエスト受けてみようよ!」
やめろセリル、けしかけるな!
害のあるモンスターじゃないならあえて倒す必要もないだろうし。
「そのモンスターは有害なヤツかどうかは確認取れてるのか?」
「中にはね……王が悪さをするために呼び出したモンスター達だから元々少し凶暴なのと、召喚されたまま放置されていて混乱してるのもいるようだから」
パルマが立ち上がった。
「ゴクー、マウスマン! そいつらに会いにいくぞ!」
「あってどうする? まさかテイムするなんて言うんじゃないだろうな?」
「いい奴ならな、でもあくまでうちのトップはマウスマンだからな!」
マウスマンは腕を組んで頷いた。
「ククク……、そりゃそうだ」
パルマ達は早速クエストに向かおうとしだした。
おいおい、パーティが始まったばかりだぞ!
「パルマ、また今度でいいんじゃないか?」
「悪いなまた今度一緒に飯食おうな!」
まだ食事も始めてないのに……
「ちょっとヤヨイついて行こうとしないで!」
えっ、ヤヨイまで!?
「ついていくんじゃない、私は私で行くんだ」
「危険です、ヤヨイ様! 召喚してそのままだってことは王が手に負えない凶悪なモンスターだったって可能性もあるんですよ!」
「そんな奴会ってみたいな」
ヤヨイは嬉しそうに笑った。
ダメだ……ヤマトの言い方じゃけしかけてしまうだけだ……
「おねぇちゃんが行くなら私も行く!」
「じゃあ私だって!」
フランとセリルもヤヨイについて行ってしまった。
「もぅ……せっかく料理用意したのに……」
料理に手をつけてすらいないのにみんないなくなってしまった。
「悪い……私がこんなこといっばかりに……」
クリーナがテーブルの料理を見ていたたまれない表情だ。
ナイナがテーブルに向けて手を広げた。
魔力がテーブル全体を包み込む。
最近のナイナの得意技、魔力での真空パック。
こうしておくことで、料理をすぐ食べなくても鮮度も味もほとんど劣化せずに食べられる便利な魔法だ。
「こんなことしちゃうから、みんなすぐに食べなくなっちゃうんですよね……」
思い立ったらすぐ行動する仲間達にナイナも慣れてしまったようだ。
「なんか初めからすごいとは思ってたけど、ここの人達はみんな、なんて言うか変わってるだな……」
クリーナには理解できない関係みたいだ。
なんだかんだでみんな仲良くやってるんだけどな。
「ロジカさん、早くついて行ってあげないと、みんな無茶しちゃいますよ」
「私も行くよ」
ノリスも席を立った。
「はぁ……いつもバタバタだな……」
元気な女の子達だ。
これが俺と拠点に住んでるみんなのいつもの光景ってことなのかな。
何も持たずに拠点を出た。
「おーい、俺も行くから待ってくれ!」
ここまで、読んでいただきありがとうございました。
なんとかここまで書き上げることができて、まずはほっとしています。
読み辛い部分も多々会ったと思うのですがここまでお付き合いいただき本当にありがとうございます。
ブックマークをつけていただいたり、PVが増えていくのを見ることは継続して書き続ける上で本当に励みになりました。
まだまだ色々なご意見を聞かせてもらえるとありがたいので、評価や感想などいただければありがたいです。
今後も新たに創作を続けていきたいと思いますので、次回作を投稿した時はまたよろしくお願いします。




