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63 ダンジョン名『魔導獣』

魔導獣の中は広く、外から見ているのとは別の空間のようだ。


ゴツゴツした色で囲まれた洞窟のような場所で何もしなければ暗くて何も見えない。


キエルの魔法で周囲を照らし、俺達は探索を始めていた。


入り組んでいて、さらに広い、こんな所で人を見つけ出すって容易じゃないぞ……


しばらく進んで行くと大きなフロアに出た。


「巨大な城並みの広さの場所で人を探すっていうのも大変なもんだな」


「何か目標さえあれば多少は違うんだけどな……」


「心臓部へ向かおう、コアがあるはずだ。 王が中に入ったのならそこへ向かう可能性が一番高い」


「近くで生体反応があれば俺の法術で見つけることができるはずだそこまでいければ」


ゴクーが毛を摘みいつでも準備はできていることをアピールした。


「でもこの中じゃどっちが心臓部かわからないぞ……?」


キエルが魔法陣を浮かび上がらせた。


「現在地はここか……」


目を閉じて確認を始めた。


ダンジョンの構造や位置を把握できる魔法か。



「わかった、こちら側をまっすぐ進んでいけばたどり着ける」


「便利な魔法だな、それで人がいるかまではわからないのか?」


「無理だ、魔法では生体反応まではわからない……それに関しては法力の方が得意なようだな」



「キエルさんの言っている方向だけど、石の扉で囲まれてて通れなそうだよ……」


石の扉……

成功に作られた扉で塞がれている、元々は石じゃなくて魔導石だったのかもしれない。



「魔導獣が生きてる時は何かの仕掛けで開くようになっていたのかもしれないな……」


「ここを抜けていければいいんだろ」


ヤヨイが扉に近づく。


まさか……



ヤヨイが扉に一太刀いれると扉は崩れ落ちた。



「すごいな君のところの剣士は……」


キエルがヤヨイの果敢ぶりに呆気に取られていた。


「我慢は元々できない奴だからな……」


ヤヨイの力があればこのダンジョンは仕掛けを無視して通過できそうだ、無茶苦茶な進み方ではあるけど……



「「やっぱりすごい、ヤヨイおねぇちゃん」」



なににも囚われないヤヨイにフランとセリルは感激してた。


「2人は真似しちゃだめよ……」


ナイナはヤヨイの傍若無人な行動を快く思ってないようだ。



そんなことを気にする様子もなく、ヤヨイは進み出した。


「こっちでいいんだろ? 先に行かないのか?」


ほんと逞しいな……


「ヤヨイ様! 先導は俺がします、後ろにいてください!」


ヤマトがヤヨイを心配して先導を進もうとするがヤヨイがそれを追い越す。


「大丈夫だ、私が先に行く」


「いやダメです! 王がまだ潜んでる可能性だってあるんです、俺の後にいてくれた方が安全です!」


譲り合わない2人は次第に俺達を引き離し先に進んでいった。


「ヒノマルの人達ってみんな押しが強いのかな……」


俺達を置いてヤマトとヤヨイは見えないところまで進んで行ってしまった。


いつまであんなやりとりしてるんだよ……



「おい、おかしいぞ……先にいった2人の気配が消えた……」


ヤマトとヤヨイが!?


「まさか、誰か他にいたってことか?」



「そこまでは分からん、急に2人の気配がなくなった」


「魔導獣の仕掛けでまだ動いてるものがあったのかな……?」


「2人のいた所まで急ぐぞ!」


やっぱりヤヨイは……



ヤマトとヤヨイのいなくなった場所はなんの変哲もない通路だった。


特別な仕掛けが作動したのか?



「ゴクー、2人の気配はまだ見つからないか?」


ゴクーは周囲を見回るが、手がかりは掴めなさそうだ。



「俺の法術で見つけられる範囲は精々目で届く範囲くらいまでだ、それを越えて離れると感知できない、この周囲にはもういないだろうな」


「どこへ行ったんだ……」



王が生きてる……


そう思った方が良さそうだな。


全員の表情が引き締まった。



「いいぜ、どこからでもかかってこい、ゴクーは誰にも負けないぞ」


パルマが自信満々であたりを警戒する。


「フン、他力本願なのがテイマーの情けない所だな」


「そんなことないぞゴクー、テイムした仲間の力は俺の力だテイマーはそれを恥じる必要なんかないんだ」


「そんなものなのかねぇ……」


確かに俺は戦闘能力はほとんどないけど、それを恥じたことってないなぁ。


「私はテイムした子達を守るために戦うけどね」


ノリスは俺がテイムしたせいで自分で戦えるようになっちゃったからな……

かなり特殊なケースだ。



俺にはテイムした仲間や、困ったときに話しを聞いてくれる友達達もいる。


けど王は1人だ、拠点に来た時もモンスターは連れていたけど、召喚した命令を聞くだけの相手で対等な存在ではないだろうし……


練劇会の時も結局ヤマトに襲われそうな時は一人で対応しようとしていた。


王には誰も必要ないのか……?


「あれ……?」



考え事をしていたら誰もいなくなっている。


みんなどこへ?



違う、ここは今までいた場所じゃない!


俺が移動してしまったんだ……



まずいぞ、ここで1人じゃ戦うことなんてできない……



まず、ここはどこだ?


見た目的には魔導獣の中から変わりはなさそうだけど……



……


音がする。


大きい心臓の鼓動のような……



「ようやく、ここまで来たか……」



声だ。

この声は……王!



「お前と話したいと思ってたんだ」


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