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暗黒の魔女  作者: kuma383
42/50

~暗黒の魔女~ 三章・宴の終わり 「40.決着への旅立ち」

オーベルクの空をシャロンが打ち上げたしるしが覆いました。オリバーと仲間たちはシャロンが力を取り戻したことを確信したようです。

オリバーがロジェを支えて『隠れ家』にやってくると、仲間たちが地下の大きな部屋に集合していました。チュンフェイとヨウフェイも何とか意識を取り戻したようです。誰もが真剣な表情でオリバーを見上げています。オリバーとロジェが地下に降り立つと、真っ先にレオンが口を開きました。



「オリバー、やっぱりシャロンが力を取り戻しやがったのか?」



オリバーは厳しい表情で首を縦に振りました。



「ああ…、ほぼ間違いないだろう。それも、以前よりも魔力を増している可能性がある。あんな印を打ち上げられるなんて、相当量の魔力が必要だからな。チュンフェイたちが倒れたのも、シャロンがかけた呪いの力が、シャロンが力を取り戻したことによって一時的に強まったからだろう。」



「一週間ほどあったとはいえ、これほどの魔力を回復するなんて…信じられません。」



イザベルもいつもの笑顔が見られません。オリバーは頷きました。



「ああ、まさしくその通りなんだ。闇の魔術師は人の命を奪うことで魔力を得ることがある。もしかしたらどこかで大虐殺を行ったのかもしれない…。」



オリバーの言葉に仲間たちは一斉に不安そうな顔をしました。すると、ビアンカが提案しました。



「ここは、偵察に出た方がいいんじゃないかな?馬も数が増えたんだし、今は情報収集が必要だと思うよ。」



その言葉にオリバーは頷きました。



「ああ、その通りかもしれない。馬は今六頭いるのか…。よし、パトリック、お前はモニカと一緒にナンジューマのダナラスフォルスまで行ってきてくれ。」



「わかったよ。早速準備をしよう。長旅にはなるが、いいね、モニカ。」



「はいっ、わかりました!」



パトリックとモニカはすぐに『隠れ家』を出て行きました。



「ロンドランド方面へはペーター、お前が行ってくるんだ。ラルフも一緒に行ってくれ。」



「わっかりました、オリバーさん!」



「パカロンも、トリポートも行った方がいいですね、先生?」



「ああ、そうだな。よろしく頼んだ。」



ペーターとラルフは頷くと、パトリックたちの後を追って行きました。



「アリスはマチルドとノーザリンに行ってくるんだ。可能であれば、樹海の方にも足を延ばしてきてくれ。」



「うむ、わかった。ホルストの初陣だ。マチルド、行くぞ。」



「あいよっ!」



アリスとマチルドも階段を上って行きました。



「エミリーはビアンカと一緒にこのオーベルク周辺を見回ってくれ。この辺りでも何か異変が起こっている可能性は捨てきれないからな。」



「わかりました。すぐに準備をします。ビアンカさん、手伝っていただけますか?」



「もっちろん!さあ、行こうよ!」



ビアンカとエミリーも勇んで出て行きました。



「ヘルガとローズはキンフィールドを見回ってきてくれ。俺はレオンとシーガルンまで足を延ばしてくる。」



「わかりました、オリバーさん。周辺の村々も見回ってきましょう。さあ、ローズ、行くわよ。」



ローズは頷きましたが、その後でオリバーに話しかけました。



「先生…。少し気になることがある…。」



「ん?一体どうしたんだ?」



オリバーがたずねると、ローズは少し不安そうな表情を見せました。



「アンドレアスが…最近元気がない…。私の呼びかけにも時々答えてくれない…。多分シャロンに負けたことが悔しくて…。」



オリバーは納得したような表情を見せましたが、少し困った顔も見せました。



「あれだけプライドの高いやつなんだから、気持ちはわからないでもないが…、シャロンとの最後の戦いに、アンドレアスの力は絶対必要になってくるはずだ。オットー様もシャロンは魔神に異常に反応したということを言っていたしな…。とにかく、何とかして元気づけてやってくれ。」



ローズはオリバーの言葉にコクンと頷きました。そして先に外へ出て行ったヘルガを追いかけて行きました。



「ハンス、留守は任せた。イザベルはチュンフェイたちの介抱をしてやっていてくれ。」



「任せてくださいよ、先生!」



「留守は私たちが守ります。」



「頼んだ。まあ、エミリーたちはすぐに帰ってくると思うしな。パトリックたち以外はそれほど時間はかからないだろう。ともかく頼んだぞ。よし、レオン、行こう。」



「おう!」



オリバーとレオンも『隠れ家』を後にしました。



「それにしても…、ロジェさん、いったいどうしたんですか?あなたも突然体調が悪くなったようですが…。」



イザベルが心配そうにロジェに聞きました。



「僕にもよくわからないんです…。あの嵐の中で突然具合が悪くなって…体のコントロールがきかなくなったんです。」



イザベルはロジェの体をあちこち覗き込んだり触ったりして調べました。



「…程度は軽いようですが、チュンフェイさんたちと同じような異変が体に起こったようですね…。」



イザベルの言葉にハンスがびっくりしたように言いました。



「ええっ!?じゃあ、ロジェもチュンフェイたちと同じように、シャロンの魔力が強まったことによって体がおかしくなったってことですか?」



「その可能性はあってほしくはありませんが、ないとも言いきれません。どうやら何らかの呪いの力が働いていることはほぼ間違いないでしょうから…。ロジェさん、あなたの生い立ちについて何か思い当たる節はありませんか?何でも構いません。」



イザベルに言われ、ロジェは考えこみましたが、困ったように首を横に振りました。



「そうは言われても…。僕の父は僕が生まれる前に死んだと聞いていますし、母もギル大臣が政治を行っていた時期に薬が買えなくて病気で死んでしまいました。僕はその後キンフィールドからこのオーベルクに流れてきて、市のみんなに拾ってもらったわけですから…。」



「そうですか…。」



イザベルは残念そうな顔をしましたが、ハンスは違ったようです。



「でもイザベルさん、俺はそのロジェの父親が何か関係しているんじゃないかと思いますよ。なぁ、ロジェ。お前の父親がお前に遺したものとか、何かないのか?」



するとロジェはすぐに答えました。



「え?ああ、この槍はそうだけど…。ユウ・ヴィルヘルムの…。」



ハンスはそれにピンと来たようです。



「そうか…。きっとそれだよ。イザベルさん、きっとロジェの父親は有名な騎士か何かだったんですよ。それでシャロンと戦った…。その時に何らかの呪いをかけられて、それがロジェに受け継がれた…。」



「なるほどネ!コイツが無駄にいい武器を持ってたのも、それなら納得ヨ!」



ヨウフェイが目をまん丸にして言いました。



「年下にこいつ呼ばわり…。しかも無駄にいい武器って…。」



ロジェは落ち込んだような表情を見せました。



「しかし…、オリバーさんのように呪いの魔術に耐性を持っているならともかく、普通の人間がシャロンのような魔術師の呪いを受けても生き延び、ましてや子孫を残すなんて信じられません。ただ魔力を持っているだけでも、シャロンの呪いを受ければ生き延びることさえ難しいでしょう。」



「じゃあロジェの父親は呪いの魔術師…いや、それじゃあロジェも魔術を使えるだろうし、そもそもこの国でも有名になっているかぁ…。」



ハンスはまた考えこみました。



「もう少しで話がつながりそうだったのに…残念ヨ。」



ヨウフェイは残念そうに首を振りました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



馬に乗って偵察に出かけた仲間たちは順次目的地に到着していました。ヘルガとローズはキンフィールド周辺をくまなく調べています。



「特に変わった様子はないようね…。人の数が私の就任の時に比べて減ってしまったことくらいかしらね。」



ヘルガは悲しそうに言いました。ローズは先ほどからずっと押し黙っていますが、ヘルガはその理由を知っています。



「ローズ、アンドレアスは返事をしてくれているの?」



ヘルガの問いに、ローズは首を横に振りました。



「困ったわね…。オリバーさんも、アンドレアスのことを頼りにしているのに…。」



ヘルガは困ったようにつぶやきました。



「もう少し頑張ってみる…。努力…。」



「そうね、わかったわ。…めぼしい場所はもう見回ったみたいだから、あと一つ村落を見に行ったら、オーベルクに帰ることにしましょう。」



ヘルガはそう言って馬を走らせました。



「ヘルガ…。この馬の名前は何…?」



突然のローズからの問いかけに、ヘルガはびっくりしたような表情を見せました。



「あら、そう言えばまだ考えていなかったわ。パカロン城からとっさに連れだしてきたの。馬小屋にも火の手が近づいてきていたからつながれていた馬たちをみんな逃がしてあげたのだけれど、この子だけは逃げようとしなかったから連れて来たのよ。



そうね…オーベルクに戻ったらオリバーさんに決めてもらいましょう。」



「先生、に…?」



ローズは少し動揺したような表情を見せました。



「たまにはあなたに嫉妬されてみたくて、ね。」



ヘルガはいたずらっぽく言いました。ローズはプクッと顔を膨らませました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



一方、ペーターとロジェはロンドランド地方に到着していました。すでに彼らはパカロン周辺を一通り見回り、今は港町でラルフの出身地、トリポートに来ています。



「国はめちゃくちゃになっちゃいましたけど、やっぱりここは港町だから賑わっていますね。」



ペーターが少し安心したように言いましたが、ラルフはそれほど楽観的ではないようです。



「いや…、それでも以前よりは入ってくる船も少ないようだし、人通りも間違いなく少なくなっているよ。それに、この街を共同で統治している大商人たちの何人かは国外に逃げてしまったと聞くしね。そのせいで傭兵たちが横暴な行動を取るようになったみたいなんだ。」



「傭兵?一体どういうことですか?」



ペーターが首をかしげると、ラルフが説明しました。



「この街は大商人たちが共同統治しているんだ。この前パカロンがそうなったようにね。だけど商人たちは軍隊を持たない。だから金で傭兵を雇うんだ。傭兵は基本的にいい加減で乱暴なやつらばかりだけど、金さえもらえればとりあえず抑え込むことはできる。だけど、金を払ってくれる商人がいなくなってしまったことで今は傭兵たちがやりたい放題なんだ。」



「それはひどい…。何とかする方法はないんですか?」



ペーターがききましたが、ラルフは首を振りました。



「まずは大商人たちが戻ってこないことにはどうしようもないね。治安の面もあるけど、やっぱりその商人たちの貿易船が入って来ないことにはこの街は潤わないし…。



とにかく、いろいろと以前に比べて変化はみられるけど、シャロンが直接干渉しているようなことはなさそうだね。そろそろオーベルクに帰ろうか。」



「あ、はい。そうですね。」



「ああ、それと…、ちょっと僕の家に寄ってくれないかな?もしかしたら使う場面が出てくるかもしれないから、工具を少し多めに持ち出したいんだ。」



「わかりました。グスタフ、行くぞ。」



ペーターとラルフはラルフの家の方向へグスタフを歩かせて行きました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



一方、丸一日以上かけてオリバーとレオンはシーガルンの首都、ハングリアに到着しました。ハングリアの街の中には既にフラレシア王国軍が駐在していて市内を巡回しているようです。



「どうやらここは特に何事もないようだな…。」



オリバーは少し安心したように言いました。



「ああ、そうだな。…なぁ、オリバー。このフラレシア王国軍の現地指揮官と少し話をしておきてぇんだが…。」



レオンが言いました。



「ああ、そうだな。ヴォルフのことも聞いておきたいしな。じゃあハングリア城に行ってみようか…。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



オリバーとレオンはハングリア城の大広間に通されました。しばらく彼らが待っていると、立派な格好をした男が一人入ってきました。男は二人に丁寧に話しかけました。



「オリバー・ローゼンハインさんとレオン・ブーランジェさんですね。私はこのハングリアの警備を任されている、フラレシア王国将軍のブレーズ・ジスカールです。以後よろしく。」



オリバーとレオンも簡潔に自己紹介を済ませました。ブレーズ将軍は二人にハングリアやシーガルンの現状を伝えました。



「現在、旧シーガルン王国領土内では私の指揮下の兵士たちが警戒に当たっています。もっとも、強大な魔力を持つという魔術師シャロンの前ではそれもどれほど通用するかはわかりかねますが…。」



「そうですか…。ところでブレーズ将軍、最近このシーガルン領内で不審な事件は起こっていませんか?例えばどこかの村でシャロンによる虐殺が行われた、とか…。」



オリバーがブレーズ将軍に聞きましたが、ブレーズ将軍は首を横に振りました。



「いえ、そのような情報は入ってきておりません。異変が起これば部下たちが逐一私のところに報告に来るはずです。無論、部下たちもシャロンによって抹殺されていれば話は別ですが…。」



「そうですか…。ありがとうございます。シャロンはとにかく危険です。ブレーズ将軍も、どうかご用心を。」



「ありがとう、オリバーさん。」



「ああ、それと、ここにヴォルフ・ザックスという男は訪ねてきましたか?」



オリバーは少し心配そうにブレーズ将軍にたずねましたが、ブレーズ将軍は真剣な表情で答えました。



「ええ、ご心配はいりません。ヴォルフ・ザックスさんはこのハングリア城に一度立ち寄りましたよ。その後すぐにフラレシア本国に向かわれました。私も国書の内容をお聞きしましたが…リバー王国にとってはとても残念なことです…。」



「そうですか…。それならば安心です。ありがとう、ブレーズ将軍。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



オリバーとレオンはハングリア城を後にしました。



「あの将軍なら安心してシーガルンの警備を任せられそうだな、レオン。」



「ああ、まったくだ。フラレシア王国とシーガルン王国はお互いにいい印象を持っているからな、フラレシアの人間は基本的に信用ができるぜ。」



「そうか。それなら国民も安心できるな。…さて、ここでも特に異変は起こっていないようだ。オーベルクに帰るとしようか。」



「ああ、そうしようぜ。他のみんなも帰ってきているだろうしな。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



オリバーたちが帰路についた頃、ようやくパトリックとモニカはナンジューマ地方の神殿都市ダナラスフォルスに到着しました。ここでもオーベルクと同じように、街の人々が復興作業を進めています。



「大神殿もめちゃめちゃになっていましたけど、かなり修復されているみたいですね。」



モニカがパトリックに言いました。



「ああ、そうだね。少し街の人にも話を聞いてみるとしようか。」



パトリックはそう言って一人の市民に話しかけようとしました。しかし、それよりも前に市民はパトリックとモニカをものすごい形相で睨みつけながら言いました。



「ああっ!あんたは…確かオリバー・ローゼンハインとかいうやつの仲間だな!」



その言葉に、市民たちは一斉にパトリックたちの方を見ました。



「何だって!?よくこんなところにのこのこやって来れたな!」



「お前らのせいでシャロンとかいうやつに街をめちゃくちゃに壊されたんだ!」



「とっとと立ち去れ!」



市民たちは口々に言いながら、パトリックとモニカに石を投げつけました。



「いっ、痛い!…そんな!私たちはシャロンと必死になって戦っているのに!こんな仕打ちを受けるなんておかしいのに…。」



石をぶつけられたモニカは泣きながら言いました。そしてその目はだんだんと怒りへと変わっていきました。



「そんなに勝手なことを言うのなら…この街を氷漬けにしてやる!」



「待つんだ、モニカ!…今は立ち去ろう。下手に市民を刺激しては危険だ。」



「そんな、パトリックさん!あんなことを言われて黙っていられるんですか!?」



モニカは泣き叫びましたが、パトリックは強引にフランソワのお腹を蹴りました。フランソワは驚いたようにいななきをあげ、ものすごい勢いで走りだしました。パトリックは巧みにフランソワを操りながらモニカに言いました。



「市民がああいうことを言うのもある意味正しいんだ。それに逆上して君が街を氷漬けにしてしまったら、君もシャロンと同じようなことをしてしまうことになるんだよ?」



モニカはまだ不機嫌そうな顔をしていましたが、パトリックの言葉に反論することはしませんでした。



「…ともかく、もうオーベルクに帰ろう。市民の感情が昂っているとはいえ、どうやらそれにシャロンは関係していないようだ。それならば早く戻ってオリバーたちに合流した方がいい。」



パトリックはそう言うと、街の方を一度だけ振り返りました。ほんの少しだけ悲しげな顔を見せた後、パトリックはもう一度も後ろを振り返ることはしませんでした。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



パトリックとモニカは丸二日かけてオーベルクへとんぼ返りしてきました。オーベルクの街が見え始めた頃にはもうモニカはへとへとになっていました。パトリックは心配そうにモニカに声をかけました。



「大丈夫だよ、モニカ。もうすぐオーベルクに着く。そうすればヴォルフの宿のベッドでゆっくり休めるよ。そう、『隠れ家』の落ち着いた寝室も悪くないね。」



パトリックの言葉にモニカは微笑みました。しかし、次の瞬間、モニカの表情が変わりました。



「パトリックさん!あれを!」



モニカの言葉にパトリックは正面を向きました。



「あれは…『猛攻の合図』…。」



以前オーベルクでシャロンと戦った時にイザベルが打ち上げた緑の炎、猛攻の合図が光っているのです。



「…きっと何かよくないことが起こったんだね。モニカ、長旅の後ですまないが、どうやら休むことはできそうにないよ。」



パトリックがやれやれといった表情でモニカの方を振り返りましたが、モニカは姿勢をしっかりと正し、表情を引き締めています。パトリックはモニカを頼もしそうに見た後、自分も表情を引き締めました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



パトリックとモニカが『隠れ家』の前に到着すると、建物の外にオリバーを始めとした仲間たちが戦いの準備を整えていました。パトリックはそのすぐそばにフランソワを走らせました。



「みんな!何かよくないことが起こったのかい?」



パトリックたちの到着を、オリバーは心待ちにしていたようです。



「おお、パトリック!そろそろ帰ってくる頃だと思っていたぞ!」



「『猛攻の合図』を見ました。いったい何が起こったんですか?」



モニカがたずねました。オリバーは苦虫をかみつぶしたような顔をしました。



「ノーザリン方面に偵察に行ったアリスとマチルドが帰って来ないんだ。」



「何だって!?」



パトリックは珍しく動揺したような表情を見せました。追い打ちをかけるように、ビアンカとエミリーが言いました。



「あたしたちはこのオーベルク近辺を見回ってたんだけど…、ノーザリンとの境目辺りの村で、村人が全員殺されていたんだ。」



「お姉さまたちが未だ戻らないということと合わせれば、ノーザリン方面でシャロンが勢力を拡大したのではないか、と…。」



パトリックもモニカもショックを受けたようです。オリバーは静かに言いました。



「ノーザリンには大量の魔力が眠っている。いや、眠っていた。どういうことかは、わかるよな?」



モニカは震えながら頷き、言いました。



「禁じられた洞窟の封印が解かれた…。その上に、シャロンがその魔力を吸収している…。」



「そうだ。恐らくはその膨大な魔力を試すために北の村を襲ったんだろう。とにかく、これからすぐにノーザリンに向かい、アリスとマチルドを探さなければならないな。そして…シャロンと決着をつける。



恐らく洞窟から出る魔力をすべて活かすために、シャロンは禁じられた洞窟の近くにとどまっているだろう。勝負は…その場所でだ。」



オリバーの言葉に、仲間たちは大きく頷きました。それを確認し、オリバーは高らかに宣言しました。



「さあ、行くぞ、ノーザリンへ!暗黒との戦いに決着をつけるんだ!」

ノーザリンへ偵察に出かけたアリスとマチルドが行方不明になってしまいました。二人を捜すため、そしてシャロンと決着をつけるためオリバーと仲間たちはノーザリン地方へと旅立っていきました。



次話ではオリバーたちがノーザリン地方に入り、アリスとマチルドの足跡をたどり始めます。ノーザリン地方一帯には強力な魔力が流れ出しているようですが…?どうぞお楽しみに!



ちなみにオリバーとレオンがハングリアで対談したブレーズ将軍は、今でこそフラレシア王国の将軍ですが、幼少時代はシーガルン王国で育ちました。彼は今のところは顔出し程度ですが、後々に…?



では次話をお楽しみに!

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