キャライベと作戦会議‼
俺たちは何度もホームとギルドの往復バグを繰り返しながら、ひたすら悟りの〇閃でメタルスライムを狩っていた。そんな俺たちにアレが起きたのは3回目のメタルスライム狩りのクエストが終わった時だった。
【クエストクリアおめでとうございます!これより隠しイベント『ウメコの過去』に移ります。】
赤い光でその文字が出たその瞬間、俺はクエストに転送される時に似た浮かぶような感覚を覚える。
◇◇◇
次に目を開けると、なぜか俺とウメコだけ満天の星空に聳える人気のない孤児院の前に飛ばされていた。特段その現象に対してウメコが何か驚いた様子を見せるわけではない。それどころか俺に淡々と自身の過去語り始める。
「私はね、孤児だったの。物覚えついた頃には両親が居なくて、、、」
知っている。その知識は俺が原作で得たものだ。今行われているこれは原作でいう所のキャラクターイベント略してキャライベの事だろう。キャライベとは特定のキャラがパーティー内にいるときクエストクリア時に短いイベントが流れるという隠し要素だ。
「でも一個だけ覚えていることがある。私には一人だけ家族がいたんだ。その人はとても私の事を大事にしてくれた。どんな人だったとかは覚えてないのだけれど、、、ケヴィンさんはこんな薄情な私ってひどい娘だと思う?」
ああ、このイベントか、、、このキャライベを見て俺はウメコを選んだといっても過言ではない。ここはケヴィンっぽい事を言っておくか。
「思わないよ、、、いつか絶対にその人には出会える。それは僕が保証する。」
ゆったりとウメコの小指を俺は自分の小指で結ぶ。
「「指切りげんまん嘘ついたらハリセンボンのーます!指切った」」
二人は声を合わせて言った。
するとウメコは微笑んだ。
◇◇◇
光が明け、俺たちはギルドに戻ってきていた。手には報酬の300Gが握られている。他のメンバーはなにが起こったかは知らないようだ。ウメコはこちらを見て少し微笑む。なるほど、キャライベはこういう仕様なのか。
◇◇◇
俺たちはまたホーム往復バグを繰り返し、メタルスライム狩りのクエストが出るまで粘り4回目のメタルスライム狩りで最後のメタルスライムを撃破する。
【五条悟りのレベルが115に上がりました!】
【ケヴィンのレベルが109に上がりました!】
【ローウェンのレベルが103に上がりました!】
【ウメコのレベルが105に上がりました!】
全員のレベルが100の大台を突破している。100以上があるんだという事を俺は今知った。ホーム往復バグがほとんど使用できない現実ではこんな数字見たことがない。平均的には大体70くらいまで上げれれば良いとされている。やっぱえげつねえな原作異世界転生は、、、俺は感動を通り越し恐怖を覚えてしまった。横を見つめると、、、
「いちいちごー、いちいちごー、、、、」
という言葉を復唱しながら悟りが目を回して混乱している。
「ステータスオープン」
レベル109 属・闇
HP20780
攻撃20590
回復8990
運30023
たかがケヴィンと言えども、さすがレベル109、えげつないステータスになっとる。特にメタルスライムを狩りまくったから運の数値の成長がすさまじい。
【クエストクリアおめでとうございます!これより隠しイベント『最強だった二人』に移ります。】
うおまたイベントか、しかもあれかよ。
◇◇◇
晴天の青に照らされるは青々とした緑と大きな黒色の木材で作られた寺社仏閣の数々。そこには【儒教開戦】に登場する、東京都立儒教高専の姿が広がっている。夏なのだろうか?熱は遮断されているようだがセミの声がうるさい。
「なんでか、聞かないんですか?」
俺の横にいる悟りは重々しく口を開く。
「何が?」
「私が紅桜さんに胸ぐらをつかまれていた理由です。」
「ああ、聞いてもいいかな。実は僕もパーティーメンバーとして気になってたんだ。」
本当はなんとなく知ってるけど、、
青々とした緑を見つめながら、悟りは口を開く。
「たった一人の親友がいたんです。私と一緒に二人でいれば僕たちは最強だと言ってくれた親友が、、、」
「ふうん」
「その親友は、、ううん、今はもう、、その話はいいや。」
自問自答しながら悟りは首をぶるぶると振る。そして息を吸って
「その人の事を彼に外道な屑野郎だと言われて、ガラにもなく私言い返しちゃって。」
なるほどな、やはりか。
「でも私ケヴィンさんと出会って少し考え方が変わりました。その人のために戦うんじゃなくて、今は自分が戦いたいから戦います。私は変わったんだと、強くなったんだと証明します。だから、、、」
少し悟りは息を吐いて
「一緒に戦ってください。私の魔法使いさん」
「ああ、、、」
俺は強く頷く。頷くとともに俺たちは光に包まれる。
◇◇◇
するとまたギルドに戻ってきた。悟りは笑顔でガッツポーズをしている。彼女の中でどうやら何かが吹っ切れたみたいで良かった。
俺は切り替えるみたいに息を吸った。
「それじゃあ、クエスト4回分を消費して残すは装備を整えて、コロシアムで戦うだけとなったわけだけど準備は良い?」
「おっす」
「うん」
「そうじゃったかのお」
ローウェンはいつも通りぼけている。
「これから作戦会議を行う。」
大丈夫、俺たちには原作という最強のバイブルがある。
「まず最初なんだけど、相手の戦力分析からしていこう。このチームに関してなんだけど、基本的にリーダーはおそらく紅桜で来ると思う。リーダーマジック【ペナ最強生物‼】は味方の火属性のステータスを1.5倍かつペナルティになるたびに自分のステータスを攻撃以外は2倍、攻撃は3倍にする。だから彼らのパーティは全員火属性なんだ」
「なるほど、ペナルティを駆使して戦うパーティなんだ。じゃあ序盤はどうやって攻めてくるんでしょうか?」
「おそらく序盤は彼がリーダーという事もあり、紅桜は出てこない。基本的には素のステータスがかなり高い獣魔王オークキングが主軸となって戦う。彼ならリーダーマジックが弱くても十分前衛で戦えるからね。彼のパーティは序盤はキング後半は紅桜で戦うダブルエースを軸に据えたチームだ」
「ほうほう。」
ローウェンは分かったような相槌をうつ。
「他のメンバーに関してはどのように考えれば、、、」
「まず赤色の坊主頭マングロに関しては考えなくていい。」
「なぜですか?」
悟りが食いついた。
「それは試合が始まればすぐわかる。」
俺はあの戦術を思い出し、ため息をついた。
「そしてあのピクシーハットの女の子アカシアのマジックはオークキングや紅桜を補助するバッファーだ。出来るならキングよりこっちを優先して攻撃していこう。まあ相手もそれには気が付いているから。隙を見てっていう感じで良い。」
「なるほど、、、大体相手のチームの出方はわかったんですが、こっちはどうするんですか?」
俺は大きく息を吸う。
「こっちのチームのエースは序盤は悟りで行く。そして後半は、、、」
「後半は?」
「ローウェンで行く」
「「ええ!?」」
「ワシ‼かよ。ワシ痛いの嫌じゃよ」
他の二人も驚いていたがローウェンが一番驚いてる。何なんだこの人は、、、
「まあまあ、聞いてよ。リーダーは僕か悟りで序盤は僕のマジック【闇夜】とローウェンのマジック【転移】で悟りをエースとしてサポート。後半になったらローウェンのリーダーマジック〇〇りを発動させローウェンを○○りさせる」
「「マジか、あれって本当にやろうとする奴いるんだ。」」
悟りとローウェンは二人そろって驚いた。
ちなみにローウェンのマジック【転移】は指をパチンと鳴らすと魔力を持つ者同士の位置を入れ替えることができる。彼が転移魔法の第一人者であるという設定から作られたものだろう。
「だからこの1200Gはローウェンの隠密魂に使うね。後、ウメコちゃんは僕が合図を出すまでは隠れていて良いよ。ペナルティがあるから相手も狙わないと思う。合図を出したらコロシアムの真ん中へ行ってね」」
「うん」
「はい、、、」
「おっすじゃ」
隠密魂は使うと対象が敵に1ラウンドの間見つかりにくくなるアイテムだ。
「そういえば、なんでそんなに赤桐の木の事を知っているんですか?」
悟りは訝しんだ。
「だから前にも言ったでしょ、好きだからだよ君たちの事が、、、」
俺がそういうと悟りは首をかしげた。
「じゃあ今日は1日はお疲れ様。明日コロシアムで8時から始まるみたいだから。みんなゆっくり寝てね。」
俺は微笑みながら言った。
その言葉に皆は渋々ながらうなずいた。




