02 第1章第1話 受験シーズンでも……
~この物語はフィクションであり、実際のプロ野球とはまったく関係ありません~
「ねえ~タマ~、明日から学校休みだね~。なんか予定……あ、そっか、タマはキャンプインするんだね」
「そうよ、まあ、1月中は自主トレって言うんだって」
「自主トレって、自分で好きなように練習するんだよね。いいじゃん、楽で!」
「何言ってんのよ、エリってば。あたしが、練習の仕方も分からないのに、自主トレなんかできるわけないじゃない! エリの方こそいいわよね。もう、市内の大学に推薦もらってるんだから。卒業式まで遊んで暮らせるじゃない」
「う~ん、それがね、大学からもう宿題が出てるのよ。3月中にレポート書いて提出しなきゃならないんだって。なんでも、入学直後にそのレポートを持ち寄って研究発表するんだって。もう、なんかメンドクサイよね~」
「へえ~そうなんだ……」
ここ旭川市の花崎町にある道立北西高校は、1月20日から3年生の自宅学習期間に入る。北西高校は進学校なので、ほとんどの生徒は大学や専門学校を受験する。もう推薦が決まっている生徒は、卒業を待つだけなのだが、ここから公立大学の共通試験や2次試験、私立大学も追加募集試験などが始まる。大学の入学試験面接の練習をするために登校する生徒は時々いるが、大抵は学校に来なくなるものだ。
ただ、ここ3年G組の北白山珠子は、みんなとはちょっと変わった進路を選んでいる。まあ、選んだというより、偶然が重なってそうなってしまったという方が正しいかもしれない。
それは決して本人が希望した進路ではない。ある人物の熱烈な勧誘があり、その進路を決めたというべきだろう。
北白山珠子は、ここ北海道旭川市を本拠地とするプロ野球球団『北海道ミルクファイアース』に入団が決まっているのだ。
(つづく)




