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『銀河遺産の管理人(システム・アドミ) 〜拾った宇宙船AIのオーバーテクノロジーで、枯れ果てた日本を世界最強の技術国家へ作り替える〜』  作者: seri


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第17話:合体巨艦ヤマト・ムサシ、虚無の工廠を穿て!(中編)

大気圏を突破し、漆黒の宇宙へと躍り出た『ヤマト・ムサシ』。背後には青き地球、前方には太陽の光さえも吸い込むような、底なしの虚無が広がっている。


「……結衣、さっきの座標を固定しろ。エリス、加速ブーストだ! 慣性制御を限界まで無視していい、最短距離でぶち抜くぞ!」


和也の命令に、艦全体が震動で応える。二隻の戦艦を繋ぐ論理結合部が、虹色の放電を撒き散らしながら空間を歪ませた。通常のワープ航法ではない。和也が即興で書き換えた「空間のショートカット・コード」による、強引な次元跳躍だ。


『マスター、前方に高エネルギー反応! 敵「ロスト・バイナリ」の本隊、および防衛艦隊が次元の隙間から出現しました!』


エリスが警告を発した瞬間、暗黒の宇宙に、無数の幾何学的な紋様が浮かび上がった。それは先ほどの『ボイド・プラント』と同系統の、窓もエンジンも持たない漆黒の立方体や錐体の群れ。その数、およそ三千。


「三千だと……? 冗談でしょう、一個艦隊どころの規模じゃないわよ!」

 怜奈がモニターの数字を見て絶叫する。


「……いいえ、まだ増えています。……彼らには『生産』という概念がありません。……ただ、そこにある資源を『書き換えて』、自分たちのコピーを増やし続けています」

 ムサシが冷徹に分析する。敵の艦隊は、周囲にある小惑星や宇宙の塵をナノマシンで瞬時に再構成し、自己増殖を繰り返していた。まさに宇宙を侵食する癌細胞そのものだ。


「結衣、奴らの中枢プログラムに干渉はできるか?」


「無理だよ、和也くん! 奴らのコードは、私たちが使っているバイナリとは根本的に違う……。0(偽)でも1(真)でもない、第三の論理ボイドで動いてる。ハッキングしようとしただけで、私のコンソールが『存在しないこと』にされちゃうんだ!」


結衣の指が止まる。天才ハッカーをもってしても、論理の前提が違う相手には手が出せない。

 その間にも、漆黒の艦隊がその巨大な角柱の先端をヤマト・ムサシへと向けた。


『警告:敵、高出力の「存在消去ビーム」をチャージ中。……回避不能。……直撃すれば、艦の全データが物理的に抹消されます』


「……だったら、書き換えるまでだ」


和也はスマホを、ムサシのコアに直結させた。彼の瞳には、敵の艦隊が放つ黒いエネルギーの波形が、複雑な数式として投影されている。


「エリス、ムサシ! 俺の脳を演算ユニットとして使え! 奴らの『第三の論理』を、俺たちのバイナリで強引に割りデバイドしてやる。余り(バグ)が出れば、そこが穴になる!」


『マスター、そんなことをすれば貴方の神経回路がショートします! 脳が情報の過負荷オーバーフローで焼き切れてしまいます!』


「焼かせてたまるかよ! こっちはブラック企業で一日20時間、バグだらけのレガシーコードと戦ってきたんだ! 宇宙の法則だろうがなんだろうが、俺にとってはただの『他人が書いた読みづらいコード』に過ぎねえんだよ!」


和也がスマホの画面を血の滲むような力で叩いた。

 瞬間、和也の脳内に、宇宙の深淵から届く「絶望のログ」が直接流れ込む。宇宙は無価値である。生命はエラーである。全てを0に還せ——。

 その負の感情の激流を、和也は「論理」という盾で真っ向から受け止めた。


「凪! 怜奈! 全出力を艦首の『デバッグ・キャノン』へ! 奴らが『無』を放つなら、こっちは『全』を叩き込む! 宇宙の全履歴をパケットに詰めて、奴らのメモリをパンクさせてやるんだ!」


ヤマト・ムサシの艦首に、黄金と銀灰色、そして和也の精神が燃やす青い炎が渦を巻く。

 それは、始祖文明さえも成し得なかった、論理と感情の完全な融合。


「――ターゲット、敵中央指揮艦! フルスタック・オーバーライド……撃てぇぇ!!!」


宇宙の闇を、見たこともないほど眩い「虹色の奔流」が引き裂いた。

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