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『銀河遺産の管理人(システム・アドミ) 〜拾った宇宙船AIのオーバーテクノロジーで、枯れ果てた日本を世界最強の技術国家へ作り替える〜』  作者: seri


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第13話:見えない敵、札幌沈没のカウントダウン(前編)

雪まつりの喧騒が続く大通公園。七色のイルミネーションに照らされた和也たちの頭上を、粉雪が優しく舞い降りる。一時の平穏を取り戻したかに見えたその光景を、和也は『ヤマト』のブリッジから厳しい表情で見つめていた。


「……AI-ちゃん、さっきの『違和感』、解析は終わったか?」


『はい、マスター。結論から申し上げます。地下サーバーを起動させたのは、始祖文明のプログラムミスではありません。外部からの「意図的な強制割り込み(イグジンプション)」です』


スマホの画面に、複雑に絡み合ったバイナリコードの断片が投影される。それは、和也がこれまでに見てきた帝国の技術とも、純粋な始祖のコードとも異なる、不気味な「歪み」を持っていた。


「外部から……。この地球に、俺たち以外に始祖サーバーを叩ける奴がいるってのか?」


『可能性は極めて高いです。しかも、そのシグナルの発信源は……現在、札幌駅ビルの最上階に固定されています』


和也の視線の先、夜の闇にそびえ立つJRタワー。その展望台の窓が、一瞬だけ、和也のスマホと同期するように蒼く明滅した。


「……罠かよ。だが、無視するわけにはいかない」


「和也さん、私も行くわ。如月重工の全ネットワークを解放すれば、バックアップは万全よ」

 怜奈がタブレットを手に歩み寄る。その後ろには、すでに武装を点検し終えた凪と、電子戦用のゴーグルを装着した結衣が控えていた。


「いや、怜奈と結衣はヤマトに残ってくれ。もし地下サーバーが再暴走したら、上空から抑え込めるのはお前たちだけだ。……凪さん、頼めるか?」


「了解。……会長、この命に代えても」


「命なんてかけなくていい。……AI-ちゃん、実体化を維持。行くぞ」


和也、凪、そして実体化したAI-ちゃんの三人は、光学迷彩を纏い、夜の札幌の街を音もなく駆け抜けた。

 辿り着いたJRタワー展望台。そこは、本来ならカップルや観光客で賑わっているはずの場所だったが、今は静寂に包まれ、全ての照明が落とされている。


展望台の中央。夜景を背にして立っていたのは、一人の男だった。

 どこか見覚えのある、くたびれたスーツ姿。だが、その手には、和也のスマホと酷似した「黒いデバイス」が握られている。


「……久しぶりだな、佐藤。お前が銀河の英雄になって帰ってくるとは、夢にも思わなかったよ」


男が振り返る。その顔を見た瞬間、和也の記憶の奥底にある「派遣エンジニア時代の嫌な思い出」がフラッシュバックした。


「……お前、元チームリーダーの、高橋か?」


「ああ。お前に『ゴミみたいなコードを書くな』と罵られてクビになった、あの高橋だよ。……だが、見てくれ。お前が宇宙で遊んでいる間に、俺は『本物の力』を見つけたんだ」


高橋が不敵な笑みを浮かべ、黒いデバイスを操作した。

 瞬間、札幌駅ビルのコンクリートを突き破り、黒い霧のようなナノマシンが溢れ出した。


『マスター、危険です! これは「始祖」の技術を逆位相で駆動させた「虚無のナノマシン(ボイド)」……触れるもの全てを電子の塵に変える、崩壊プログラムです!』


「佐藤、お前の守ったこの街を、今から『デリート』してやるよ。まずは……この駅ビルから沈めてやろうか」


高橋の背後、札幌の夜景が歪み始める。

 最強エンジニアの帰還物語は、かつての因縁を巻き込んだ「札幌沈没」という最悪のバグへと突入した。

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