第10話:帝都強襲、反乱の姫君(中編)
爆炎と閃光が吹き荒れる戦場。凪を乗せた重力ポッドは、反乱軍旗艦の装甲を最小限の衝撃で貫き、ブリッジのすぐ傍へと着弾した。
煙の中から現れた凪の姿は、始祖文明のナノスーツによって神々しいまでの光を纏っている。
「――反乱軍指導者、セレス殿ですね。佐藤和也の命により、お迎えに上がりました」
瓦礫の中で銃を構えていたセレスは、目の前の「未来の戦士」に息を呑んだ。
『……エリスの波動? それに、その装備……失われたはずの始祖技術……。本当に、伝説の「開拓者」が現れたというの……?』
「話は後です。来てください」
凪は迫りくる帝国の突入部隊を、視認できないほどの速さで抜刀し、峰打ちで無力化していく。その流麗な動きに、セレスは呆然としながらも、凪の手を取った。
一方、ヤマトのブリッジ。和也は、惑星を貫く「次元崩壊砲」の構造データを、エリスを介してスマホにダウンロードしていた。
「……なるほど、最悪な設計だ。出力の安定を『生命エネルギーの強制消費』で補ってやがる。……エリス、これ、回路を逆流させれば、ただの『超巨大なバッテリー』に書き換えられるな?」
『マスター、正気ですか!? それは銀河一個分を吹き飛ばすエネルギーですよ。……ですが、ふふ、マスターならそう言うと思っていました。書き換え用コード、既にスタンバイしています!』
「よし。ヤマトを崩壊砲の接続端子に直結させる。……憐奈、操艦を頼む!」
「ええ……! 世界を救うためなら、戦艦をコンセントに差し込むくらいやってみせるわ!」
憐奈の神業的な操艦により、ヤマトは次元崩壊砲のエネルギーバイパスへと接触。
和也がスマホの実行キーを叩いた瞬間、惑星ケルヌンノスから噴き出していた負の光が、一瞬にして澄み渡る蒼い光へと反転した。
「――バグ修正完了。このエネルギー、全部ヤマトがもらうぞ!」
宇宙を焼き尽くそうとしていた破壊の槍が、ヤマトを無限のエネルギーで満たす「命の噴水」へと変わった。
その光景に、帝国艦隊の兵士たちは戦意を喪失し、跪く。
その時、ヤマトの格納庫に、セレスを抱えた凪が帰還した。
「会長。……無事、連れて戻りました」
凪の隣で、セレスはヤマトの巨大なブリッジ、そしてコンソールの前で平然と「宇宙最大の兵器」をハックしている和也の姿を見て、震える声で呟いた。
「……貴方が、佐藤和也……。私の父が、そしてエリスが待ち続けた……銀河の書き換え主」
セレスの瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちる。
だが、その安堵を切り裂くように、帝都星の深部から、この世のものとは思えない不気味な咆哮が響き渡った。
『……マスター! 皇帝……いえ、皇帝を取り込んでいた「機械の化身」が、自ら実体化して現れます!』




