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『銀河遺産の管理人(システム・アドミ) 〜拾った宇宙船AIのオーバーテクノロジーで、枯れ果てた日本を世界最強の技術国家へ作り替える〜』  作者: seri


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第5話:超技術国家の誕生(前編)

「……佐藤会長、総理大臣がお待ちです。いえ、正しくは『待たせてあります』」


如月重工本社の特別会議室。東條凪が事務的に告げた。彼女の背後には、緊張で顔を青白くさせた日本の最高権力者と、その閣僚たちが列をなしている。

 かつてなら、一企業の会長が総理を待たせるなど不敬の極みだっただろう。だが、今や日本全土の電力を握り、空からの侵略を指先一つで退けた和也こそが、この国の事実上の「支配者」であることを誰もが理解していた。


「通してくれ。……エリス、議事録の用意と、彼らの『本音』のスキャンを頼む」


了解イエス、マスター。彼らの脳内血流量から、保身、恐怖、そしてわずかな期待値をリアルタイムでグラフ化します。……おや、財務大臣はまだ増税のタイミングを考えているようですね。……愚かすぎて回路がショートしそうです』


和也の皮肉な笑みと共に、重厚な扉が開かれた。


「佐藤君……。いや、佐藤会長。今日のエネルギー革命、そして先ほどの防衛戦。……国民は熱狂しているが、我々政府としては、君の独断専行を看過するわけにはいかない」


総理大臣が椅子に座るなり、精一杯の威厳を振り絞って言った。だが、その声は微かに震えている。


「看過できない? なら、どうするんですか? また石油を買うために頭を下げ、防衛のために他国の顔色を伺う生活に戻りますか?」


和也の問いに、総理は言葉を詰まらせる。


「……君が提供した『常温核融合』は、確かに素晴らしい。だが、既存の産業構造を破壊しすぎる。失業者が溢れ、円の価値はどうなると思っている!」


「だからこそ、俺が新しい『産業』と『通貨』を作ると言っているんです」


和也が指を鳴らすと、会議室の中央に巨大なホログラムが展開された。

 そこには、現在の日本地図をベースにした、全く新しい都市計画図が描かれていた。


「結衣、プランを見せてやれ」


「はーい! 世界一クリーンで、世界一効率的な『JAPAN-OS』だよ!」


結衣がキーボードを叩くと、地図上の都市が光り輝き始めた。


「まず、全国に『ナノマシン・ハイウェイ』を敷設します。物流は全て地下の真空チューブを通り、配送コストはゼロ。次に、教育。エリスの学習支援AIを全児童に配布し、一週間で大学卒業レベルの知識を習得させます。……そして最も重要なのがこれ。国民全員に配布する『ユニバーサル・クレジット』」


「……クレジット? 給付金のことか?」


財務大臣が身を乗り出す。


「いいえ。和也くんが作った核融合炉が生成するエネルギー量に裏打ちされた、世界で最も『価値が安定した』新通貨だよ。これまでの紙屑とは違う。日本そのものが、地球の銀行になるんだよ」


あまりに壮大すぎる、そしてあまりに現実的な数値に裏打ちされた計画。

 怜奈が横から、冷徹な追撃を加える。


「如月重工は、すでにこの計画に必要な資材の生産を24時間体制で開始しています。政府の役割は一つ。……これらすべての超法規的措置を認める『国家改造法案』を、今夜中に可決することよ」


「そんな、議会を通さずに……! 民主主義の破壊だ!」


「……総理。国民は、明日から電気がタダになり、病気がナノマシンで治り、働かなくても生活が保障される世界を、民主主義よりも望んでいますよ」


和也が身を乗り出し、総理の瞳を覗き込む。


「選んでください。……俺と一緒に、日本を『宇宙時代』の先駆者にするか。それとも、沈みゆく泥舟の中で、議事録を書き続けるか」


その時、沈黙を守っていたスパイのアリスが、和也の椅子の背もたれに手をかけ、妖艶に笑った。


「総理、いい提案だと思うわよ? 外圧なら私が止めてあげる。……まあ、止まらない国は、佐藤会長が『重力』で黙らせてくれるでしょうしね」


閣僚たちが戦慄する中、日本の歴史が、音を立てて書き換えられようとしていた。

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