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星空のユーリ  作者: 春人
第三章
13/17

ルーア動乱

~10月某日~


この日ルーア星系総督府は炎に包まれた。

植民地経済の悪化によりルーアの住民達は飢えに苦しみ事あるごとに総督府に状況の改善を訴えていた。

しかしデムン総督はこれを黙殺。

それでもしつこく訴えを起こした者は逮捕され刑務所送りにされていた。

この事実は情報統制により一般市民には帝国への反逆者を逮捕したとされ真実は隠蔽されていた。この混沌とした状況下でデムン総督は私腹を肥やすためと上層部への賄賂のために新たな税金を追加した。

表向きは福祉政策の充実と称して......




「ヘンリー、状況は?」

通信機のむこうから親友の声が聞こえる。

彼の名はカルロス

今はルーア解放軍の一員で同志である


「ダメだ、デムンはいない」


「ちっ逃げ足だけは立派な奴だな。レナの部隊も拘束に失敗したよ。」


「そうか...一旦そっちに戻るよ。」


「おう!デムンは逃したが勝ちは勝ちだ、勝利の宴を用意して待ってるぜ。」


ヘンリーと呼ばれていた男が通信を切りふうっとため息をもらす。

「どうかしたか?」


解放軍の仲間が不安気に顔を覗きこむ。


「いや、意外と上手くいかないもんだなって」


「まぁな、だか総督府を制圧したのは大きい。他の地域でもこちらが優勢みたいだし何よりセレジア軍の支援もある。ルーアの解放もすぐさ。」


「そうだな...よし本部に戻るぞ。」


「イエッサー!」

ヘンリー達は砲撃で廃墟となった総督府を後にし意気揚々と引き上げて行った。




「どうだ追っ手はまだいるか?」

豪華な衣服を纏った中年のデブが潜望鏡で周囲を警戒している兵士に尋ねる。

兵士は潜望鏡から目を離さず追っ手はいないことを告げると

「そうか...にしても忌々しい連中だ。被征服民の分際でこの儂に楯突きおって!あぁクソ!クソ!クソ!!!」

先程から悪態をつきまくっているこのデブはデムン総督その人である。

今は総督府から装甲車に乗り込み戦車2両を伴って敗走中だ。

「おい通信士っ付近に友軍はいないのか」


「はっ、こちらの呼び掛けに応えたのはファ・レス要塞のみです。」


「ではさっさとそのファミレス要塞に進路をとれ!」


「総督、ファ・レス要塞であります。」


「うっうるさい、操縦手!さっさと出せ!」


デムンは足をバタつかせながら命令を出す。

操縦手は総督のヒステリックに半ば呆れながらもアクセルを踏み要塞のある北へ進路をとった。




~解放軍総督府攻撃部隊陣地~


「おっ英雄達の凱旋だぞ」


ヘンリーに率いられた突入部隊の帰還に歓声をあげる人々。

彼等の目は帝国支配からの解放・自由な未来への希望に目を輝かせていた。


「よせよカルロス、結局デムンの奴を捕まえることはできなかったんだ。」


「そう言うな、今は素直に喜べ」


「あぁ...そうだな」

時々ヘンリーはカルロスのこういうポジティブな性格を羨ましいなと思う。


「さぁ!勝利を祝して乾杯といこうぜ!」

どこからともなく酒樽を転がしてきてわいわいガヤガヤと酒を呑み始める。

ヘンリーとカルロスもビール瓶片手に酒盛りに加わる。


「ちょっとぉ私たちを忘れないでよ」

街道を封鎖していたレナ率いる別動隊も帰ってきた。


「ワリィなレナちゃん!オジサンははやくアルコールを摂らないと死んじまうんだ」

おめぇアル中かよぉとどっと笑い出すおじさん集団。

「まったく少しくらい待ってくれたって良いじゃん!」


なおもいじけるレナに見かねたカルロスはこっちに来るよう声をかけた。


「さっっすがカルロスは気が利くねぇ」

レナは嬉しそうにビールを一気に呑み干す。

そしてすかさずヘンリーがレナにどうぞどうぞと二杯目を注ぎどうもどうもと応じる。


「にしてもあのデブ総督どこに逃げたの?」

二杯目を呑みながらレナは疑問を投げ掛ける。


「パトリック大佐によると付近の拠点はほとんど制圧してるらしい。残っているのはファ・レス要塞ぐらいなんだそうだ」

パトリック大佐はセレジア共和国から軍事顧問として派遣されている軍人だ。

この地域の解放軍を指揮している。


「じゃあ次はそのファミレス要塞?をやるってことね」


「ファ・レス要塞な」

ヘンリーがすかさず訂正を入れる。


「細かいことはいいの!まっとにかく今日は呑むぞぉ~」


勝利の宴は静まる気配は無くあちこちでばか騒ぎが始まりだした。


一方指揮本部には外の騒ぎとは異なる沈痛な面持ちの軍人がいた。

パトリック大佐である。

(マズイな...要塞攻略となると準備に時間がかかるし、かといって現有戦力での攻撃は無謀すぎる)

彼はデムン総督を捕縛出来なかったのは今日挙げた戦果を帳消しにするくらいの痛手だと考えていた。

戦力を集結させてから攻撃に移るべきだと考えてはいるのだがあまり時間を掛け過ぎると帝国の増援部隊が来てしまい挟撃される恐れもある。


「本国に戦闘部隊を送るよう要請しますか?」

そう彼に問うたのは同じく軍事顧問として派遣されているオスカル少佐だ。


「いや、それをやると帝国にセレジア攻撃の口実を与えることになる。」


「確かに...あくまで矢面に立つのは我々ではなく解放軍の連中ですしね。」


「言葉が過ぎるぞ少佐」


「失礼しました、では重砲や戦車を寄越すよう伝えます。旧式のものならあまり帝国軍を刺激しないでしょうし問題は無いでしょう?」


「そうだな、頼む」

そう言うとパトリックは仮眠をとるために自室へと戻り、オスカルは本国に暗号電文を打つため通信室へと向かった。











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