第375話。変わった建物の中に入ってみれば、そこは驚くほど美しく整えられていて、マ・リエたちは驚く。壁も床もピカピカに整えられていて、中でも壁に埋め込まれた照明はとても美しいものだった。
第375話です。
「父上、まさかあんなことになろうとは、誰にもわからなかったのです」
彼の息子であるセレスト様が、彼の隣で父親をなだめるように言ったので、私もそれに乗じて身を乗り出した。
「そうですよ、トリスラディ様。それに私はもうだいぶ回復したので、大丈夫です」
その言葉を聞いて、二人は少し安堵したように見えた。
まあ…まだ完全には回復してはいないけど…そんなことは彼らに言う必要はないもんね。
うん、少しなら歌だって歌えるし、全然大丈夫。
あっ、ルイが疑わしげに横目で見てる。
サラとダグ、タニアはあからさまに目を逸らしてる。
だが、トリスラディ様たちはそれに気づくことはなかったようだった。
「マ・リエ、話は中でするがよい」
ヴァレリア様が、私の横にやってきて、背中をそっと押した。
少しやせてしまったのに、気づかれてしまっただろうか。
ちょっとヒヤッとしたけれど、それについてヴァレリア様は何も言わなかった。
優しい方だなあ。
「あ…の、この建物? はなんですか?」
おずおずとしてみた私の質問に、先を歩くヴァレリア様は私を振り返り、いたずらっぽく笑って片目をぱちん、とつぶって答えた。
「トリスラディ…彼ら地竜たちが、崩れた城や瓦礫、それに地面から造りだしてくれたのじゃ。急ぎだったので、形を綺麗に整える時間が足りなくてな。この姿だから、驚いたことだろう」
「え…と、はい」
「ふふ。そうじゃろうのう。まあ、今のままでも硬度は十分だから、城として立派に使えるし、何よりなかなか印象深い建物であろう?」
た…たしかに。
印象深い、という一言で片づけてしまうのには、ちょっと無理がある気もするけれど。
私はとりあえず返事しておいた。
「そ、そう…ですね」
そして私は、ルイたちと一緒にヴァレリア様について、その印象深い建物の中に入っていった。
「わあ…すてき」
入口をくぐると、サラとタニアが歓声を上げた。
建物の中は、外からはとてもそうは思えないほど、とても整えられていた。
入口のホールの壁も床も滑らかにされていて、まるで大理石みたいな模様が入っている。これ…本当に、大理石だったりして。
あちこちに置かれている、飾りのついたテーブルには、壺や花が飾られていた。
一歩中に入れば、とても綺麗な建物だ。
ピカピカに磨き上げられた廊下の壁にはレリーフが刻まれ、所々にあるくぼみの中には、高価そうな皿が置かれていて、その上には円盤のようなものが直立していて、回転しながらキラキラと光を放っている。
わあ…とても、綺麗。
「ヴァレリア様、あれは何ですか?」
私が我慢しきれずにヴァレリア様に尋ねるより早く、ルイが口を開いた。
ヴァレリア様は、ああ…と私たちを振り返る。(続く)
第375話までお読みいただき、ありがとうございます。
美しく光を放つものは、どんなものなのでしょうか。
また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




