第376話。光竜が作ったという照明は、城の宝物庫から持ってきたという大金貨と大銀貨だった。高価なものに驚きを隠せないマ・リエたち。やがて着いた大広間には、たくさんの着飾った人々が集っていて…。
第376話です。
「それは、光竜が作った照明だ。わらわにも詳しいことはわからぬが、金属…特に金や銀には、光魔法に合うマナが多く含まれているのだとか。光魔法をまとわせると、何十年も光を放つものができるのだそうじゃ。この建物は窓が小さくて少ないからのう。色々な形の照明を作り出してくれたので、とても助かっておる」
へえ…そうだったのね。
ヴァレリア様の話を聞いて、サラとタニアとダグが顔を見合わせて、何やら話をしていた。
「あれ…金貨、だよな?」
「そうよね。すごく綺麗だけど、なかなかに高価な明かりよね」
「あっちのは銀貨よ。明かりの色が違うのね」
その会話が聞こえたのか、ヴァレリア様はまた前を向いて、楽しそうに言った。
「崩れた城の宝物庫から持ってきたものじゃ。古い時代に使われていた大金貨と大銀貨が大量に出てきてのう。今は使われていないものなので、照明にしてみたのじゃ。残りは潰してしまおうと思っておる。なかなかに美しいじゃろう?」
い、いや、今は使われていないとは言っても、金と銀ならかなりの価値があるのではないかしら。ほかはつぶすと言うのは正解な気がするけど、この壁に使われている照明だけでも、かなりの数がありそう。
価値のあるものを照明に使うなんて、ヴァレリア様の価値観はだいぶ私とは違うのだなあ、と私は思った。私なら、一枚だけでも使うことには躊躇してしまいそう。
それにしても。
私はヴァレリア様の傍を歩くトリスラディ様に話しかけた。
「トリスラディ様、光竜もここに来たのですね」
私の問いに、トリスラディ様は私を振り返って頷く。
「はい。神金竜様がお目覚めになられたと聞き、光竜だけでなく、ここ数か月の間にすべての真竜たちが、神金竜様にご挨拶にうかがっております。その折に、それぞれができることで、神金竜様のお手伝いをさせていただいたのです」
「そうなのね」
そういえば、私が黒鋼竜のところに行ったときも、真竜の長たちが来たっけ。
あのときはそれぞれが、ナユ姉さんから預かっていた彼女のウロコを私とナギに渡すためもあったのだろうけど…神竜に対する敬意の表し方がすごいわ。
それにしても、私が寝込んでいた間に、いろいろなことがあったのね。
歩きながらそんなことを考えているうちに、ヴァレリア様が大きな扉の前で止まった。
そこには、立派な服を着た兵士が立っており、ヴァレリア様を見ると頭を下げて扉を開けた。
「皆の者。聖銀が着いたぞ」
そう言いながらヴァレリア様が部屋の中に入っていく。そのあとをついていくと、そこは大広間だった。
そして、そこには驚くほどの数の人々がおり、一斉にこちらを見たものだから、私は焦った。
動きがぎくしゃくしたものになってしまったのは、仕方ないだろう。
えっ…えっと…。
なんだか着飾ったたくさんの人々が、私を見ているんですけど!
いや、いやいや違うよね。きっとヴァレリア様やトリスラディ様を見ているんだわ。そうでなければ、お二人と一緒にいる高位貴族っぽい人や、教会の偉い人とかを見ているのよね。
私は懸命に己から視線を外そうとしてみたけれど、無駄だった。
おおお、落ち着くのよマ・リエ…!
私は大きく息を吸った。
そのとき。(続く)
第376話までお読みいただき、ありがとうございます。
動揺するマ・リエの前に、進み出てきたのは…。
また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




