表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/58

命という枯れ木

「げひゃひゃひゃ!!俺の配下はそいつらだけではない!お前らに気づかれないように各地の廃墟からウジを根こそぎ集め、繁殖させては捕食者に変えていたのだ!」

マウトは闇姫と捕食者軍団の戦いに紛れて城の廊下へ飛び出し、逃走を図る。

マウトが体内の魂の力を集中させると、城の周囲の地中からウジ怪人が次々に現れる。

土まみれの体でゾンビのごとく沸いてくる…まさにウジだ。

「気色悪ぃ連中だな」

目の前のガウラそっちのけで研究室の窓から外を見る闇姫。そんな彼女の背中目掛けて、本能のまま飛びかかるガウラ!

闇姫は体を軽く動かすだけでガウラの巨体をかわし、壁を突き破らせ、外へと追い出した。

研究室が崩壊してガンデルは涙目だ。

闇姫は外へ飛び出し、落ちたガウラの前へと降り立つ。

闇の世界の地面は正に荒野。荒れ果てた土の上、闇姫は深く構え、指を振る。

「来い、(けだもの)。調教してやる」

またもや飛びかかるガウラ。そんな彼に闇姫は一片の乱れもない回し蹴りを食らわす!

ガウラは空中に勢いよく投げ飛ばされる。さっさと済ませようと闇姫は飛び出し、拳を叩き込もうとするが…。

「があああ!!」

ガウラは空中で一回転して闇姫にぶつかり、その隙に上から押し潰そうと落っこちてくる!

素早くかわす闇姫だが、意外そうな顔をしている。が、すぐにその顔も無表情になる。

ガウラも捕食者。戦闘のプロ。そしてマウトは闇姫の戦闘スタイルを研究していた。

恐らくガウラにも教え込んでいたのだろう。こんな脳がとろけてそうなやつでもそれくらいは覚えられるかと闇姫は感心した。

しかしこの手の戦法の対処法くらい知っている。


ガウラは更にもう一度飛び出してくるが、闇姫はそんなガウラに自ら向かっていく。

ガウラはすぐに両手の爪を構えて迎撃する体勢をとるが、闇姫は走りながら突如飛翔、ガウラの真上へ移動。

頭上に回られたのならとガウラは大口を開けて空中の闇姫目掛けて飛び出そうと足に力を込める!


…ガウラは、闇姫の数段フェイントを見切ったつもりでいた。逆に見切られているとも気づかずに。

ガウラが飛び出す正にその瞬間、闇姫は空中で更にもう一段飛翔した!

奇妙な動きにガウラは戸惑いを見せ、体勢が崩れる!


「所詮、(けだもの)か」

闇姫はガウラの首元に蹴りを打ち込んだ。


…一瞬だけ、沈黙がよぎる。



「があああぁぁぁっ!!」

正に獣と呼ぶべき声を出しながら、首全体から血を吹き出すガウラ!!

そのままゆっくりうつ伏せになり…ピクリとも動かなくなる。

「兵士を殺したぶんの代償を払ってもらおうか」

背を向けたまま着地する闇姫。

地面に広がるガウラの血が足に当たる前に、闇姫は足を動かし、顔をあげる。

城から戦闘音が聞こえてくる。…兵士達が、ウジ達との戦いを始めたようだ。


「おーい!」

聞き覚えのある声がした。

闇姫にとっては世界一忌まわしいあの声が。





闇姫はその声の方を見ないまま言った。

「わざわざここまで来てもらったところ悪いが、捕食者騒動は私が決めた事ではない」


…それに対し、仲間と共に着地しながら声の主…れなが言う。

「分かってる。闇姫のやる事にしては何か荒々しすぎると思ったよ。…闇姫はそんなにバカじゃないしねえ?」

こんな言葉も、闇姫にとっては皮肉にしか聞こえない。口を歪ませながら振り替える闇姫を見て慌てて葵が割って入る。

「今は喧嘩してる場合じゃないでしょ!今回の事件は恐らくマウトってやつの仕業でしょ?」

葵はれなと共にマウトに会っており、ついでにやつの計画も知っている。今回の件がマウトの仕業だと、薄々察していたようだ。

れなはウジ達との戦いに混乱してそこまで考えてなかったようで、首を傾げてるが…。

闇姫は、まさにその通りと言った感じの調子で答えた。

「マウトを見てないか。やつはどこかへ姿を消した。逃げ足だけは一人前だ」

「それなら、俺に任せてくれ」

一同のなかで手を上げたのはダイル。

大きな体で闇姫に歩み寄ると、目をつぶり、意識を集中し始める。

敵である自分を目の前にして目を瞑れるとは。闇姫はダイルの度胸を密かに認めていた。


ダイルは、自身の中の悪喰の魂の力を集中し、周囲からマウトの力を探る。


「…見えたぞ…!だがマウト一人じゃない。何か凄まじい数の気配が迫って…」

ダイルが目を開けると、一同がある一つの方向を見ていた。




…とんでもない光景がそこにはあった。


巨大な白い物体が、こちらまで迫ってきているのだ。


目を凝らすと…。


「っ!き…きもっ…!!」

ドクロとタイガが呻いた。


…闇姫の城ほどもあるその巨大な物体は…全てウジ怪人。

町に現れた以上のウジ怪人が、合体したかのように互いの体に乗り合いながら突撃していたのだ。

しかも互いの体に乗りあえる程に密集している…見た目で推測される以上の数がいる事が嫌でも分かる。

これでは…群れではなくもはや雪崩だ。


闇姫は表情一つ変えずに人差し指から紫の光線を発射し、ウジ怪人の塊に放つが…。

何人かのウジ怪人が地面に落ち、直後、突然爆発した!!


…そして、爆発した跡の地面は突然紫色に変色、そのまま崩れて大穴が空く。

驚く一同が聞く前に、闇姫が言う。

「あのウジども一匹一匹の体内に物体を侵食して腐らせる細胞が注入されてる。かつ強い刺激を受けると爆発する魔力も同時に込められてる」

それを聞き、一同はウジの群れを睨み付けた。


…先程からウジ怪人達とは異なる魔力が群れの中から僅かに放たれてる。

そして、ウジ怪人達のどう考えても普通ではない状態を知って確信した。


「あの群れの中心にマウトがいるぞ…!」

ダイルが重い声で言った。

続けて、魔力に敏感なドクロが更に今のマウトの状況を言う。

「それにやつはバリアみたいなの張ってるわね。自分が爆発に巻き込まれるのを防ぐ為…。状況からして、マウトがウジ達に細工をしたに違いないわ」


「そのとおり!!」

突然声がした。

一同の肩にぐっ、と力が入る。

迫り来る群れからマウトの声が響いたのだ。やはり間違いない。

中心にやつがいるのだ。

「その細工を施したのは俺だ!俺がこのウジ達を集めた真意はまさにこれだ!一つの生物に込められる魔力は並みの兵器を上回る!こうして生物を爆弾化すれば、兵器を遥かに上回る最強の武器となるのだ!」

まさに外道。他人を物としか見ていない。

闇姫は既に指を鳴らしながら待ち構えている。

マウトは続けた。

「こいつらでこの辺り一帯を腐らせてやる!少なくとも一つの国が建てられるくらいの範囲は腐らせるぜ!闇姫もここでぶっ殺し、建設した捕食者帝国に永遠に首を飾ってやるぞ!」

「お前ごときに首などくれてやるか。本来お前は私の姿を視界に入れる事も許されない程に価値の無いゴミなのだからな」

その一言にマウトが怒ったのか、群れからウジ怪人がミサイルのように飛んでくる!!

予想外の攻撃にれなたちは一瞬構えがブれるが、闇姫がウジ怪人達に蹴りをぶちかまし、群れへお返しする!

群れの表面にいたウジ怪人に直撃、何人かのウジ怪人が爆発して群れに一瞬穴が空く。

しかし、爆発したウジ怪人達の破片が、空中で更に多くのウジ怪人となって復活する…!とんでもない分裂能力だ。

それに続いて葵もハンドガンにエネルギーを込めて銃撃を仕掛け、ウジ怪人を爆破するが、またもや破片から倍近くのウジ怪人が誕生する…。

マウトは更にウジ怪人を発射。避けるのが得策と判断した一同が飛び上がり、ウジ怪人は地面にぶつかって爆発した。

地面が腐り、またもや大穴が空く…。

視線を移すと、闇姫の城の近くの地面に亀裂が走ってる。周辺の地面が腐って、地盤が緩んでいるのだ。

それを見たれみが空中で姉のれなのツインテールに掴まりながら、横に飛んでいた闇姫にぼそりと呟いた。

「この調子だとこの辺りだけでなく地球が丸ごと腐りそうじゃない…?」

「その通りだ。マウトの馬鹿は頭に血が上ってやがる。やつを早いところぶっ殺さないと洒落にならない事になるだろうな」

相変わらず冷静な闇姫は地上に降り立ち、まだ空中に飛んでいるれなに言う。

「おいれな」

「んだよ闇姫!!」

苛つくれなに、闇姫は指を振りながら挑発混じりに言う。

「お前のような阿呆と手を組むなどとてつもなく嫌だが、共闘するぞ。私はこの地球を手に入れたいし、お前は地球に住む命を守りたいんだろう。利害は一致してる」

闇姫の横に降り立つれな。

しがみついてたれみも同じように降り立ち、構える。

れなは嫌そうな表情だが…今はそんな場合ではない。

気づくと、すぐそこに群れは迫ってきていた。

「いつも相手に変に情をかけるお前だが、あのウジ怪人どもに容赦すれば多くの命が犠牲になる。容赦なく殺せ」

「…分かった…!」

後方の仲間達も覚悟したようだ。


今、マウトとの決戦が始まる!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ