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非情な条件 

「お前らぁー!!」

仲間がいる小島へ飛んでくるジャリュウ。

そこにはナイフを構えるラオン、無表情のハウンディ、岩に凭れるタイガと彼女を気遣うダイルが。

ジャリュウは島に降り立つなり、直ぐ様タイガへ向かっていき、右手の平を向け、そこから緑の光を放ち、タイガを照らす。

それを見てまず声をあげたのはラオンだ。

「ちょ!?ジャリュウ!いきなり戻ってきて何だその技は!?」

…しかし、ジャリュウが見た事のない技を使ってるにも関わらず、他三人は驚いてはいなかった。

たちまちタイガはその光の魔力で立ち上がる。


ジャリュウは…こんな回復技など持っていたのか…?


タイガは立ち上がるなり、ジャリュウに寄り付いて彼に怒鳴るような声で言った。

「闇姫の所へ行ったわよね?」

黙りこむジャリュウに、今度はダイルが詰め寄る。

「お前の気持ちは分かる。だがな…闇姫軍に入る事は悪の道に足を踏み入れる事なんだぞ」



「…もう多分一緒に暮らせないな」

ジャリュウの意味深な発言にますます詰め寄る二人。

ハウンディは離れているが、状況を理解していない訳ではないようだ。

置いてきぼりなのはラオンだけ。なかなか状況を話してくれない一同に少々苛立ちつつ、ラオンは問う。

「おい、聞かせろよジャリュウ。何で突然闇姫軍へ入ろうとしてるんだ?」

「…話しても分からないだろう。だがラオン、一つだけ理解しておいてくれ。俺達はいずれ、また戦うことになる」

ますます分からなくなりつつも、ラオンはナイフを振ってジャリュウに向ける。

「そうか…。なら、今でも良いんじゃないか?お前は良いやつだ。そう易々と闇堕ちされてたまるかよ。言葉で無理なら力づく。それが私のルールだ」

ジャリュウは…一切身構えず、ただ小さく笑うのみだ。

「何だ。私何か面白い事言ったか?」

「…ラオン、お前は良いやつだ。そんなお前と、そう易々と戦ってたまるか」

ジャリュウは、一切構えなかった。殺意も闘気もない。

本当にラオンと戦いたくないようだ。


だが…。



「おーっと、殺し合いタイムかな?」

憎らしい声が響く。


空から偉そうに見下していたのは…無論、マウトだ。

一丁前に黒い立派なスーツを着込んでる。

灰色の髪を人差し指でいじりながら地上に降りてきた。何とも余裕そうだ。

ラオンがここで睨み付けたのもまた無論、マウトだ。

「おや?威勢が良いガラクタだな。闇姫軍の資料でお前の情報も把握済みだ」

このペースは…戦闘突入だろう。

ラオンは早速ジャリュウの隣に立ち、マウトに構える。

「ジャリュウ!一緒にこいつをぶちのめ…」

「ラオン、すまない…」

ラオンの鋭い目が丸まった。ジャリュウがマウトの方へ向かっていく。


そして…マウトの横に立ち、ラオンに構えたのだ。

ラオンの元に集まるダイル、タイガ。二人とも冷や汗をかいている…。

「ちょっとジャリュウ…本当に裏切るっての!?」

「ジャリュウ…!考え直せ!まだいくらでも手段はある…」

ジャリュウの目は、三人に向けられていなかった。

「ジャリュウは利口だなぁ、仲間達を裏切ってまで決意を固めるたぁ!」

ジャリュウを軽く叩くマウト。全ての行為が彼をバカにしている。

こんなやつになぜつくのか?力付くでも聞き出そうと、ラオンは苛ついた表情でナイフを振る。

だが、ダイルがラオンの肩を掴む。もうラオンが何を考えてるのか分かるようだ。

「ラオン、待て…。ジャリュウは恐らく、あいつに逆らえない」

もうダイルは何が起きてるのか分かっていたようだ。マウトは少し足を揃えて立ち、ダイルの言葉に耳を傾ける。

「恐らくやつは…マウトはタイガから悪喰の魂を食らい奪った。悪喰は俺達捕食者をまとめる王。その王の魂には、他の捕食者を自然に従える力があるのだ」

悪喰を倒した時、四人が食った悪喰の魂…そんな効果があったとは。

しかし確かに…あの荒くれた捕食者達が素直に四人の言う事を聞くとは、今考えると異様に出来ていた話だ。

そういえば捕食者達が互いに迷いなく殺しあっていたのも悪喰の命令だ。本当に捕食者を従わせる力があるらしい。

「簡単に言えば、相手の本能に影響するんだ。この魂の力で捕食者達を従えて『群れ』を作り、魂を持つ者はその『群れ』の主として君臨する」

大体理解したラオンは、それに対して反論した。

「だがそれなら…ジャリュウだって悪喰の魂を持ってるはずだ。マウトを従わせられないのか?」

「そう!!その通り!何もかもその通り!!!」

突然、マウトが大きな声を出した。

ここからはこいつが説明してくれるようだ…。咳払いした後、マウトは説明した。

「こいつは今、ある理由で闇姫軍に入ろうとしている。だが当然、それはお前らを裏切る事になる。だから今こいつには欠如してるのさ。意思の力が」

意思の力…もう分かった。

群れの主を勤めるにはそれ相応の強い意志が必要だ。

しかしそれが欠けてしまっては、他の群れの主に負けてしまう。

今はジャリュウよりマウトの悪喰の魂の方が勢いは上なのだ。

ジャリュウは…マウトにつきつつも、まだ迷っているようだった。そんな姿に、マウトは苛立っていた。

「なかなか展開が進まんな…ジャリュウ、意思の弱い男は負けるぞ?…そうだ!」

憎たらしく、マウトは声を高くした。同時に何かを念じ始める。



「…え!?きゃあああ!?」

タイガが声をあげる。

タイガは、何かに引きずられるように足を動かしていき、マウトの方へ向かってしまう。

マウトの超能力だ。

直ぐ様マウトはタイガの足に爪を射出、そのまま刺し貫く!

岩の地面に血が飛び散り、タイガは顔を歪める。


「…!おい!!」

ジャリュウが、ここでようやく意気のある声を出す。

「へへへ…おいジャリュウ。こいつを助けたかったら、俺の言う事を聞け」

一体何を言い出すつもりだ…?今度は爪がタイガの首に向けている為、ラオン、ダイルは下手に手を出せず、マウトの声に耳を傾けるしかなかった。

マウトがタイガの命を救う為に出した条件は…。






「ハウンディと殺しあえ」







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