捕食者エンジョイ
「こりゃ面白いな!!」
テクニカルシティのパチンコ屋。
多くの客達が集うなか、ダイルがすっかりスロットを気に入っていた。
その横ではタイガが、物珍しそうに周囲をキョロキョロ見渡してる。まるで子供のようだ。
ダイルの運は凄まじいものだった。先程から当たりばかり引き当てている。
並みの人間より図体がでかい事もあり、彼の姿は一際目立っていた。
大量の景品を詰めた袋を持ちながら、ダイルとタイガは店を後にした。
「ダイル、あんた何してたの?」
「何かよく分からんが適当にポチポチやってたらどんどん金が出てきてな!」
ダイルは良い男だ。話しながら、ジャリュウとハウンディにも紹介してやろうと考えていたところだった。
(…その前に、ここを俺に紹介してくれたラオンに礼を言うべきだな)
折角なのでラオンを探そうと、ダイルはタイガに言った。
どちらにせよ、許されてる外出時間はあと三十分はある。行動の早い彼らなら十分な時間だ。
早速町のどこかにいるラオンを探し出そうと、ダイルは足を踏み出すが…。
「見つけたぞ」
自分達のもとに、何者かが降りてくる気配を感じ取るダイル。
タイガの前に立ち、両手を広げる。
…目の前に、ゆっくりと襲撃者が現れた。
頭から触覚を生やし、紫色の肌を持つ三人の男だ。黒いマントを羽織っている。
「最強の捕食者、鰐のダイル。間違いないな?」
「何だお前らは?礼儀を知らなそうだな。殺しあいをしてきた俺ですら、相手より先に自分が名乗るぜ」
三人はそれぞれ武器を取り出した。
一人は刀、一人はマシンガン、一人は盾を持っている。
「お前はどうせこれから死ぬのだ。名乗る必要などない!」
刀持ちがダイル目掛けて刀を振り下ろしてくる!
ダイルはヒラリとかわし、刀持ちの背中に蹴りを入れようとしたが、刀持ちも勢いよく前転してかわしてしまう。
「…ふん。まあすぐに死ぬ事はなさそうだ。折角だから名乗ろう。我らは闇姫様より捕食者の暗殺を任命された、『捕食者討伐隊!』」
ついにそんなものまで用意したかと、ダイルは腰を深く落とした。
このままやつの思い通りに倒れる訳にはいかない。
ダイルはタイガに手を向け、サインを送る。
今討伐隊の意識はダイルに向いている。今不意を突けるのはタイガしかいない。
「…っ!」
タイガは勢いよく飛び出し、討伐隊の刀持ちに斬りかかろうとする!
しかし、タイガの手先に硬い何かが命中した!
盾持ちが、即座に飛び出して刀持ちを守ったのだ。
「よくやったぞ盾持ち!」
「任せておけ刀持ち!」
…どうやら本当に刀持ち、盾持ちという名前らしい。
では銃持ちはというと…。
「俺が刀であの女を斬る!盾持ちは俺達の守りに回り、ニックは銃撃で鰐野郎を!」
銃持ちは銃持ちという名前ではなく、ニックらしい…。
ニックは手元の銃…マシンガンを唸らせて弾丸の嵐を放ち、ダイルは頑丈な両手を構えて弾を防ぐ。
だが相手は鉄の弾。いつまでも受け続けるのは無謀だ。
そうこうしてる間に、刀持ちがタイガに飛びかかる!
タイガはバク転しつつを横に蹴りつけて退けるが、刀持ちの猛攻はまだ続く。
今度は手早く串刺しにしてやろうと考えたのか、刀を向け、突っ込んでくる!
タイガは素早く後ずさるが、刀持ちの攻撃の軌道を抜ける事ができない。
「タイガ!」
ダイルは弾丸で血が吹き出した両手を振るい、拳圧でニックに衝撃波を放つ!
マシンガンを落とすニック。直ぐ様振り返り、ダイルはタイガを助けに向かう。
タイガに夢中な刀持ちに豪快な一拳を叩き込むダイル!
バランスを崩して刀を投げる刀持ち。刀は近くの岩の塀に突き刺さり、へし折れ、使い物にならなくなる。
無防備になった刀持ちを、ダイルは蹴りあげる!
吹っ飛ぶ刀持ち…もとい、刀持ちですらなくなった何か。
空高く吹っ飛ぶ彼、ダイルはそんな彼の更に上へと跳び上がり、両手で同時に殴り付ける!
空へと飛び上がっていた刀持ち、その上昇の勢いと頭上からの衝撃に挟み撃ちにされ、一気に多大なダメージを受けた!
鰐の上顎と下顎に挟まれたかのような、強烈なダメージを…。
あっという間に敗れた刀持ちに呆然とするニック。ダイルは空中から降下しつつ、ニックにも蹴りを叩き込んだ!
ニックも膝をつき、あとは盾持ちだけだ。
やけになった盾持ちは盾で殴りかかろうと向かってくるが、こんな単純な動きは簡単に対処できる。
盾は左手に持たれている。という事はやつの体の右側を狙うべきだ。
ダイルは拳を振るった!
盾持ちはそんな彼の渾身の一撃に反応し、盾を構えて拳を受けてみせる!
「防御に関しては一人前だな。だが…」
拳はそのまま盾を打ち砕き、盾持ちへと叩き込まれた!
惜しい。実に惜しいやられ方だった。
盾持ちは凄い勢いで吹っ飛ばされる。
…気絶した刀持ちと盾持ちを抱え、ニックはすたこらと逃げていった。
「ダイル…あんた相変わらずの腕ね」
タイガが虎縞の毛皮服をはたきながらダイルに歩み寄る。
「タイガ、お前も前よりもよく動けるようになったじゃないか。まあまだ猫ちゃんだけどな」
タイガの頭を撫でるダイル。タイガは虎耳を激しく揺らしながら嫌がり、ダイルの顔面に猫パンチをお見舞いするのだった!!!




