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悪魔兵士救出

「…」

捕食者の島に囚われ、闇姫に救われた悪魔兵士。

城の地下牢に閉じ込められ、目の前には闇姫と、彼女の妹…闇姫とそっくりな顔をした黒姫が彼を見つめてる。

周囲はまさに暗黒…。牢の中に置かれた蝋燭だけが、周囲を不気味に照らしている。

だが…捕食者の島ほどの恐怖はない。目の前の二人も勿論怖いが、なぜか、どこか安心できるのだ。


「罰を与える前に問う。あの島の事について聞かせろ」

「あの島は物凄く怖かったです」

安心感のあまり漠然とした答えしかでない悪魔に、闇姫は面倒くさそうだ。一方で黒姫はゲラゲラ笑ってる。眼帯をつけてるかつけてないかだけの同じような顔が真逆の反応を出す姿は異様なものだった。

「質問変えるぞ。あの島について分かった事を言え」

「では…まず例の四人の捕食者と他の捕食者の違いを」

やはりあの四人の話からだ。あの四人は他とは違うと、下級兵の彼でも分かるのだろう。

「通常の捕食者は血と肉のみを求める、まさに野獣のような恐ろしい存在…頭に理性はあるものの、その動きは本能そのものです。しかし、あの四人にはその特徴がありません。互いに団結し、親玉である悪喰に反逆し…」

「つまりやつらは野獣とは違うということか」

悪魔は頭を下げるように頷いた。

最強の捕食者四人…やつらは何かが違う。

「だがやつらもあそこにいる以上、殺しあっていたはずだ。そもそも捕食者とは何なのかを知るのが最優先だ」

また悪魔は頷いた。黒姫は退屈そうにしゃがみこむ。

「…そんななかでやつが入ってきたのは、幸運だったな」

闇姫の頭に浮かぶのはあの鼠の捕食者、マウト。

やつは忌まわしき侵入者だが、見方を変えれば正体不明の敵が偽りでありながらも忠誠を誓い、自ら目の前に歩み出てるも同然なのだ。

利用できるうちに利用した方が良い。

「やつの血液を採取する。そこからまずやつらの生態をできる限り解き明かし、あの四人の打倒へと向かう」

これからの方針を話す闇姫。黒姫は、もう眠ってしまっていた。

闇姫は極めて慎重だった。あの四人は今、れなたちの味方。敵対にこれと言って複雑な理由もない。

かつ捕食者についてヒントを得られそうなマウトがそばにいる分、有利なのは闇姫軍だ。

あとはマウトが何かしらやらかさなければ良いのだが…。

計画はたてつつも、相手は未知の存在。このまま事が上手く進むよう、闇姫は考えていた。


「あのー、闇姫様?」

悪魔が呼び掛ける。

はっ、とした。どうやら黙りこんでいたようだ。

闇姫は依然として表情を固めたまま、悪魔に語った。

「これからの方針は今語った通り。もう少し先の事も見通したいが、相手は未知だ。下手に事の道筋を決めれば、万が一その道筋を外れてしまった時が面倒だ」

悪魔は困惑した顔をしながら頷く。こう淡々と語られれば、彼も理解が遅れるのだろう。


「さて、罰の時間だ」

立ち上がる闇姫、待ってましたとばかりに目覚める黒姫。

そして背中を反らす悪魔。すっかり忘れていたのだ。


「その牢で三日間過ごせ」

「は…は?」

予想外だ。

人間と捕食者に捕まり、下級兵であるにも関わらず闇姫様直々に出向かせた自分、もっと重い罰を覚悟していたのだが。

言いにくそうに悪魔は口を動かす。

「あの…そ、それだけですか?」

「それだけだ。夕食の際に兵士達に出すサツマイモプリンはお預けだがな。まあまともな物を持ってきてやる」

立ち上がる悪魔。闇姫はそんな彼を見て、目をつり上げる。

「ただし頭は冷やせ。一歩遅ければ軍の損失に関わる」

「は!!申し訳ございません!」

土下座する悪魔。彼の居場所は、やはりここだ。

闇姫の寛大さに、訓練の成果で応えると決意したのだった。


闇姫はそれ以上は何も言わず、黒姫と共に地下通路を歩いていく。

蝋燭で照らされた壁に、二人の全く同じ形の影が動く。

「ねえお姉様、何であれだけなの?」

「あの四人を早く片付けなければ我が軍の邪魔となる。事を急ぐのだ。それに闇雲に重い罰を与えても、兵のモチベーションに繋がらん」

天井を見上げる闇姫。

「それにやつは言えば分かる兵士。これ以上の罰を与える必要はない」

ふーん、と床を見る黒姫。

二人の視線は、真逆だった。




それから数日後。


「いてえなぁ…闇姫様何でいきなり俺の血なんか」

「お前ら捕食者の血で更なる兵器を作るんだとさ。本格的に捕食者の導入へ出向いておられるよ」

真っ白な医療室。

右腕に絆創膏を貼られたマウトに語るは、闇姫軍四天王の一人、白衣を着た蛙型怪人ガンデル。

その右手には、たった今採血したマウトの血が入った注射器が握られていた。


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