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VS悪喰

…捕食者の島にて、悪喰が暴れまわるなか、その闘気を感じて島へ向かう者達がいた。

れな、葵、ラオン、粉砕男の四人。

アンドロイド三人娘の長い髪が、海面上の潮風に揺られ、特に葵のサイドテールがラオンの顔面にかかり、ラオンは何とも鬱陶しそうだ。

「この闘気…捕食者の島で何が起きてる!?」

粉砕男が三人の前を先取り、海面を飛んでいく。

よく見ると波が高くなっており、小さな岩は砕かれそうになっている。海が何かに振動されてるようだ。


「…あれはなんだ!」

粉砕男が指差す先には、巨大な怪獣…悪喰が暴れている。

人間のような顔に満面の笑みを浮かべながら、爬虫類のような手足を動かして島のあちこちを破壊してる。

そして、背中の触手は固まりあって狼を模したような形になっており、空を飛び回るハウンディを追いかけている。

ハウンディは触手狼を爪で切り裂いて回っているが、時々触手狼の攻撃を食らってあちこちから出血している。このままではもたないだろう。

四人は一斉に飛び出し、触手狼へ向かっていく!


「…!あれは…」

ハウンディが四人に気づき、触手狼の両腕を掴む事で、悪喰本体の動きを一瞬封じてみせた。

ハウンディが止めてくれたおかげで、駆けつけた四人の蹴りが同時に悪喰本体へ命中する!

「ぐっ…!貴様らは!?」

悪喰が飛び上がりながられなたちの方へ向きなおす。

れなたちは悪喰の姿どころか存在も知らなかった。

困惑した目の彼らの姿を地上から見上げたダイルが叫ぶ。

「気を付けろ!そいつは捕食者の王!ジャリュウはそいつに食われてしまった!」

れなが目を見開き、葵と粉砕男は顔をしかめる。

「仇は討ってやる!お前らは逃げろ!」

ラオンが地上のダイルに怒鳴るように言うと、回転しながら触手狼へ接近!

接近しつつナイフに魔力を込めて紫色の電気を纏い、触手狼の全身を瞬時に切りつけつつ、通り抜けた!

紫色の電気が宙を舞い、触手狼はズタズタに裂かれ、地上の悪喰へ落っこちる。

ラオンの必殺、紫電斬りだ。

悪喰の背中は血でまみれてしまう。

「くそっ!!まずは貴様らから片付けてやる!」

悪喰の背中の触手がみるみる再生し、今度は蛇のような形になる。

触手蛇は本物の蛇のような動きだ。緩やかにこちらに狙いを定めたかと思うと、突然物凄い速度で飛びかかってくる!

れなは噛みつかれそうになりつつも何とか回避。だが、口が閉じた勢いで風が放たれ、れなは風圧で一瞬体が揺らぐ。これは噛まれれば只ではすまない。

ラオンがまた紫電斬りの構えをとるが、触手蛇は自在に体をくねらせて瞬時に狙いを変えてくる。隙がまるでない。

粉砕男は触手蛇の体を掴み、そのまま引っ張りあげようとするが…。

「お前らにはその程度が限界よ!」

悪喰は高笑いしながら魔力を上げ、全身から赤い稲妻を放出、自身の周囲の木々を切断しつつ、粉砕男とれなを吹き飛ばした!

吹き飛ばされる粉砕男を受け止める葵。


れなはあいにく、止めてくれる相手が側にいなかった。

このままでは地面に直撃し、落下のダメージをそのまま受ける事になる…。



…れなは苦肉の策で足を犠牲にして上半身を守ろうと、両足を伸ばすが、そんな彼女に誰かが抱きつくように止めてくれた。


「…タイガ!」

タイガがよろめきつつも、れなを止めてくれていた。

タイガはれなを自分の顔の前へ引き寄せ、悪喰への怒りをれなにぶちまけるように叫んだ。

「ジャリュウが…!ジャリュウがやられるなんて有り得ない!!絶対あいつをぶっ潰すわよ!!」

凄い剣幕だ。思わずれなでも後ずさりそうになってしまう程の迫力だった。

それ程に、ジャリュウを食われたのが悔しかったのだ。

…何としても仇を討たねばならない。


「分かった…!」

れなとタイガは、森の木々の上からこちらを見下ろす悪喰を睨み返してみせる。

「しぶとい!!一番厄介なジャリュウがいない今、貴様らはもう無力だと言う事が分からんのか!」

悪喰は前足を振り下ろしてくる!

舞い上がる土砂をかわしつつ、れなとタイガは高く飛翔した。悪喰の頭上に回り込むと、悪喰の背中の触手蛇が二人に向かってくる!

しかし、触手蛇の顔から僅かに血が吹き出した。


見ると、ライフルを触手蛇に向ける葵が、二人を援護してくれていた!

「そんなガラクタでこの悪喰を仕留められるとでも…」

三枚の舌を伸ばして葵を捕らえようとした悪喰だが、葵はその瞬間、悪喰ではなく、味方のハウンディ目掛けて発砲した!

ハウンディはその銃弾を受け止め、悪喰の舌に投げつける!

舌から吹き出す血。悪喰はたまらず体勢を崩す。

「ガラクタ?あんたのような化け物にこの素晴らしい兵器の良さが分かる訳ないじゃない」

軽く笑いながら右手を振り上げる葵。ラオンへの合図だ。

ラオンは再びナイフを紫色に光らせ、触手蛇の真横をすり抜けるように切りかかる!

触手蛇はたちまちズタズタに引きちぎれ、空中には紫電と血が飛び交う。

悪喰は怒りに顔を歪めながら、一同を一気になぶり殺そうと襲いかかろうとするが、突然足が動かなくなる。


粉砕男が、彼の右後ろ足を掴んで動きを封じていたのだ。

「今だー!!」

れなとタイガが、悪喰目掛けて飛んでいく!

そして、彼の顔面に強烈な蹴りを叩き込んでみせた!!

悪喰を中心に放たれた衝撃波が、島中の岩という岩を打ち砕き、海を揺るがす。

悪喰はゆっくりと立ち上がったかと思うと、額から血を流しながら仰向けに倒れてしまった…。





「…やったか」


…一同も気づいていない、一つの存在が、その戦いを監視していた。

島の中の一部の草原に身を潜める闇姫だ。その右手には、捕食者達に囚われていたあの紫の爬虫類のような鱗を持つ人型悪魔の手が握られている。

「闇姫様…!こんな私を助けてくださるとは…」

「帰ったら、それなりの罰は受けてもらう。覚悟を決めておけ」

闇姫は灰色の翼を広げ、島から去っていった。



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