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「改めて。神宮鈴音どす。よろしゅうな神楽のひぃさん」
ニコニコ笑顔と軽快なテンポでされた自己紹介に、私が返せた言葉は「はあ……」の一言のみ。
だって女性と思っていた人が男性で、しかも聞けば咲湖お母さんのもう一人の息子さん……つまり二人のお兄さんだというんだから。でも確かに少し鋭い目は二人に似てるかもしれない。
「こちらこそ挨拶が遅くなりまして。それに、その……女性と間違ってしまってごめんなさい」
「あーそれはええで。別に今始まった事ちゃうしな」
「鈴音は小さい時から美人さんだったものねぇ」
確かに整いすぎなくらい綺麗な顔立ちは、多分子供の頃から変わらずそのままなんだろう。今が美女だと例えるなら……うーん、子供の頃は間違いなく美少女だと言われていたに違いない。
「本当にすみません……その、言い訳ですけど、装いが……エプロンが桃色なのもきっと女性に見えた要因、かと」
ちらりと未だ彼が身につけたエプロンに視線を流す。胸元に大きなうさぎの刺繍が施されたそれは、どう見ても大の男の人が身につけるには些か……いや、間違いなく抵抗がある程可愛いらしいもの。肩から首、背中へかかる紐にはフリルがあしらっていて、可愛い。本当に可愛い。
「あーこれな。うちの店小さい子供も来るさかい怖がらせんようにーって思たらこれくらいしか思いつかへんかってん」
「お店?」
「鈴の音ちゅーてな、海都らが通う学校の近くにあんねんけど。正門でて真ん前の十字路を左にず〜っと行ったらログハウス風の建物。見た事ないか?」
身振り手振りで説明されるけれど、ちっとも頭の中にその光景は浮かんでこない。え〜と、と惑っていれば「まぁ」と鈴音さんが苦笑う。
「今度海都に連れてきてもろたらええわ。ほんまは喫茶店なんやけどアクセサリーとか女の子向けなんも置いとるし」
「そうそう神楽ちゃん甘い物好きでしょう? 鈴音はお菓子も得意なのよ。特にアップルパイが美味しいのよね。洋菓子が嫌いな海都も唯一あれだけは食べるのよね」
「あ、それ今日学校で言ってました。洋菓子は甘ったるくて嫌いだ、菓子と言えば和菓子だ! って」
私的には和菓子もまぁまぁ甘いと思うんだけど、彼には違うみたい。




