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ん! と小指を差し出す私に海都何とも言い難い表情で眉根を寄せる。これは心底嫌がってる顔だわ。
「ほら早く。してくれなきゃこのまま引き摺ってでも連れて帰るわよ」
カチカチと時を刻む街路時計をチラリと見やりながらせがむ様に小指を彼の目の前に伸ばす。
やや間があって。渋々と伸ばされた海都の小指が私の小指に絡む。
「指切り、ちゃんと帰ってきてね」
言って、絡んだ指を二三度上下に揺らしてパッと離した。
ここは天下の往来。人通りも時間的に多く、私達のやり取りを見ていたのであろう通行人が「可愛い」とか「初々しいカップルねー」とクスクス笑い声をもらした。
カップルってなんだろ? と首を傾げる私を横に、海都はバツが悪そうに更に口をへの字に曲げると「さっさと帰れ」と半ば怒鳴るように言い捨てるとさっさと人混みの中に混ざっていってしまった____。
「って感じでどっか行っちゃいました。約束したからちゃんと帰ってきて来てくれるとは思うんですけど」
言い切った後。何故か咲湖お母さんが驚きに瞳を瞬かせていたから「どうかしました?」と首を傾げる。
「あ、いいえ。海都が指切りだなんて初めて聞いたからちょっと驚いちゃって」
「え?」
「すごいわ神楽ちゃん。最近の海都ったら恥ずかしがって私ともそんな事してくれないのに」
「そう……なんですか?」
指切りを? それとも約束? でも年頃の男の子ってそうなのかしら。
「どちらにしてもいい事ね」
言いながら嬉しそうにフフと微笑むお母さんに、私も頭に疑問マークを浮かべつつそうですねと微笑み返した。
「さぁ、じゃあご飯の準備しましょうか。もう少しで出来上がると思うんだけど。神楽ちゃんも早く着替えてらっしゃいね。今日はハンバーグらしいから」
「はい」
ん? ハンバーグらしいから?
咲湖お母さんのその言葉に疑問を感じつつ部屋へ戻る。
制服を綺麗に服掛けにかけて部屋着に着替えて足早に台所へ向かうと、そこには見知らぬ人がいて……。




