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「あ~はいはい、ごめんなさいよ~」
海都は大福だけじゃあき足らず、私のお茶に迄手を出して、ごっそーさん。と言い捨ててその場から去った。
「何なのよあいつッ! バカイトバカイトバカイトーッッ」
消えゆく海都の背中に、ガウガウと吠える犬の様に罵声を浴びせた。
その横で微笑んでる咲お母さん。
「可愛いわねぇ」
「え?」
「あ、神楽ちゃんももちろん可愛いわよ」
「あっ、ありがとうございます」
何か、咲お母さんみたいな美人さんに言われると、恥ずかしいやら申し訳ないやら……。でも悪い気はしないけど。
「海都ね、本当は凄く人が嫌いなのよ」
「え?」
「本当、あの子があんなに人に構うなんて、あんまりないのよ?」
「でもあいつ、結構なんて言うか……女性遊びとか凄いじゃないですか」
「ええ、まぁ。喧嘩はするし、朝帰りはするしで正直私も手を焼いてるんだけれど……。お腹を痛めて産んだ子だから、可愛い事は可愛いわ。でも私にも時々あの子が理解らなくなる時があるの。あの子はほら……あまり自分の事を話さないし、私達を頼ったりしない子だから」
優しい微笑みから、淋しそうな微笑みに変わる咲お母さんに、私はなんて返していいかわからなかった。
もうっ、こんな優しいお母さんを悲しませるなんて海都ったら!!
「あ、話しは変わるんだけれど」
「は、はい?」
「神楽ちゃん、家の中にこもっていても身体に悪いと思うの。もちろん元の世界へ戻るのも大切だけど……。こちらにいる間は、こちらでしか出来ない体験をするのも、悪くはないと思うのよ」
「はあ」
こちらでしか出来ない体験……か。もう既にしてるっぽいんだけど。
私は乾いた笑いをしながら、頭の中にTVや洗濯機を思い浮かべた。
「明日は体験入学と言う事で先方にはお願いしているけど、もし神楽ちゃんが行きたくなったら、正式に入学させようと思うのよ。どう?」
「どうって……」
私の家柄、中の下だったから、学校って行った事ないのよね。
まぁ計算とか、読み書きはお父さんやお母さんに教えてもらってたけど。
女は勉学が出来なくても、家事が出来ればいいって、皆言ってたから……。
読み書きあやふやだけど、大丈夫かなぁ?




