表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Meeting  作者: 吉四六かぼす
神宮家
24/52

24



「…………」


「あ、海都、神楽ちゃん目を覚ましたよ!」


「ぁあ?」



 目を覚ますと、上から同じ顔が私を見下ろしていた。



「秋都…さん……海…都…?」



 なんで……。



「私……」


「神楽ちゃん倒れたんだよ。覚えてる?」


「……いいえ」


「そう」



 ふわりと優しく微笑む秋都さん。海都は無表情のまま。



 頭が痛い。暑い……。汗で浴衣が肌に張り付いて気持ち悪い……。



「汗かいてるね。着替えたいでしょう? 母さんに頼んで来るからちょっと待っててね」


「兄貴、俺が行く」


「じゃあ頼むよ」


 

 部屋には私と秋都さんが残った。



「気分はどう?」


「身体が重いです……」


「そっか。熱が高いからね。仕方ないよ」


 前髪をかき上げ、秋都さんの掌が私の額に触れる。冷たくて気持ち良い……。



「お父さん……どうかしたの?」


「え?」


「寝言で言ってたよ。お父さん、行かないでって」


「…………」



 今見た夢を思い出し、目頭が涙に濡れた。


 

「かっ……、神楽ちゃん!?」


「ふ…ぅ…ひっく……」


「……神楽ちゃん。訊いても…いい?」


「え……?」


「そりゃ僕達は会ったばかりだし、そんな奴には早々話せないだろうけど。神楽ちゃんの苦しんでる元……とって上げたいんだ。だから……」



 話すかどうか迷った。話しても信じてもらえるかどうか……。


 でも、この胸のつっかえがとれるなら……。



「……私は…たぶんこの世の人じゃないと思います」


「どう言う意味?」


「私もよく理解らないんです。ここに来る前、私は広島に……ここも広島なんですけど、私がいた広島は空襲をうけて、殆どがガレキの山だったんです。お米なんて絶対食べられないし、芋も大根もあんまり食べる事が出来なくて……」



 でもここは違う。食べ物に困る事は絶対にないし、見た事ないものも沢山あって……。



「私の弟とお父さん、臨時兵として戦地に行ったんです。弟の神季みきはまだ十四歳でした。お父さん生まれつきかたっぽの耳と目が使えなくて……。お母さんもあの空襲の中はぐれて……心配で、心配で……。お父さんに会いたい…お母さんに会いたい…神季に……広島に帰りたいよぉ……っ」



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ