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「ええ……ねぇ、神楽ちゃん。貴方に頼まれていた資料、今日届いたの」
「本当ですか!?」
私が頼んでいた物。それは戦争時の資料。
秋都さんが言った言葉……戦争は60年前に終戦したって言葉。それがどうしても信じられなくて、咲お母さんに頼んで、過去60年前からの広島の資料を取り寄せてもらったの。
「これなんだけど……」
横に置いてあった茶封筒を手渡される。
私はすぐそれを開き、中の資料に目を通した。
その資料は原爆を投下された日、場所、時間が明記されていて、最後の一枚には死者の数と行方不明者の名前が書かれていて…
…
──行方不明者・名前・友野江 神楽(17)
信じられなかった。でもその資料には、確かに私の名前も書かれていたの。
他の人の名前も書かれていたけど、まるで筆で書かれているかの様に私の名前だけが目立って見えた。
「…神楽……ちゃん?」
無意識のうちに肩が震える。咲お母さんの声が遠くに聞こえるわ……。
「神楽ちゃん!?」
耳鳴りが聞こえたと思ったら、目の前が真っ黒に染まり、私は気を失ってしまった。
「え……お父さんが戦地に!?」
「ええ、今日赤札が届いたの」
「だってお父さんは身体障害があるから戦地には行かないって……」
私の父は生まれつき片耳と片目が不自由な人。身体障害者は邪魔になると兵隊指名には除名されていたはずなのに。
「思ったより敵軍が手強くて、こちらの戦力が足りないらしいの。だから……」
「何それ! それじゃただの数合わせじゃない!?」
父は純真に御国のために兵士に志願していた。それを耳と目が使い物にならないからって断っていたのは政府側。
「お父さんに死ねって……壁になれって言ってる様なものじゃないの!!」
「神楽!」
「…っ…」
「お父さんの夢が叶うのよ? それを私達が反対してどうするの?」
「でも……」
「私達がお父さんにする事。出来る事は笑顔で見送ってあげる事と、無事を祈って上げる事なの。……わかるわね?」
「……」
「……ほら、そんな顔しないの。お父さんも、貴方の笑顔が一番好きなのよ。笑顔でいってらっしゃいって……言って上げなさい」
「……はい」




