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「はあ?」
「ほら、こっち向いて!」
腕を掴み、私の方を向かせる。ニッコリ笑って
「お帰りなさい、海都」
「…………」
「おっかっえっりっなっさっいっっ!」
私の顔を見たまま、動かない。口を開いたかと思ったら……
「色気が足んねぇな」
──はい?
「そんなに言わせたいなら、【お帰りなさいあなた】とでも言ってみな」
「……は?」
お…お帰りなさい……あ、あなたぁ!?
「バカ言うんじゃないわよ!!」
何言ってんのよこいつ!? しかも真面目な顔で言う事なの!?
「オラ、言ってみろよ。語尾にハートマーク忘れんなよ?」
言いつつ迫って来る。後退りしていると、ドンッと背中に壁がぶつかった。
後には壁。両隣は、海都の腕に囲まれ、目の前には海都の顔のドアップ。
本気だ……。こいつ、本気だ。
「う…あ……」
「言えよ」
「で…でも……っ」
「でも……何だよ?」
「ひゃっ……」
海都の顔が私の肩元に流れ、耳に息を吹き掛けられた。そして囁かれ……
「神楽……」
「あ…あう……っ」
顔がほてり、緊張で息がつまって言葉が紡げない。
逃げたいっ!! けどどうすれば? 蹴り倒すか? 殴り倒すか?
あなたなんてゆうの、絶対ヤダッ! ヤダヤダヤダーッ!!
現実逃避?するために、目をギュッと固く閉じていると、耳に笑い声が届く。
そぉ……っと瞼を開いて見ると、海都が口許を押さえ、笑っていた。しかも目に涙までためて。
「か……海都?」
「あはは、いや、悪ィ」
「な、なんで笑うのよ!?」
「だってお前、本気にしてんだもん」
「冗談だったわけ!?」
「まぁな」
手の甲で涙を拭いながら、私の頭の上に、ポンッと手を乗せる。
「貴方ね~っ!?」
一発平手打ちをお見舞いしてやろうと手を振り上げた時、海都が今まで見た事もない(たぶんここに来て初めて)優しい瞳と微笑みを私に向けていたから、私は金縛りにあった様に動けなくなった。
「女は皆クソッタレだ猿だと思ってた……。俺と秋都の見掛けや家柄に寄って来る女は特に。だけど…お前は人間に格上げしてやるよ」




